第40回日本放射線技術学会秋季学術大会 ランチョンセミナー6
日時:2012 年10 月5 日(金)
会場:タワーホール船堀
共催:東芝メディカルシステムズ株式会社
はじめに
従来、下肢の非造影MR Angiography、すなわち造影剤を使用しないFBI法により血管検査を行ってきたが、このような撮影方法の歴史的背景、およびECG-Prepを必要としないFBI検査を可能にした、新しいNon-ECG-Prep法であるEasy FBIについて解説したい。
最適な時相が自動選択されるEasy FBI
先述したFBI-Naviは最適なdelay timeを判定するためのソフトウェアである。横軸にR波からのdelay time、縦軸にsignalintensityをとり、動脈にROIを設けることにより、delay timeごとに信号強度が変化したグラフが得られ、その中から最適なdelay timeを選択することができる。収縮期、拡張期別にdelaytimeを選択することによりECG-Prepの画像が得られる、非常に便利なソフトウェアである。それでも人間の目は経験則に依存し、選択を失敗する場合もある。そこで、ECG-Prepを必要としないEasy FBIが開発された。本法により、経験年数に依存せず、従来法に匹敵する明瞭な画像が得られるようになった。
Easy FBIの実際の検査においては、Locator、Map撮像に続き、心電図読み込みを行うだけで撮像を開始することができる。従来のECG-Prepによる方法と比較すると、非常に簡便である。
まとめおよび将来の展望
Easy FBIを用いることにより、下肢血管全域の検査時間を従来法に比べ3割程度削減することが可能であった。また経験年数に依存せずに検査することが可能であり、画質は従来法とほぼ同等であった。なお、Easy FBIは、PaceMakerという名称で商品化される予定である。 今後の課題としては、不整脈症例に対するソフトウェア上での対応、時間短縮、描出不良の際の対策、さらに全身非造影MRAの検査法への適応が挙げられる。例えば、ボタンひとつで血管の検査が可能となるようなシステムができれば、将来、全身の血管ドックも可能になるであろう。
(本記事は、RadFan2013年1月号からの転載です)