第3回日本穿刺ドレナージ研究会参加見聞記

2017.07.12

第3回日本穿刺ドレナージ研究会参加見聞記を木下光博先生(徳島大学病院放射線科)にご寄稿頂きました!

図1 研究会の雰囲気
はじめに
 2017年6月17日(土)に大阪市で開催された第3回日本穿刺ドレナージ研究会(略して穿ドレ研)に参加した。過去2回の参加見聞記は東京女子医科大学画像診断・核医学科の森田 賢先生が寄稿されていたが、今回は本研究会の代表世話人である都島放射線科クリニックの保本 卓先生よりご指名を頂いたので、僭越ながら感想を中心に述べさせて頂く。
 研究会当日は梅雨時期とは思えぬ晴天であった。会場は前回と同様にJR大阪駅に直結する大型商業タワーのグランフロント大阪の広々とした1室であり、真新しい机と椅子が常備され、非常に快適な空間であった。さらに会場の後方には各メーカのハンズオンならびに機器展示ブースも数多く設けられており、各企業の本研究会への関心の高さも垣間見えた。今回の参加者は151名で前回よりさらに増加し、途中からは後方に椅子のみを増設し対応せざるを得ないような盛況な状況であった(図1)。

図2 最強トークバトル
演題
 演題は一般演題が24演題(第1回は11演題、第2回は18演題)で過去最多の演題数であり、スポンサードセミナーが2演題、特別講演が1演題、そのほかハンズオンや機器展示の構成であった。一般演題は2部構成であり、Ⅰ部がドレナージ、Ⅱ部が穿刺のセッションでそれぞれ12演題であった。一般演題は1 ~2例報告が発表5分、討論4分、3例報告以上が発表6分、討論4分であり、一般的な研究会と比較し討論時間が長く設けられており、これが本研究会の特徴であり、代表世話人である保本先生のお考えが色濃く反映されているものと思われた。

一般演題
 Ⅰ部のドレナージ、Ⅱ部の穿刺のセッションともに、各施設の職人芸と言っても過言ではない珠玉の症例報告が相次いだ。特に印象に残ったものとしては、Ⅰ部では、荒井保典先生(聖マリアンナ医科大学)の門脈内膿瘍を経皮的にドレナージした非常にインパクトのある症例報告、阿保大介先生(北海道大学病院)の膵液瘻に対して既存ドレーン経路と経皮的空腸瘻増設により経皮的に治療をした芸術的な症例報告、平田雅昭先生(松山市民病院)の壊死性膵炎後の真菌感染性walled-off necrosisに対してマレコット型ドレナージカテーテルとシースを併用し、効率よく灌流洗浄を行い治療し得た目からウロコの症例報告などがあった。Ⅱ部では、近藤浩史先生(帝京大学)のPPPD後の慢性門脈閉塞に対して心腔超音波を併用し、再開通・ステント留置に成功したまさに名人芸とも言える症例報告、吉川裕紀先生(慶応義塾大学)の横隔膜膿瘍に対してAxial puncture法でCTガイド下ドレナージ術を施行した非常に有用と思われる症例報告などがあった。またⅠ部、Ⅱ部とも会場からは各演題に関して非常に活発な討論がなされたが、なかでもⅡ部においては、中塚誠之先生(慶応義塾大学)、小山 貴先生(倉敷中央病院)、佐藤洋造先生(愛知県がんセンター中央病院)の最強トークバトルが和やかなムードで繰り広げられる一幕もあり、会場が大いに沸いた(図2)。

★続きはRadFan2017年8月号にてご覧ください!