戸畑共立病院[CT]Image Report Case 4 肝腫瘍

Satellite View~Canon Special Session:Innocent Story~ありのままの医療を求めて Archives
2014.02.14

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低管電圧撮影とAIDR 3D で、患者さんにやさしい“造影剤低減CT 検査”を実現する。

低管電圧撮影の原理的な弱点を最先端技術(AIDR 3D)で補うことで、その本来のメリットを造影剤量の低減という患者利益に活かすことができた。
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■ 病 歴:80 歳代 女性
腹部US で肝S6 に約10mm 大の腫瘤を認め、精査目的にて腹部造影CT 施行となる。
腎機能: eGFR 25.8 mL/min/1.73 m2
腫瘍マーカー: AFP、PIVKA-Ⅱ、CEA、CA19-9 は基準値内。
 
■ 検査目的
腎機能障害を認めるため、低管電圧撮影+AIDR 3D+造影剤減量 (360mgI/kg) を併用したダイナミックCT を施行し、肝結節を評価する。
 
■ 読影医コメント
造影CT は種々の疾患の精査目的で施行されるが、造影剤腎症が生じた場合はQOL に対する影響が大きい。従って腎機能障害を伴っている場合は、画質が低下しない範囲で造影剤を減量することが肝要となる。低管電圧撮影はヨード造影効果の改善、コントラスト・ノイズ比の増強を認めるため、造影剤減量の際に有効なテクニックである。他方、低管電圧撮影の欠点であるノイズ量の増加に対しては、AIDR 3D を併用してノイズ低減させることで対処可能である。
 
■ 撮影担当技師コメント
低管電圧撮影は画質の点でAquilion ONE 導入前には抵抗感が大きかったが、AIDR 3D による効果的なノイズ除去効果によって、安心して低管電圧撮影が行えるようになった。造影剤量を低減して得られた画像から手術前シミュレーション3D 画像作成を依頼されることがあるが、低管電圧撮影で必要CT 値を確保できることで、依頼科が納得できる画像をコンスタントに提供できている。

管電圧:80kV
管電流:100-580mA(volme EC:SD9)
再構成関数:FC11
ローテーション時間:0.5sec/rot
コリメーション:0.5mm スライス× 64row
ヘリカルピッチ:1,2 phase HP41(PF 0.641)
:3 phase HP53(PF 0.828)
被ばく低減:AIDR 3D(Mild)
 
80kVp + AIDR 3D
造影剤量を360mgI/kg(240mgI syringes、注入量71ml、注入レート2.5ml/s) に低減。
CT 値 (HU) は、動脈 (344.97)、門脈 (208.42)、肝静脈 (189.69)、肝実質 (126.02)。
通常のダイナミックCT と同等の造影効果が確保されノイズもほとんど目立たない。

動脈相

門脈相

低管電圧 (80kVp)+AIDR3D、造影剤の減量 (360mgI/kg) で撮影されたデータから3D CT Angiography を作成
若干のノイズを認めるが、解剖学的評価などの臨床的評価は十分に可能である。