最新心血管画像診断のインパクト
日時:2014年3月23日
場所:JPタワー
共催:東芝メディカルシステムズ株式会社
座長
和歌山県立医科大学循環器内科
赤阪隆史先生
演者
心臓画像クリニック飯田橋
寺島正浩 先生
【KEY Sentence】
●心臓CTは冠動脈壁の性状評価に有用であり、早期に不安定プラークを発見することで急性冠症候群の発症予防につな
がる。
●320列ADCTによるCTAとCTPの組み合わせ検査で、血行再建術を必要とする血流低下を有する病変部を正確に同定
できる。
●CTによる非侵襲的心筋血流予備量比の測定(FFRCT)で、冠動脈狭窄が虚血を生じるか否かを判定することができる。
●心臓MRIの基準6断面の位置決めを全自動で行う世界初のソフトウェア・CardioLineの導入で検査時間が短縮された。
●遅延造影MRIは病理学的梗塞領域をよく反映し、壁深達度により心筋のバイアビリティを推定することが可能である。
近年、心臓CTでの320列ADCTなど検出器の多列化や、心臓MRIでの高速撮影技術の進歩は著しい。心臓CTは冠動脈狭窄検出において高い感度・特異度を有するほか、心筋血流やFFRなどの生理学的評価も試みられている。一方、心臓MRIは、非造影での心機能、冠動脈MRAならびに造影検査での心筋血流、遅延造影による心筋性状評価、造影検査での心筋虚血評価や心筋バイアビリティ評価などにおいて有用である。日本初の心臓特化型イメージングセンターとして4年間で19,000件を超える心臓CTおよび心臓MRI検査を実施してきた経験から、心臓CT、心臓MRIの循環器診療の中での活用法について概説する。
320列ADCTによる心臓の生理学的評価の試み
従来のCTは形態診断のための検査だったが、近年、320列ADCTによる生理学的診断の試みが進んでいる。国際マルチセンタースタディCORE320(血管の閉塞評価とどの閉塞が心臓への血流供給を妨げているかを同定し、CTの診断制度を評価する初めての前向き多施設共同臨床試験)では、320列ADCTによる非侵襲的な冠動脈CTアンギオグラフィ(CTA)と心筋CTパフュージョン(CTP)の組み合わせ検査が血行再建術を必要とする血流低下を有する病変部を正確に同定することが立証された。
どのような患者にCTパフュージョンを試すかなどプロトコルの整備が必要だが、今後われわれの施設でも心筋虚血を評価するための心筋CTパフュージョン検査を導入していこうと考えている。
また、通常は心臓カテーテル検査で測定する冠動脈灌流量をCTデータから計算し、血行動態をシミュレーションする試みもなされている。CTによる非侵襲的心筋血流予備量比の測定(FFRCT)だ。FFRは冠動脈狭窄のよい生理学的指標だが侵襲的手技を要する。FFRCTは非侵襲的CTにより、狭窄が虚血を生じるか否かを判定することができる。まだ問題点はあるが、CTを撮影するだけでFFRという生理学的なパラメータが得られる点には注目したい。
(本記事は、RadFan2014年5月号からの転載です)