「熊本で開催された第1回熊本消化管画像研究会、第25回日本大腸検査学会九州支部会参加レポート」を前﨑孝之先生(大腸肛門病センター髙野病院放射線科)にご寄稿頂きました!
盛夏の中、平成29年8月19日(土)第1回熊本消化管画像研究会[代表世話人:有馬浩美氏(大腸肛門病センター高野病院放射線科)]、20日(日)第25回大腸検査学会九州支部会[会長:野﨑良一氏(大腸肛門病センター高野病院消化器内科)]の下部消化管検査を主体とした研究会と学会が二日間続けて熊本で開催され、今回運営スタッフとして参加した。昨年の熊本地震後、熊本では様々な復旧及び復興事業が行われている中、県内はもとより北海道から沖縄まで全国から多くの参加があり下部消化管検査に携わる医師、メディカルスタッフの熱い志を感じた会であった。今回は多くの関係者の方の協力で盛会に執り行われたこの2つの研究会と学会について参加報告を行う。
第1回熊本消化管画像研究会
熊本消化管画像研究会は消化管検査の更なる普及と診療に役立つ検査技術の向上を目的に透視造影検査だけでなくCT・MRI・USを含めて議論する消化管画像の研究会として発足した。会場は平成29年8月1日にリニューアルを行った大腸肛門病センター高野病院(院長:山田一隆)にて開催され、くまもとアートポリス(後世に残り得る文化的資産としての優れた建造物を造り、熊本独自の豊かな生活空間の創造を目的とした熊本県の事業)による初の病院建築として施設見学会も同日開催された(図1)。診療放射線技師を中心に九州各地(福岡、長崎、熊本、鹿児島、沖縄)から約70名の参加者があった。
1.講演
講演Ⅰでは、淵脇崇史氏(鹿児島:共済会南風病院放射線科)が、「注腸X線検査の基礎~撮影・読影~」と題し、注腸X線検査に必要な基本的な撮影方法から読影レポート記載について説明した。基本技術に加え、高度な技術が必要となる平坦陥凹型病変の描出など消化管造影の診断レベルの高さが伺える講演であった。平成27年に施行された診療放射線技師法改正により診療放射線技師による注腸X線検査が認められたこともあり、注腸透視像の動画による教育方法の提案など継続的人材育成と確保が必要であると述べた。
講演Ⅱでは、有馬浩美氏(大腸肛門病センター高野病院放射線科)が、「大腸CT検査の実際Ⅰ~前処置・タギング~」と題し、下剤の種類や作用機序について説明した。大腸CT検査の前処置においては、大腸癌術前検査・内視鏡挿入困難例・スクリーニングの前処置全般や造影剤によるタギングの必要性、腸管洗浄剤の低用量化による受容性の向上について述べた。また、平成28年3月に薬事承認された大腸CT用経口造影剤の使用報告などもあり、今後の大腸CT検査前処置の向上に向けて更に期待される内容であった。
講演Ⅲでは、安田貴明氏(長崎県上五島病院放射線科)が、「大腸CT検査の実際Ⅱ~撮影・腸管拡張~」と題して、スクリーニングの大腸CTの撮影線量のさらなる低線量化の試みとして自験例を用いて説明した。また、検査の成否に大きく影響する腸管拡張について、良好な拡張を行うポイントを実際の検査風景を動画でわかりやすく解説した。
★続きはRadFan2017年12月号にてご覧ください!