SPECT検査の今:Nuclear Medicine Interview 03

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2014.03.27

Nuclear Medicine Interview 03

 
 
畑澤 順先生
大阪大学大学院医学系研究科生体情報医学講座

検査時間が短くなれば、患者さんも喜ぶし、より多くの方を検査できる
 頭部SPECTの検査件数は毎年増加している。今まで検査数の多かった小児のてんかんや脳血管障害の患者の検査については、検査件数に大きな変化はないが、アルツハイマー病や認知症の患者の検査件数が増えている。
 当院の頭部SPECT検査は、かつては頭部専用装置で撮影していたが、現在は全身用の2検出器型SPECT装置で撮影している。しかし、全身用SPECT装置では頭部に近づけるのに限度があり、どうしても感度・分解能ともに満足のいくものが得られなかった。
 今回東芝が発表したGCA-9300Rは、頭部用に開発された装置で頭部に近い位置に検出器が配置できるので高感度である。特に認知症の患者の場合はもちろん、長い時間検査は苦痛となるので、感度・分解能ともに優れた装置は非常にありがたい。また当院では、希望されるオーダーに対して検査が応えきれていないこともあり、なるべく短時間で検査を終了できる感度の良い装置を望んでいる。検査時間が短くなり、性能もよくなれば、より多くの先生がオーダーしてくれると思う。3検出器型SPECT装置は感度も分解能もよく、検査時間も短縮できるので、実際の臨床現場において、評価の高い装置であると考えている。
 
大変感激した高画質
 GCA-9300Rの臨床画像については、中川原譲二先生(国立循環器病研究センター)から、脳血流画像をみせて頂いた。今我々が使用している装置に比べ、かなり細かいところまでよくみることができる。さらに、高いところは高く、本来低くあるべきところは低く、コントラストが非常によい画像であり、大変感激した。
 検査時間が短くなり、装置の性能もよくなれば検査オーダーも増えると思うし、さらに性能が向上すれば、今までは正常と区別のつかなかったような認知症患者の早期診断にも非常に役に立つと考えている。
 また、DaTSCANが薬事承認され、これから頭部領域の診断のための装置が必要になってくるので、3検出器型SPECT装置の登場は非常にタイムリーであり、皆が待ちに待った装置だと感じている。
 現在は、全身用の装置が主流だが、今後は、個別の臓器に特化した装置が増えてくるとさらに有用性が高いと考える。同じような装置で90点と95点を比べるのではなく、医療側のニーズや技術を吸収し、違う視点で作った装置という点でも、GCA-9300Rは非常に良かったと思う。
 
3検出器型SPECT装置は、小児核医学への効果も期待できる
 今後の核医学として、小児核医学は重要なことのひとつである。
 小児に検査を行う場合はなるべく投与する放射能量をおさえる必要があるが、高感度の装置を使用することでそれが可能となる。投与量を減らしても、従来かかっていた検査時間と変わらないのであれば、そのメリットは非常に大きいと考える。
 親御さんに検査を勧める際にも、勧めやすい。3検出器型SPECT装置は、その点でもこれまでの核医学検査の問題を軽減できると期待している。感度だけ、分解能だけとどちらかだけが向上するのではなく、両方向上することは、すべての分野にメリットが大きい。
 2014年には我々施設がある大阪で、第54回日本核医学会学術総会、第34回日本核医学技術学会総会学術大会を開催させて頂くこととなった。今の核医学の大きな特徴は、病気の早期診断だと思う。また核医学検査では、患者の治療に直接役に立つ情報が多く含まれており、それらを性能のいい装置で会員の先生方皆がきちんと読影して頂けるような学会にしたいと考えている。