第21回 日本消化器関連学会週間 ブレックファーストセミナー:最新のX線システムを用いたERCP関連手技の進歩

Satellite View~Canon Special Session : セミナー報告
2014.03.26

第21回 日本消化器関連学会週間 ブレックファーストセミナー

低侵襲・効果的な最新の消化器画像診断および治療技術について

 
 

日時:2013年10月10日
場所:品川プリンスホテル
共催:東芝メディカルシステムズ株式会社

座長
 
昭和大学横浜市北部病院
消化器センター
工藤進英 先生

最新のX線システムを用いたERCP関連手技の進歩

 

演者
 
手稲渓仁会病院
消化器病センター
真口宏介 先生

近年、胆・膵領域では、疾患の早期発見と内視鏡技術の進歩により、ERCP関連手技を実施するケースが増えている。これを背景に、本稿では胆・膵内視鏡医が望む理想的なX線の在り方を考察し、当センターで使用しているC アームX 線システム(Ultimax-i、東芝メディカルシステムズ社製)による症例画像と使用状況の実例を紹介する。
 
【KEY SENTENCE】
●ERCP関連手技件数の増加に伴い、X線室での処置や治療が増えている。
●術者の被ばくを減らすためには、アンダーチューブ方式のX線システムが有利である。
●見たいところを確実に見るためには、CアームのX線システムが有用である。
●高度で安全確実な手技を実現するには、「ガイドワイヤーやステントが見える透視像」が重要である。
●複数の画像を同時に見られるマルチモニタは、内視鏡治療の現場で役に立つ。
●内視鏡医が望む理想のX線室の一層の普及が望まれる。
 

図1 ERCP関連手技は増加傾向にある
図2 X線室での処置や治療の増加に応える設備
当センターのX線室は2部屋あり、
その間に操作室を置いている

図3 CアームX線システムUltimax-i
(東芝メディカルシステムズ社製)
図4 術者の被ばく防護(遮蔽カーテン)
図5 アンダーチューブ方式の有用性
遮蔽の工夫によって術者被ばくを抑えることができる
図6 Cアームの有用性
Cアームを動かすことで骨との重なりのない
見やすい画像を表示している
図7 わかりやすい4面モニタ
術中ナビゲーションが安心して行える
はじめに
 胆・膵領域におけるERCP関連手技には、内視鏡的胆管ドレナージや内視鏡的経鼻胆嚢ドレナージなどの胆管・胆嚢の処置から、乳頭に対する処置まで、多岐にわたる。さらに近年double balloonやsingle balloonを用いた術後腸管の関連手技が増えている。また超音波内視鏡を用いる治療として、仮性嚢胞のドレナージや膵管・胆管ドレナージ、神経叢ブロックが積極的に行われるようになってきた。経皮経肝的処置の件数は減少傾向にあるものの、胆道鏡を用いた診断・治療がなくなることはないであろう。このような処置や手術手技の技術的な進歩を背景に、低侵襲かつ効果的なERCP関連手技は、High VolumeCenterや地域の中核病院において今後確実に増加するものと予測される。当センターの現状では、年間ERCP関連手技数が年間1,000例を超え、年々増加している(図1)
 
胆・膵内視鏡医が理想とするX線室とは
 ERCPでは必ずX線システムを使う。必然的に、ERCP関連手技が増加すればX線室での処置や治療が増えることになる。そこで以下、内視鏡治療に携わる胆・膵内視鏡医が望むこれからのX線室とは何かについて、考察したい。
 まず、X線を必要とするERCP関連手技の健全な普及にあたって重視すべきは、X線システムの画質である。特に、ガイドワイヤーの状態、先端の位置や向きを把握できること、すなわちデバイスの視認性が重要である。そのためには撮影の死角がなく、透視像が鮮明であることが必要となる。次に被検者はもちろん術者の被ばくの問題。X線システムの低被ばく化に期待が大きい。そしてモニタの適切な配置。ERCP関連手技では内視鏡のモニタとX線システムのモニタの2つを同時に見る必要があり、これらを隣接する配置が望ましい。最後にX線室に十分なスペースが確保されていること。可能な限り、内視鏡室に専用のX線システムがあるか、もしくは内視鏡医がX線室を常時使用できる運用環境が望まれる(図2)
 
ERCP関連手技に使われるX線システムのあるべき姿
 理想のX線室を考察すれば、そこに稼働するX線システムのあるべき姿が見えてくる。
 
・術者の低被ばく化が可能であること(アンダーチューブ方式)
 術者の被ばくの問題は、今後の普及において一考すべき重要な要因である。さて、通常X線システムは被検者の寝台の上方からX線を出力するものが多く、これをオーバーチューブ方式と呼ぶ。
他方X線を寝台の下方から出力するものをアンダーチューブ方式と称する。CアームX線システムであるUltimax-i(図3)は、どちらの方式にも対応できるが、当センターはアンダーチューブ方式で使用している。胃透視など、ERCP関連手技のほかにもさまざまな検査を行う場合は、オーバーチューブ方式で行う施設も多いと思う。しかし、我々は内視鏡検査における術者被ばくの問題に目を向けた。被検者の上方の空間で手技を行うERCP関連手技では、アンダーチューブの方が本質的に術者の被ばくが少ない。散乱線量特性を比較すると、オーバーチューブは術者上半身の散乱線量が多く、アンダーチューブは術者下半身の散乱線量が多い。ERCP関連手技においては、術者の上半身被ばくを遮蔽することは物理的に難しいが、術者の下半身被ばくの遮蔽は容易である。当センターでは、遮蔽カーテンと遮蔽板を取り付けることで、術者の胸部から腹部にかけて97.1%、骨盤部では98.9%という高い遮蔽率を実現している(図4、5)
 
・精確なスコープ操作を支援する画像角度が得られること(Cアーム方式)
 セデーションされた被検者の体位を術中に変換させることは容易ではない。しかしCアームを動かせば、見たい部分が骨に重なる場合でも、被検者の体位はそのままで、骨と重ならず処置しやすい求める方向から見ることが容易にできる(図6)。たとえばメタリックステント留置の際に、骨やスコープの陰になってステントの位置がはっきり見えない場合、Cアームを動かして死角にならない角度から撮影することで確実にステントを確認することができる。観察したい様々なアングルから必要な情報を迅速的確に得られることが、Cアームを備えたX線システムのメリットと言える。
 
・さまざまな情報を一度にわかりやすく見られること(4面モニタ)
 術中には、まずX線システムの画像と内視鏡装置の画像を同時に確認する必要がある。そのため、両者を表示するモニタは隣接していることが望まれる。また、胆管のどの部位に狭窄があるのか、どこから胆管枝が出ているか、などの多岐にわたる情報を瞬時に知る必要がある。そこで、X線の撮影像あるいはMRCPやCTなどの関連画像をマルチモニタで同時に表示させることで、術者はわかりやすく安心して手技をすすめることができる(図7)
 
・処置や術中の透視像が鮮明であること
(拡大しても高画質な透視像)
 たとえば内視鏡的乳頭バルーン拡張術でバルーンのノッチをゆっくり除去してゆく場合、あるいはガイドワイヤーの先端位置や進み具合を確認する際には、拡大した透視像が有用である。その際、画像を拡大してもざらつきがない見やすい画像でガイドワイヤーや処置具の状態を確認できることが重要である。透視像の画質向上が、ERCP関連手技のクオリティの向上を支援し進化させることに異論はないであろう。Ultimax-iの透視像は拡大しても画像が鮮明で迷わず手技を進めることができる。

「見える透視像」が有用であったERCP関連手技の実例
 
 高性能なFPD:Flat Pand Detectorとさまざまな画像処理技術によってUltimax-iの画像は高い画質を提供してくれているが、とくに、その透視像の画質がいかに重要か、実際の症例で具体的に紹介する。
 
・症例1 ENGBD 胆嚢管嵌頓結石
 安全確実なERCPを行うためには、ガイドワイヤーの先端を透視像で確認しながら実施することが肝要である(図8a)。胆嚢管にカテーテルとガイドワイヤーを誘導する場合、特に注意を要するのは胆嚢管穿孔である。この症例では拡大画像において、ガイドワイヤーがUターンしながら胆嚢に入ってゆく様子がきちんと見える(図8b)。ガイドワイヤーの位置と動きを目で見て確認することで胆嚢管穿孔のリスクを回避できた。ERCPではまず、「見える透視像」であることが重要なのである。
 
図8 ENGBD 胆嚢管嵌頓結石(透視像)

a ガイドワイヤーの先端位置を透視像で確認する
b 透視像でガイドワイヤーの状態を
確認することで胆嚢穿孔を防ぐ

 
・症例2 大腸癌肝転移による胆管複数箇所狭窄に対するメタリックステント(EMS)留置
 中部胆管に変位を伴う狭窄が存在し、その上流にも狭窄がある(図9a)。左胆管はまったく造影されていない。そこで左胆管に0.025インチのガイドワイヤーを誘導し(図9b)、カテーテルで造影した。次に、中部胆管の変位を伴う狭窄部から右胆管にガイドワイヤーを通してゆく必要があるが、入り口を探ることが困難であった。そこで、バルーンカテーテルを用いてガイドワイヤー先端の動きを調整し狭窄部を通過させた(図9c)。次に右胆管狭窄部をバルーンで拡張した(図9d)。0.025インチという細いガイドワイヤーでも動きが明瞭に見える。そののち、左胆管に対して1本目のメタリックステントの先端位置を確認しながら留置した。さらに右胆管に対して、左胆管に置いていたガイドワイヤーを抜き、目印のガイドワイヤーを見ながら新たなガイドワイヤーをメッシュの間から通していった。この際もガイドワイヤーの先端がきちんと見えることが非常に重要である。右胆管へ2本目のステントを留置し、左右の肝門部胆管狭窄に対するメタリックステント複数本の留置に成功した。
 ちなみに我々が以前使用したことのあるほかのX線システムでは、0.025インチのガイドワイヤーの先端が全く見えなかったが、Ultimax-iでは明瞭に見ることができる。この症例のような複雑な手技に関しては、高性能なX線システムでなければ処置や治療を成功させるのは難しいと考える。
 
図9 大腸癌肝転移に伴う胆管複数箇所狭窄に対するEMS留置(透視像)

a 胆管上流と中部に変位を伴う狭窄があり、左胆管は開存していない
b 0.025インチのガイドワイヤーの動きを
透視像で確認しながら狭窄部を通してゆく

c 狭窄部を通すためにバルーンで
ガイドワイヤーの動きを制限させる
d ステント留置のためバルーンで狭窄部を拡張する

 
まとめ
 
 X線室での内視鏡的診断および治療件数が増加している。そのような状況のなか、外科的な手術室や血管造影室と同様に、内視鏡室内に高画質低被ばくのCアームX線システムをはじめとした内視鏡医が望むX線室の設備充実が望まれる。あるいは内視鏡医が常時使用できる専用のX線室を備えるなど、積極的に環境を整えることで、低侵襲で効果の高いERCP関連手技が、今後さらに発展、普及してゆくことを期待したい。
 
(本記事は、RadFan2014年1月号からの転載です)

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