【エキスパートがお届け!!Site of RSNA】中根 淳先生(埼玉医科大学総合医療センター中央放射線部)  Part2

RSNA2016 Report:エキスパートがお届け!!Site of RSNA
2016.11.30

中根 淳先生(埼玉医科大学総合医療センター中央放射線部)からRSNA2016の参加レポートを頂きました。

教育展示のレポート

 1つ目Quantifying and optimizing metal artifact reduction using virtual monochromatic Dual-source CT in different metal implants。virtual monochromatic image(VMI)による、金属アーチファクトを低減させる試みは散見される中、金属の種類に着眼し、最適な管電圧設定を見いだす研究であった。方法は、実際の臨床例を用いて、金属なしのVMI 70keVを基準として、チタンのプレート、ステンレス&スチールのプレート、髄内固定チタンの3種類について、骨、筋肉、脂肪、髄内の4点のCNRから最適な管電圧を検討していた。結果は、チタンのプレートは130keV、ステンレス&スチールのプレートは180keV、髄内固定チタンは190keVが最もCNRが優れていた。この研究より、金属の種類=減弱の強度によって、最適な管電圧設定が異なることは推測される。よって、金属の面内における長さが変化する可能性があるため、ポジショニングが変動要因になり得るのではないかと感じ、今後の検討課題として持ち帰りたい。
 もう1つは、全身外傷CTプロトコルにおける上肢の位置と画質や被ばくの関係について先行研究を提示して詳細にまとめた展示であった。上肢の腕の位置は、swimmer’s position、astronaut’s positionとtraveler’s positionに関して検討していた。両上肢が挙上できない場合に良く選択されるtraveler’s positionは、片手を挙上させるswimmer’s positionと比べて約10%CTDIvolが増加する報告があるとしていた。そのため、できる限りswimmer’s positionを選択することで、被ばくも低減でき、更に頚部と胸部の境界である肩部においてビームハードニングアーチファクトを軽減させることができるとしていた。astronaut’s positionは、腕を挙上させることができない場合、ビームハードニングアーチファクトを軽減させるために効果的な方法であると報告していた。ただ、astronaut’s positionに近い報告は藤田保健衛生大学の辻岡先生が詳細に報告しているのではないかと感じた。しかし、全身外傷CTを行う施設の方であれば、一読していただけたい研究である。

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