第5回日本穿刺ドレナージ研究会&第1回国際リンパ管フォーラム in USJ 参加見聞記

2019.07.09

第5回日本穿刺ドレナージ研究会&第1回国際リンパ管フォーラム in USJの参加レポートを
木下光博先生(徳島赤十字病院 放射線科)にご寄稿頂きました!

図1 USJで初開催 代表世話人の保本 卓先生(都島放射線科クリニック IVRセンター)

はじめに

 2019年6月21、22日の2日間にわたり、大阪市で開催された第5回日本穿刺ドレナージ研究会(略して穿ドレ研)&第1回国際リンパ管フォーラムに参加した。今回も前回、前々回に引き続き、本研究会の代表世話人である都島放射線科クリニック 副院長/IVRセンター長の保本 卓先生よりご指名を頂いたので、僭越ながら感想を中心に述べさせて頂く。

 今回は第5回目の記念大会とのことで、前回までの会場とは異なり、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)に隣接するUSJのオフィシャルホテルであるホテル京坂ユニバーサル・タワーで開催された(図1)。1日目は平日にもかかわらず、USJへの入場客が多く、最寄り駅であるユニバーサルシティ駅に降り立ったスーツ姿の参加者に違和感を覚えたのは、筆者のみではなかったと思われた。また事前の天気予報では会期中は雨とのことであったが、保本先生はじめ参加者全員の情熱(passion)が通じたためか、雨に降られることはなかった。

 今回も会場の後方には各メーカのハンズオン、ならびに機器展示ブースが数多く設けられており、さらに協賛企業も前回より増加し、各企業の本研究会への関心の高さが垣間見えた。また今回の参加者は222名で、前回に引き続き200名を超えた(図2)。この規模の研究会で例年200名を超える参加があることは異例であり、ひとえに参加者の本研究会への期待の高さと、代表世話人である保本先生のご尽力・お人柄の賜物であろう。また、今回は第1回国際リンパ管フォーラム(1stInternational Lymphatic Interventional Conference:ILIC)を併催したため、1日目にILIC、2日目に第5回穿ドレ研の開催となった。

図2 1stILICの雰囲気(ホテル京坂ユニバーサル・タワー4F ファンタジーホールにて)

1st ILIC

 今回の最大の特徴はILICを併催したことであろう。しかもInvited Speakerとして、University of PennsylvaniaのDr.Maxim ItkinとSeoul National UniversityのDr.Saebom Hurを招聘するといった、何とも豪華なものであった(図3)。両先生とも非常にご高名で、リンパ管のIVRの第一人者である。リンパ管のIVRは現在ホットトピックであり、平日にもかかわらず多くの参加者がいたことは、この分野への関心の高さがうかがえるものであった。また、これについてはDr.Itkinご自身も驚くと同時に、大変喜ばれていたとのことであった。

図3 Dr.Maxim Itkinを囲んで ILICコアメンバーによる記念の1枚☆

 ILICは三部のセッションと二部のスペシャルセッション(ともに英語)で構成され、さらにこれに加えて、前座としてリンパ管のIVRの総論的内容のレクチャー(日本語)があった。ILICはすべての進行が英語であったが、スマートフォンやPCのチャット機能を使用したHarbor-UCLA Medical CenterのDr.Alisa Suzuki-Hanの翻訳付きで、英語が得意ではない参加者にも配慮された、先進的な取り組みがなされていた。紙面の都合上、詳細は割愛させて頂くが、代表世話人の保本先生とプログラム委員長である慶応大学の井上政則先生のIVR界のミドルエイジ最強タッグがご尽力されたこともあり、筆者のようなこの分野の初学者でも、一日でリンパ管のIVRができるようになった気にさせられる大変有意義なものであった。

第5回穿ドレ研

 1.演題

 演題は一般演題が29演題で過去最多の演題数であった。またランチョンセミナーが3演題、スポンサードセミナーが1演題、特別公演が1演題で、さらにこれに特別企画が加わるといった内容であった。

 一般演題は4部構成であり、第Ⅳ部がドレナージ/その他(8演題)、第Ⅴ部が穿刺/リンパ管/その他(8演題)、第Ⅵ部が穿ドレ/RFA/その他(7演題)、第Ⅶ部が穿ドレ/その他(6演題)であった。一般演題の口演時間は発表6分、討論4分であり、一般的な研究会と比較し討論時間が長く設けられていた。これが本研究会の特徴であり、代表世話人である保本先生のお考えが色濃く反映されているものと思われた。

 2.一般演題

 Ⅳ部構成であったが、各セッションともに、各施設の職人芸と言っても過言ではない報告が相次いだ。特に印象に残ったものとしては、室屋大輔先生(宗像水光会総合病院 消化器外科)の超音波ガイド下骨盤内膿瘍ドレナージの検討、野畠浩司先生(厚生連高岡病院 放射線科)の総胆管カバードステント留置後に続発する急性胆嚢炎に対して経皮的胆嚢管ステント留置を試みた3例、本橋健司先生(東京慈恵会医科大学附属柏病院 放射線科)のFluoroscopic guided puncture for whole bodyなどで、珠玉の症例報告から教育的な報告と多岐に渡っていたが、いずれのセッションにおいても、会場からは各演題に関して非常に活発な討論がなされた。また今回特筆すべきは、放射線科以外の先生方(消化器外科から2演題)からの口演があったことである。穿ドレ研の世話人はほとんどが放射線科の先生方であるが、今回のように放射線科以外の先生方からの演題応募があったことは、本研究会が他科の先生方からも広く認知されるようになってきている証拠であり、理想的な流れであると感じた。

★続きはRadFan2019年8月号にてご覧ください!