SPECT検査の今:CaceReport02:藤田保健衛生大学病院

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2015.02.26

02……藤田保健衛生大学病院
GCA-9300Rが
脳血流シンチの新たなステージを拓く

 
2013年9月、核医学診断用検出器回転型SPECT装置として、デジタルガンマカメラGCA-9300Rが東芝メディカルシステムズ株式会社から発売された。
この高画質・短時間検査の両立を可能にする3検出器型SPECT装置を導入した藤田保健衛生大学病院の生の声をお届けする。
 

藤田保健衛生大学病院
 
愛知県豊明市沓掛町田楽ヶ窪1-98
TEL:0562-93-2111
診療科:内科、精神科、神経内科、循環器内科、小児科、外科、整形外科、形成外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管外科、皮膚科、泌尿器科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、放射線腫瘍科、歯科、矯正歯科、小児歯科、麻酔科、病理診断科、救急科
病床数:1,505床(一般:1,454床 精神:51床)

 

藤田保健衛生大学病院 放射線部主任  
石黒雅伸氏
藤田保健衛生大学病院 放射線部副主任 
豊田昭博氏
増加する頭部SPECT検査に対して、専用機の導入により、質と効率を両立
 藤田保健衛生大学病院の核医学検査室の装置構成は、汎用機としてSPECT-CT装置2台、SPECT装置1台、頭部専用リング型SPECT装置1台が稼働していた中で、東芝メディカルシステムズ社の3検出器型デジタルガンマカメラGCA-9300Rは、頭部専用リング型SPECT装置の更新として導入された。近年の高齢化に伴う認知症をはじめとする神経変性疾患の増加の影響から同病院では脳血流シンチは増加傾向にある。年間1,100件の検査を行っており、核医学検査において頭部専用機は欠かせない存在となっている。診療放射線技師の石黒雅伸氏によれば、年間1,000件以上の脳血流シンチを実施する中で、老朽化した頭部専用機に対して、最新の汎用機を使用しても検査時間や画像のクオリティに関して少なからず不満足な部分があったが、GCA-9300Rを導入することで、より効率的に質の高い結果を出せるのではないかと期待をしていたという。
 現在、同病院では1日平均3 ~ 5件の脳血流シンチをGCA-9300Rで実施している。汎用機の場合は他の検査もあるため3件程度が限界で、「多くの検査を実施するうえでは専用機が使用できるのは非常に有難い」と、同じく診療放射線技師で実際のGCA-9300Rの運用に携わる豊田昭博氏も口を揃える。
 
GCA-9300R導入により撮影時間を25%短縮しながら、汎用機以上の画質を実現
 石黒氏らは、GCA-9300Rの運用に先立って同機の性能特性を把握するため物理実験を行っている。装置と使用するコリメータの組合わせに応じた感度、分解能を評価し、それらの結果から変動係数を求めて実臨床での検査時間を算出し、汎用機と画質比較を行ったところ、GCA-9300Rは、汎用機で40分かかっていた検査時間を30分に短縮しても、より優れた画質が得られたという。「物理実験を行ったところ、カタログに記載されている数値より良いデータが出たので驚きました。再現性も高く、装置の能力の高さを物語っているのでしょう」と石黒氏は話す。この物理実験の検討結果は2014年7月の日本核医学会第79回中部地方会にて発表され注目を集めた。石黒氏は「われわれの仕事は、より短時間でより良い検査結果を提供することです。物理実験で装置の基本的なスペックを把握しておくことで、画質に対して意見を求められた際にも『この撮影条件であればこれぐらいの大きさのものは見えるはず』といった適切なコメントをすることができます」と物理実験の重要性について語っている。
 
専用機ならではのハードウェア特長が検査時間の短縮に貢献
 専用機の導入は、撮影時間だけでなく、前後の準備・作業時間の短縮という成果ももたらす。汎用機の場合は全身すべての検査に対応しているため、ニュートラルポジションから各種検査に合わせて、装置のセットアップやトレーサーに適したコリメータに変更するのに相応の時間を要する。しかしGCA-9300Rは、頭部・心臓専用機として最適化されている。脳の検査なら、頭部に合わせたポジショニングがニュートラルとして設定されるため、セットアップや組み合わせの変更など、検査準備にかかる時間が圧倒的に少ない。そのため、汎用機では前準備を含め検査には約1時間を要したが、GCA- 9300Rは約45分ですべての検査プロセスが完了する。検査時間、準備時間が短く、画質が汎用機よりも優れているのであれば、専用機を選択するのは必然であろう。
 また、過去にGCA-9300Aを使用していた施設であれば、使用していたコリメータをほぼそのままGCA-9300Rでも用いることができる。そのため導入コストの低減につながるメリットもある。

 
■専用機GCA-9300Rならではのポイント
 

位置決めモニタ
3検出器の画像が3画面表示されており、わかりやすい。「位置決めがしやすく、助かります」と豊田氏。
ヘッドレスト
患者さんごとに体型や頭部の重量は異なる。ハンドルを回すとヘッドレストの位置を微調整でき、撮影に適した位置に動かすことができる。
「脳血流シンチは高齢の受診者が多いため、検査を少しでも楽に、短時間で受けられるような機能はとても有用です」(豊田氏)。

脳血流シンチに最適なファンビームコリメータ。感度と分解能を同時に向上
 高画質な検査結果を提供するうえでは、使用するトレーサーに適したコリメータを選択することが重要である。コリメータについては、一般的には分解能が高ければより高精細な画像が得られる一方で、感度が低下するため撮影時間が長くなってしまう。同病院ではGCA-9300R導入に際して、高分解能はそのままに、感度を向上させることができるファンビームコリメータを採用した。「ファンビームコリメータは、その特殊な形状ゆえに、有効視野は少し狭く、遍在性の疾患の検査にはあまり適さないが、脳のように3検出器の軌道の中心に位置するような局所臓器の検査には適している」と石黒氏は言う。GCA-9300Rに用意されているファンビームコリメータは、高分解能タイプと超高分解能タイプの2種類があるが、同病院では現在脳血流シンチにはトレーサーとして123I製剤を用いており、それに合わせて高分解能のコリメータを採用している。今後は99mTc製剤を用いた検査も予定しており、その場合には超高分解能のファンビームコリメータを採用するという。
 
最新の画像処理による定量性の向上と、高分解能画像が与える臨床へのインパクト
 体内から放出される放射線が検出器に到達するまでの減弱、散乱といった問題は、定量的な解析を行う際に大きな問題となる。昨今、核医学ではさまざまな補正技術が実装されてきている一方で、その特性や副作用として生じるアーチファクトについても理解して使用することが重要となる。「目的に応じて画像補正の選択・方法は異なると思いますが、減弱補正、コリメータ開口補正などを適宜用いながら読影しやすい画像を提供できるようにしていきたい」と石黒氏は話す。
 GCA-9300Rと同じく2013年9月に発表され新たな脳疾患診断薬として話題となった放射性医薬品「ダットスキャンR静注」も年明け以降供給が始まった。同病院でも実臨床開始に向け、GCA-9300R での撮像条件の検討を進めているが、汎用機と比較すると、特に分解能の良さが確認できたそうだ。ダットスキャンR静注は、脳の線条体に特異的に集積するドパミントランスポーターの分布を反映するものであることから、脳全体をどのように表示させるかが課題だという。線条体は非常に複雑な形態をしており、GCA-9300Rであれば、線条体のより細かい評価が行える画像が得られる。脳の微細な部位の特定が可能になれば、新たな診断方法にも結びつく可能性がある。そのためには、分解能が優れている装置で結果を提供していくことが重要だろう。

 
■GCA-9300R Imaging -藤田保健衛生大学病院での症例
 

脳血流イメージ(健常者)
収集条件・処理条件の詳細はこちら → http://greenwalrus5.sakura.ne.jp/wp/?p=43074
ドパミントランスポーターイメージ(健常者)
収集条件・処理条件の詳細はこちら → http://greenwalrus5.sakura.ne.jp/wp/?p=43077

努力を惜しまずより良い検査結果を提供する
 同病院では、GCA-9300Rは現在頭部専用機として稼働しているが、「心臓検査での活用についても検討の余地はある」と石黒氏は話す。通常の心筋SPECT検査はもちろん、123I-MIBGを用いた心・縦隔比率計算へのニーズもある中で、GCA-9300Rは中視野検出器のため、180cmを越える長身の受診者の場合には有効視野が足りないことも想定されるが、「この場合は、2回に分けて撮像し、RIの時間減衰を計算して画像処理をすれば十分対応可能ではないか」と考えている。
 藤田保健衛生大学病院では、GCA- 9300Rの導入に際してトレーサーとコリメータの組み合わせを試行錯誤しながら物理実験を行い、装置の物理特性を把握したうえで運用を開始し、より良い検査結果を提供するための努力を惜しまない。臨床医からの検査オーダーにレスポンス良く応えていくことが核医学検査を増やす秘訣だという考えが根底にあるからだ。細かな改良のポイントは少しずつ出てきているが、「使用経験を積んで撮影条件の工夫など自分たちでできるところは改善しながらより良い運用を考えていきたい」と豊田氏は話す。石黒氏も「画質、検査時間ともにGCA-9300R は汎用機を凌駕している。今後脳血流シンチはすべてGCA-9300Rで行っていきたい」と大きな信頼を寄せていた。
 

 

 
(本記事は、RadFan2014年11月号付録からの転載です)

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