第50回 日本胆道学会学術集会ランチョンセミナー 講演2:オーバーチューブを用いた胆道内視鏡治療

Satellite View~Canon Special Session : セミナー報告
2015.03.31

第50回 日本胆道学会学術集会ランチョンセミナー

胆道内視鏡治療におけるX線システム
(アンダーチューブ/オーバーチューブ)の活用法

 
日時:2014年9月27日
場所:グランドプリンスホテル新高輪
共催:東芝メディカルシステムズ株式会社

座長

 

手稲渓仁会病院消化器病センター
真口宏介 先生

オーバーチューブを用いた胆道内視鏡治療

 

演者
 

北里大学病院内視鏡センター
木田光広 先生

 
KEY SENTENCE
・胆道内視鏡治療を効果的に行っていくうえで、高精細なX線透視像は必要不可欠である。
・オーバーチューブ方式のZEXIRAは、コンパクトで配置の自由度が高く使いやすい。
・低レートパルス透視を活用することにより術者および患者の被ばく低減を図れる。
・散乱線防護クロスを用いることにより術者の大幅な被ばく低減ができる。
・ZEXIRAの高画質な透視像が複雑な手技の実施を支える。
 

胆膵分野において内視鏡診療に用いられるX線システムは大きくオーバーチューブ方式とアンダーチューブ方式に分けられそれぞれに特長があるが、どちらも工夫して活用することにより、われわれ内視鏡医が求める高画質と低被ばくを両立することが可能であると考える。本稿では、オーバーチューブ方式のFPD搭載X線TVシステム(ZEXIRA、東芝メディカルシステムズ社製)を使用した経験から、その有用性について報告する。
 

図1 オーバーチューブ方式とアンダーチューブ方式の比較
図2 X線TVシステムZEXIRA
図3 理想的なX線室のレイアウト
ZEXIRAはコンパクトであるため、検査室を有効活用したレイアウトができる。
上段:4面モニタ
下段左:側面の処置具の棚
下段右:ペンダント式にした内視鏡装置やコンセント類
図4 パルス透視のフレームレート切り替えは操作卓で容易に行える
図5 専用の散乱線防護クロス
図6 散乱線防護クロスによる術者被ばくの低減効果
図7 症例1 胆管結石における内視鏡的乳頭大口径バルーン拡張術(EPLBD)
図8 鮮明な拡大像により、ガイドワイヤを十分に視認できた
図9 症例2 胆管細胞癌(CCC)におけるSide by Side EMS
図10 ステントのサイズ、挿入箇所を決定するために鮮明な透視画像が重要となる
図11 症例3 重症膵炎後に施行した内視鏡的ネクロセクトミー
図12 5爪の鉗子を用いて壊死組織を除去
はじめに

 胆道内視鏡治療を効果的に行っていくうえでのX線システムは、まず高精細な画像が得られなければならず、特に透視像が重要であると考えている。また、患者、術者、助手の被ばくについても十分考慮する必要があり、被ばくの少ないシステムが理想的である。オーバーチューブ方式のX線システムはアンダーチューブ方式に比べて術者が被ばくしやすいといわれているが、防護の工夫をすることにより大幅な被ばく低減をすることが可能である。ここでは、オーバーチューブ方式の東芝メディカルシステムズ社製FPD搭載X線TVシステムZEXIRA(ゼクシラ)のメリットと活用方法について紹介し、そのメリットを生かした手技の実際について報告する。

 
それぞれに特長をもつ
オーバーチューブとアンダーチューブ

 アンダーチューブ方式とオーバーチューブ方式の特徴を図1にまとめた。それぞれを比較すると、アンダーチューブのX線システムはCアームシステムとしての魅力的な機能があるが設置するのに広いスペースの確保が必要となるのに対して、オーバーチューブはコンパクトで場所をとらない。またその構造上、術者の作業空間は、患者の上方からX線検出器を近づけるようなことのないオーバーチューブのほうが広い空間が得られる。一方で術者の被ばくに関してはオーバーチューブのほうがアンダーチューブよりも被ばく量が多いとされるが、散乱線防護クロスなど適した被ばく低減の工夫をすれば、十分低減できると考えている。

 
コンパクトでスペースの有効利用につながる
X線TVシステム

 当センターは、X線室のスペースがあまり広くない。そのため、非常にコンパクトで配置の自由度が高いZEXIRAのようなオーバーチューブ方式のX線TVシステムが適していると考える(図2)。実際のX線室は、使いやすいレイアウトを検討し、各種物品を図3のように配置している。処置具の棚をX線TVシステムの側面に配置して、必要なものを助手がすぐに取り出せるような工夫をしている。また、内視鏡装置やコンセント類などはペンダント式にして、床には何もない状態にしており、物を動かす際に邪魔になるものがない。ZEXIRAの場合、X線管を支える柱が垂直なためにモニタをX線管に近づけることができ、術者の視野を遮らず、見やすい位置、角度に設置しやすい。手技を進めるうえでは、4面モニタの使い勝手が良く、通常はX線透視像、内視鏡像、過去に撮像した参照画像を配置して手技を施行している。

 
低レートパルス透視の活用により
高画質を維持しながら被ばく低減を実現

 被ばくの低減を図る試みとして、低フレームレートのパルス透視を有効活用した(図4)。ZEXIRAのパルス透視は1~15fpsまでのフレームレートの設定が可能である。たとえば3.75fpsのパルス透視は、フレーム数が少ないためストップモーションのような画像にはなるが、手技を進めるうえで十分な画質であり、患者、そして術者の被ばくを大きく低減することができる。7.5fpsにすると、ほとんど連続透視と変わらない感覚で画像が得られたことから、われわれは一検査を主に7.5fpsのパルス透視で行い、状況に応じて3.5fpsや15fpsのパルス透視に切り替えて行った。フレームレートは操作卓のボタン一つで簡単に変更することができ、検査中の切り替えが容易であったことも、低レートパルス透視を検査に導入しやすくしていたと考える。

 
大幅な被ばく低減をもたらす
散乱線防護クロス

 被ばく低減のためのもう一つの取り組みは、専用の散乱線防護クロスの使用である(図5)。この散乱線防護クロスの有効性はきわめて高く、防護クロスの有無で相対線量率を比較してみると、図6に示すように防護クロス使用時にはほとんどゼロに近い値にまで術者の被ばく量を低減できていることがわかる。

 
ZEXIRAの高画質な透視像を活用した内視鏡治療

症例1 胆管結石における内視鏡的乳頭大口径バルーン拡張術(EPLBD)

 図7に症例の概要を示す。当センターで内視鏡的乳頭大口径バルーン拡張術(EPLBD)を施行した胆管結石の症例である。まず直進の内視鏡を用いてカニュレーションをして造影を行った。比較的大きな結石がいくつも見られる、いわゆる積み上げ結石の症例であるため、EPLBDを選択した。下のほうにも結石があったが、下から少し押し上げるような形で進めば何とかなると考えてガイドワイヤを奥に進めた。当センターでは原則的に胆管の径と結石の大きさを考慮してEPLBDのバルーンの径を決めるが、この症例では胆管径、胆石とも15mm以上あったため、15mm径のバルーンを使用した。EPLBD施行例では、通常は12mmぐらいのバルーンで拡張して、少し間を空けて最終的には15mmのバルーンで拡張し直す2段階の方式をとっている。15mmまで拡張すると多くの症例で石を破砕しなくても除去することが可能であり、当センターでは内視鏡的砕石術(EML)の使用頻度は20%程度にとどまっている。
 バルーンで拡張した後は、バスケットで下から順番に結石を摘出していく。積み上げ結石の場合の結石の摘出方法は、当センターではガイドワイヤ方式を推奨しているが、出し入れしている間にガイドワイヤが抜けることもある。また、横にある結石はフリーのもののほうがとりやすいため、この症例では最初はガイドワイヤで始めたが、結果的にはフリーで徐々に結石を除去した。この症例では最終的に摘出した結石は11個に上った。その際、ZEXIRAの拡大機能を用いたが、非常に鮮明な透視画像が得られ、ガイドワイヤを十分に視認できた(図8)。この症例では、後日確認のERCPを施行し、小さい結石を3つ認めたため、それらを摘出して終了した。

症例2 胆管細胞癌(CCC)におけるSide by Side EMS

 図9に症例の概要を示す。Side by Sideの内視鏡的メタリックステント挿入術(EMS)を施行した症例である。原因不明の肝外門脈閉塞で長期間経過観察されており、肝障害が出てきたことから精査したところ胆管細胞癌(CCC)が疑われた。肝門部にはcavernous transformationを認め、左右胆管への進展も見られたことから手術不能と判断し、Side by Side EMSを施行することになった。当院の方針として、まずプラスチックステントを入れるべきところに入れて減黄できることを確認したうえでSide by Side EMSを行うようにしている。Side by Side EMSの施行に際して、6Frのステント(Cook社製)が日本でも2013年1月から使えるようになっている。
 まず左右の胆管の造影を行い実際の狭窄の距離を測定する。当院では特殊なカテーテルを使用しており、直接カテーテルで距離を測定することが可能である。この症例では造影後、左右に6FrのZilver 635経皮胆管用ステントを挿入することにした。その長さのSide by Side EMSを施行する場合にはステントのサイズが大きな要素となる。どこから挿入するかをきちんと決める必要があるため、図10に示すような透視画像の鮮明さが非常に大事である。またSide by Side EMSを施行する際は、当院では左右のガイドワイヤを別のものにして色を変えてわかりやすいようにしている。
 そのほか、Side by Side EMS施行時のコツの一つとして、当院では少しでも摩擦係数を少なくするためにオリーブオイルを5mLほどチャンネルの中に入れている。この方法を用いると、比較的スムーズに奥まで挿入することが可能である。リリースする際は、当然リリースする場所を決めなければいけないということも大切であるが、一番大切なのは左右のステントの下端が合うような形にすることだと考えている。左右の長さが違う場合は、長いステントのほうを下に入れるような形にするとよい。リリースする時間が長いほど奥のほうに入っていくため、最終的にその差がキャンセルされて同じぐらいの高さになる。
 左右のガイドワイヤを必ず別の助手が見ているようにして、引き抜きながら右と左のリリースの程度を合わせることがポイントである。一番大切なのは、左右が合流した段階で大体その下の位置は決まってしまうため、そこまでをしっかり位置決めしながら引き抜きを左右でうまく合わせることである。左右が合流した後は、いくら引っ張ろうが押し込もうが全然位置は変わらないため、そこでリリースする。5mm前後のずれがあっても、リインターベンションの際に問題となることはない。

症例3 重症膵炎後に施行した内視鏡的ネクロセクトミー

 図11に症例の概要を示す。重症膵炎後に内視鏡的ネクロセクトミーを施行した症例である。かなり大きな膵膿瘍があり、下部には沈殿物も確認されたため、内視鏡的ネクロセクトミーの適応を考え、まず内視鏡下で瘻孔を形成した。当院では19Gで穿刺を行っており、その後、造影を行った。造影剤がかなり薄まるため全貌を造影することは難しいが、ある程度サンプルをとった後で造影をして、CTやMRIの画像も参照しながらガイドワイヤをなるべくその嚢胞全体に行き渡らせるようにする。その際、高周波で焼灼することにより、その後あまり拡張をしなくても比較的容易に挿入することが可能である。この症例では、その後、内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD)を行った。そしてダイレーターを用いて拡張させ、それを追いかけるようにガイドワイヤを2本挿入した。ここでのポイントとして、0.025インチのVisiGlideガイドワイヤを用いると、0.035インチのガイドワイヤと合わせても先端を切らずに2本挿入することができる。
 瘻孔のネクロセクトミーの場合には、当院では20mmを原則として入れている。その理由として、20mmあれば内視鏡が簡単に入れられることと、内圧が高まらず、いわゆる空気塞栓のリスクを回避する意味合いがある。ただ、文献に記されているように、20mmでは少し瘻孔部の出血の頻度は高くなる可能性がある点は注意が必要である。
 実際のネクロセクトミーの手技においては、ZEXIRAの鮮明な透視像が非常に役立つ(図12)。また拡大機能を活用しても高画質が維持できる点も有用である。当院では壊死組織の除去をする際には原則的に5爪の鉗子を用いている。バスケットやスネア、ポリペクトミーの回収ネットなどでいろいろ試したが、これが今のところ一番良い印象である。ポリペクトミーの回収ネットの場合には、1回目はうまくとれるが、粘稠性が高いため、2回目以降は回数を重ねるごとにネットがうまく広がらなくなってしまう。やはり何度も使うことを考慮すると、5爪の鉗子が良いと思われる。

まとめ

 オーバーチューブ方式のX線TVシステムZEXIRAはコンパクトで検査室に広い作業空間が確保でき、非常に使い勝手が良い。アンダーチューブと比較しオーバーチューブのデメリットとされる術者の被ばくのしやすさに関しては、散乱線防護クロスによる防護の工夫をして臨むことで十分対処できる。さらに低レートパルス透視の活用により、術者だけでなく患者の被ばく低減と高画質を両立できた。今回紹介した症例のように比較的難しい手技を行う際は特に、鮮明な透視像を得られるX線システムを用いることが手技の成功に大きな影響を与えると考える。
 
 
(本記事は、RadFan2015年1月号からの転載です)

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