第89回日本消化器内視鏡学会総会 ランチョンセミナー  講演2:胆管結石治療困難例の対処法 私はこうする!

Satellite View~Canon Special Session : セミナー報告
2015.08.03

第15回日本核医学会春季大会ランチョンセミナー

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第89回日本消化器内視鏡学会総会 ランチョンセミナー

胆管結石治療困難例の対処法
─ 私はこうする! ─

 

日時:2015年5月31日
場所:名古屋国際会議場
共催:東芝メディカルシステムズ株式会社

司会

 

手稲渓仁会病院消化器病センター
真口宏介 先生

講演2
胆管結石治療困難例の対処法 私はこうする!

 

 
  
千葉大学医学部附属病院 消化器内科・光学医療診療部
杉山晴俊 先生

【KEY Sentence】
・困難結石の治療では、治療時間を短縮し、術者・患者双方の負担と被ばくの軽減を目指す。
・胆道内視鏡治療を行う際に、見やすく高精細な透視像が必要である。
・ZEXIRAは透視の線量モード、パルスレートが調整可能であり、線量を低減しても高精細な画質が得られる。
・散乱線防護クロスを用いることで、術者の大幅な被ばく低減が可能になる。
・基本的な内視鏡治療[EML(機械的砕石術)]のほかにも+αとして施設に適したさまざまな手法を活用する必要がある。
 
 

図1 低線量検査の実施検査に必要十分な
線量を考え、術者・患者の被ばく低減を図る
(上からa、b、c)
a X線システムZEXIRA
(東芝メディカルシステムズ社製)
b 室外操作パネル(室内でも操作可)
c 当院の透視線量モードの
線量レベルの比較グラフと、基本設定
(透視線量モードLOW、パルス透視のレート7.5fps)
図2 検査環境へのこだわり
(術者の被ばく低減/散乱線防護クロス)
図3 検査室内の線量調査結果(上からa、b、c)
a 測定点:床面より150cmの高さ 散乱線防護カバーなし
b 測定点:床面より150cmの高さ 散乱線防護カバーあり
c 線量調査にご協力いただいた当院放射線部の皆様。
左から、川崎達哉氏、奥村健一郎氏、村田泰輔氏、竹生健太氏。
図4 内視鏡的治療+α
困難結石の治療では、1回1回の治療時間を抑え、術者・患者双方の負担と被ばくを軽減することが理想となる。線量低減というポイントから、当院で使用しているX線システムZEXIRA(ゼクシラ)について述べる。また治療時間短縮というポイントから、手強い胆管結石、特に大結石や嵌頓例および内視鏡困難例に対して、従来の内視鏡的治療に+αされる治療法について具体例を挙げ解説していく。
 
 
 

高画質と低被ばくを両立するX線システムZEXIRA
 当院で使用しているX線システムは、オーバーチューブ方式のZEXIRA(東芝メディカルシステムズ社製)である。検査室では、モニターを2台固定しているほか、全例で必ず透視像を録画している。また、除去が困難な結石の場合、さまざまなデバイスが必要であり、時には複数台の内視鏡装置も必要となる。
 X線システムを導入するにあたって、当院が重視した点を表1に挙げる。ZEXIRAは奥行き約170cmとコンパクトな設計になっているため、X線システムが占めるスペースを最低限に抑え、その分デバイスやスタッフ、ストレッチャーなどを希望通りに配置することが可能である。ZEXIRAは低線量に設定しても画像がきれいに表示されるため、治療に応じて、透視の線量モードのレベル、パルス透視のレートを調整することで、被ばく低減を図ることができる。線量モードは3段階に調節でき、フレームレートを減らすことなく線量を下げることができるため治療を妨げない。当院では、標準レベルの約40%程度の線量を選択し、治療を行っている。パルス透視も簡便に調整でき、室内でも随時変更が可能である。当院では通常、7.5fpsを採用し、さらなる被ばく低減を実施している(図1)
 さらに、長時間の治療もあり得るので防護服と散乱線防護クロスを併用している(図2)
 当院の検査室における放射線量を実際に測定比較した(図3)。頭部の高さ(水晶体)は防護服のみでは被ばくを免れない。散乱線防護クロスを使用した場合、安全範囲は大きく広がり、術者をはじめ、ドア付近も十分に安全範囲となり、急なスタッフの来室の際にも安心で非常に役立っている。また、防護服は必ず着用し併用することで術者の大幅な被ばく低減が見込める。当院ではZEXIRAを使用することで高画質と低被ばくを両立させ、安全で効果的な手技に集中することができている。
 
 
被ばく低減のために必要な効率の良い治療選択
 被ばく低減においてもう1つ大事な点は、処置時間の短縮、効率の良い治療を行うことである。
 日本における内視鏡医としての胆管結石の治療は、乳頭処置をはじめさまざまな治療の作戦が報告されており1、2)、組み合わせの選択が重要となる。
 基本は機械的砕石術(EML)であるが、困難結石では術者・患者の負担増加・被ばく増加が危惧されるため、結石の大きさが10mm×3個以上または13mm以上のもの、さらに20mm以上のものについては、内視鏡的治療+αの治療が必要になってくると考える(図4)
 
 
1.内視鏡的乳頭ラージバルーン拡張術(EPLBD)
 どの施設でも共通して行える手法として内視鏡的乳頭ラージバルーン拡張術(EPLBD)がある。当院が2013年に発表したデータ3)では、59例の施行で、初回採石率83.1%( 49/59)、最終採石率 100%(59/59)で、膵炎の合併症は見られなかった。
 症例を図5に示す。他院にてEMLを施行した結果、砕石具が壊れ、ワイヤーが遺残したため、当院に紹介された。手法としてEPLBDを選択し、透視下でワイヤーならびに結石の遺残を確認した。結石径までバルーンを拡張し除去を試みた。ワイヤーと結石の同時除去は困難であったため、採石バルーンで結石のみ採石し、把持鉗子でワイヤーを除去することができた。
 この手法では加圧による穿孔の危険を回避するために下部胆管が10mm以上で十分に太い症例が適応となる。利点としては硬い結石を砕かずに除去できるため治療時間が短縮できることが挙げられるが、破砕が必要となる場合もあるためEMLの準備もしておくのが安全である。
 
 
2. 経口胆道鏡下砕石術(POCSL)
 経口胆道鏡下砕石術(POCSL)の適応としては、20mm以上の巨大結石、下部胆管の拡張に乏しいケース、Mirizzi症候群Type2などがある。特に、下部胆管が細い合流部結石の症例は良い適応である。また、下部胆管でバスケット嵌頓した症例も、ラージバルーンを用いると石が胆管に没入してしまうため、適応といえる。
 当院のPOCSLは親子式の経口胆道鏡を用いて行っている。1988年7月からの20年間で122例を施行し、成功率95.9%(117/122)であった4)。最近5年間での成績も91.7%(33/36)であり、POCSLのみでは困難な場合は、ESWLを併用し全例完遂した。平均処置回数1.3回、平均所要時間は48分、1回で完遂した症例80.5%(29/36)で、手技時間が長時間にならないよう注意している。
 当院ではEHLプローブで電気水圧衝撃波結石破砕を行ってきた。スコープは当初はB260を使用していたが、マッチ棒程度の細いスコープであり破損することもあるため、Spyglass systemを活用している。スコープの処置チャンネルと洗浄用チャンネルが分かれたことで効率的な洗浄が可能である。また、4方向のアングル操作により結石を正面視することで効果的な砕石が期待される。
 近年はEHLプローブが入手困難であるため、レーザー砕石を行っている。レーザー光は直進するという特性があるため、胆管粘膜にレーザー光を当てないように注意し、結石が正面に見える状態を保つことが安全に治療を行うコツである。ただし、どの施設でも胆道鏡を常備できるわけではないのが問題点である。
 
 
3. 体外衝撃波結石破砕治療(ESWL)
 胆道鏡を保有していない施設では、レーザーやEHLプローブを用いずに大結石を扱う際には、内視鏡の+αとして体外衝撃波結石破砕治療(ESWL)を選択することも重要となる。Sackmann Mらの報告5)では300例中成功率90%(281/300)との報告が、また、Tandan Mらの報告6)では成功率84.4%(239/283)、うち2回以内での成功率51.9%(147/283)という成績がある。

図5 内視鏡的乳頭大径バルーン拡張術(EPLBD)の症例
a EPLBDを選択し、透視下でワイヤーならびに結石の残留を確認。
b ノッチを確認しつつ、結石径まで拡張。
c ワイヤーと結石の同時除去は困難であったため、採石バルーンで結石のみ採石。
d 透視で確認しつつ、把持鉗子でワイヤーを除去。
 
4. 経皮的乳頭ラージバルーン拡張術(PPLBD)
 内視鏡でそもそも到達できない症例もある。その場合には、経皮経肝的ドレナージにつづく治療が選択肢となり得る。内視鏡到達困難な例としては、術後胃、咽喉頭・食道の術後、開口障害などが挙げられる。
 図6に症例を示す。70代男性、胃全摘後R-Y吻合、胆管結石15mmで、内視鏡到達困難な症例である。当院は本症例に対して経皮経肝(PTC)ルートを選択し、その後ESWLを数回試行した。施行後、結石のサイズが10mm台まで破砕できたため、再びPTCルートを使用し経皮的乳頭ラージバルーン拡張術(PPLBD)を施行した。
 まず、穿孔のリスクを避けるため12mmCREバルーンでノッチ状狭窄が見られなくなるまで、X線透視下で拡張した。次に採石バルーンでの押し出しを試みたが、2回の施行でも困難であった。さらに誘導式の砕石具も使用したが、破砕が困難であった。
 最終的には改めて15 ~ 18mmまでラージバルーンを用いて胆道を拡張し、採石バルーンによって押し出すことができた。
 PPLBDに関連する報告としては、Han JYらはPTCSLを併用し、拡張後の平均使用時間17.8分(4 ~ 42分)と短時間で済み、合併症もなく非常に良好な成績であったという7)。しかし、報告は極少数例についてのものであり、手技の安全性はまだ確立されていない。出血や穿孔の危険性は常に考慮すべきであるため、手術を選択できない症例でのみ、十分事前な説明と、術中術後の管理とに細心の注意を払う必要がある。
図6 体外衝撃波結石破砕治療(ESWL)後に経皮経肝的乳頭ラージバルーン拡張術(PPLBD)を施行した症例
70代男性、胃全摘後R-Y吻合、胆管結石15mmで、内視鏡到達困難な症例。
a ダブルバルーン内視鏡では到達困難であった。
b 造影しながらESWLを数回試行、結石のサイズが10mm台まで破砕できた。
c PPLBDを施行。12mmCREバルーンでX線透視下で拡張した。
d 採石バルーンでの押し出しを試みた。
e ガイドワイヤー誘導式砕石具による砕石。
f 最終的に15~18mmまで拡張し、採石バルーンによって押し出すことができた。

 

まとめ
 困難結石の治療では、1回1回の治療時間を抑え、術者・患者双方の負担と被ばくを軽減することが理想となる。そのためには使い勝手の良いX線システムの選択、また施設内で可能な治療を組み合わせて柔軟に対処することが必要となってくる。施設ごとに設備が異なり施行可能な治療には差があるため、病院間で連携して治療することも重要であると考える。
 
<文献>
1) Yasuda I: Management of the bile duct stone: current situation in Japan. Dig Endosc 22 Suppl 1:S76-78,2010
2) Katanuma A et al:Endoscopic treatment of difficult common bile duct stones. Dig Endosc 22 Suppl 1:S90-97,2010
3) Sakai Y et al: Endoscopic sphincterotomy combined with large balloon dilation for removal of large bile duct stones. Hepatogastroenterology 60:58-64,2013
4) Tsuyuguchi T et al:Long-term follow-up after peroral cholangioscopy-directed lithotripsy in patients with difficult bile duct stones, including Mirizzi syndrome: an analysis of risk factors predicting stone recurrence. Surg Endosc 25:2179-2185,2011
5) Sackmann M et al:Extracorporeal shock wave lithotripsy for clearance of bile duct stones resistant to endoscopic extraction. Gastrointest Endosc 53:27-32,2001
6) Tandan M et al:Extracorporeal shock wave lithotripsy of large difficult common bile duct stones: efficacy and analysis of factors that favor stone fragmentation. J Gastroenterol Hepatol 24:1370-1374,2009
7) Han JY et al: Percutaneous papillary large balloon dilation during percutaneous cholangioscopic lithotripsy for the treatment of large bile-duct stones: a feasibility study. J Korean Med Sci 30:278-282,2015
 
 
(本記事は、RadFan2015年8月号からの転載です)

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