Edison platform

RSNA2018 Report:
2018.12.05

AIとBI(Business Intelligence)を利用して使用者が「気付き」の機会を得られるプラットフォーム。Clinical・Operational・Financialをキーワードに、ヘルスケア展開の幅広い基盤となっていくことを目指している。

今回の展示の大きな目玉として、ブース上部の大型パネルにもその名前が見られる。

Centricity Universal Viewer(AI Based Workflow ※国内薬機法未承認)
 3つの機能で情報を整理し、読影に専念できる環境を整えるビューア。
 CTやMRIの撮影画像をAIで解析し、例えば脳梗塞の有無を自動で検出してPACS上で表示。それに伴い、重要度が高い検査情報としてアラートを付与し、読影のリストに優先に並べてくれる。これによって優先的に読影が行え、効率も上がるのは勿論のこと、脳以外の領域が専門でも緊急時に対処がしやすくなるため、地方や離島の医療施設、及び夜に患者が緊急搬送されてきたケースでの活躍が見込まれる。判断の速さが求められる脳塞の診断とは、殊に相性のいい機能と言えるだろう。
 またDICOMの検査情報に自然言語処理を行い、これから読影する検査において必要となるであろう情報を電子カルテから検索し表示する機能を有している。画像以外にも病理のレポートなど考慮に入れるべき情報は数多く、これらが予め用意されていれば負担は大きく軽減されるだろう。
 既にリリースされているものとしては、レイアウトの学習機能がある。検査の種類や読影医の好みにより、使いやすいレイアウトは様々に異なっている。マシンラーニングを用いてこれを学習し、ケースに応じて自動的に最適なレイアウトを設定するのがこの機能ある。最初は手動でレイアウトを設定するが、ワンクリックでそのレイアウトを学習。これを積み重ねてケース毎の微妙な好みや使い勝手の差異をAIが覚え、まさに自分だけのためにカスタムされた読影環境を提供してくれる。
 検出のサポートや精度の向上は勿論だが、それ以外の使い勝手にも目を向けて快適な読影を可能とするソリューションだ。


Edison Clinical Partnership
 Edisonの開発にあたり、大学病院との提携や開発チームの再編が行われた。
 カリフォルニア大学サンフランシスコ校やマサチューセッツゼネラルホスピタルとの共同研究で、脚部MRI画像のセグメンテーションをPACS上に表示する技術を開発した他、胸部X線画像で見落とされやすい気胸をAIがサジェストするCritical Care Suite on Optima XR240amxをリリースする準備を進めている(※国内薬機法未承認)。このようにEdison Platformで作成されたアプリケーションはモダリティにもPACSにも搭載でき、そして単体のソフトウェアでも使用可能と「どこでも動く」ことを1つのコンセプトとしている。
 またスイスのロシュ社と結んだパートナーシップのもとでは、がん治療におけるOncologistとメディカルスタッフの職種間連携のための情報連携システムを構築。GE社が得意とする体内の解析と、ロシュ社が得意とする採取した血液など体外の組織の解析を組み合わせ、より正確な診断をサポートすることを目指した。
 組織は各技術部門を再編してEdison開発チームを結成。ここでも現場の術者や読影医に配慮した「先生に快適に使ってほしい」という同じ想いのもとに開発が進められた。GE社が重視するPresicion Medicineの実現に向けて、必要な情報をまとめて伝えられるシステムの開発がその第一歩となるという。去年まではPACSというひとつのカテゴリとして扱われていたが、これからは共通のプラットフォームとして展開し、安定した使用感や他科・他施設との情報連携を強みとして開発を進めていく見通しだ。


Clinical以外での活用
 Edisonの活躍は現場でのサポートに留まらない。今回会場には、RISやPACSのデータからワークフロー改善に必要な情報を揃え、分析するアプリケーションも展示されている
 「ダッシュボード」と通称されるこのアプリケーションは、MRI各機の使用率や撮影部位、時間帯などの情報をグラフ化すると共に現在のパフォーマンスを提示。待ち時間や検査時間枠の設け方といった、部門全体でのワークフロー、ひいては病院経営を改善する糸口を導き出してくれる。
 施設によって細かな作り込みは異なっており、GE社員に浸透しているブレインストーミングの手法を活かして、導入する施設と事前に打ち合わせを行う。これによって抱えている課題や本当に求められている機能が何なのかを割り出し、その上で「ダッシュボード」を組み上げて提供。システムの性能に頼るだけではなく、利用者に寄り添う真摯な姿勢が的確な問題解決を可能とする。
 このアプリケーションは既に国内でも日本鋼管病院や昭和大学病院などで導入されており、経営企画室などの事務部門から声がかかることも増えているという。

「ダッシュボード」の画面。
検査数をMRI装置ごとに色分けしてグラフ化している他、
下には使用時間の割合や時間あたりの平均検査数もグラフで表示されている。