SPECT検査の今:Special Interview 東芝メディカルシステムズ株式会社

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2014.03.27

東芝メディカルシステムズ株式会社

 

営業本部核医学システム営業部部長
真子浩明氏

 
1990年のSNM(北米核医学会)でイメージオブザイヤーを受賞したGCA-9300A
 この度、販売を開始した3検出器型SPECT装置「GCA-9300R」について話す前に、その前身である3検出器型SPECT装置「GCA-9300A」に触れる。「GCA-9300A」は1989年に販売を開始し、翌年のSNM(Society of Nuclear Medicine)1990にて、その画質を評価いただき、HMPAOによる頭部SPECT画像でImage of the yearを受賞し、国内で106台の実績を残した装置である。申し訳ないことに汎用2検出器SPECT装置の台頭から製造を中止し、ユーザーからは色々とお叱りを受け続けてきた装置である。但し、現在でも約60施設のご施設に使用していただいており、多くのご施設から「20年経た今も最高クラスの画質である」と大変うれしい言葉をいただいている。
 
近年の核医学装置の動向と、先生方の根強い要望
 昨今の核医学市場では、汎用性を重視した2検出器型SPECT装置が主流となり、CT画像を利用したSPECT画像への減弱補正を考慮したCT付きSPECT装置、さらにPET-CT装置の登場以降、機能画像と形態画像の融合についての関心が高まり、診断用CT装置を搭載したSPECT装置も臨床に使用されている。また、心臓検査に特化したSPECT装置も登場している。しかし現在稼動している頭部SPECT検査に特化した装置を後継できる装置は今まで国内市場にはなく、GCA-9300Aユーザーの先生方を中心に「新しい装置を導入してもGCA-9300Aの画像を凌駕できない」といった意見をいただき、我々東芝へは「後継機種を開発してほしい」との要望を根強くいただいていた。
 
国内の核医学検査の動向を鑑みて
 2013年7月に日本アイソトープ協会が発表した第7回全国核医学診療実態調査報告書(5年に一度発表)によると、核医学検査数(PET検査除く)が全体的に減少傾向な中で、頭部検査の伸びは顕著となっており、その背景としては、やはり認知症関連の検査が増えていると考えている。2010年時点での推定認知症有病者数が最大439万人との発表*1もあるが、疾患の現状を把握する際にもっとも重要となる基礎疾患の確定に、MRI検査と並んで核医学検査が客観的な方法として期待されている。また、核医学検査全体に占める割合としては頭部検査とともに心臓検査が増えている。高齢化に伴い増える脳卒中や虚血性心疾患に対して続々と最新治療が登場している中、より的確な治療戦略を考える上で、頭部及び心臓への核医学検査に対するニーズは高いと考えており、また、パーキンソン病やレビー小体型認知症への適応に期待されるDaTSCANの登場は、その有用性から頭部SPECT検査数をさらに伸長させるものと考えている。
 
「GCA-9300R」でご要望と期待に応えたい
 機器に対する先生方の声と、核医学検査の動向を踏まえ、3検出器型SPECT装置「GCA-9300R」の発売に至った。SPECT専用機ということでユーザーを限定してしまう可能性はあるにしても、核医学検査の約4割を占める頭部検査と心臓検査に特化した対応ができるため、弊社における収益性・経済性は十分に成り立つとともに、核医学検査分野へ十分に貢献できると考えている。今回のランチョンセミナーでご講演いただいた国立循環器病センター様で「GCA-9300R」1号機をご評価中であるが、多くの先生方からの期待が大きい画質については、すでに高い評価を頂戴しており、今後はさらに、検査時間の短縮、投与量の低減といったチャレンジをご一緒に取り組んでいきたいと考えている。これら画質、検査時間、投与量の進歩は医療従事者様だけでなく、患者様にも直接的に恩恵を受けていただける重要なミッションであろうと捕らえている。

*1第45回 社会保障審議会介護保険部会 資料6より
「一般的名称」核医学診断用検出器回転型SPECT装置「販売名」デジタルガンマカメラGCA-9300R 「認証番号」225ADBZX00120000 
「製造販売元」東芝メディカルシステムズ株式会社「GCA-9300R」は東芝メディカルシステムズ株式会社の商標です。