第59回関西Interventional Radiology研究会報告

2015.07.16

2015年6月27日に大阪で開催された、第59回関西Interventional Radiology研究会の報告を和歌山県立医科大学放射線医学教室 生駒 顕先生にご執筆頂きました!

第59回関西Interventional Radiology研究会報告

和歌山県立医科大学放射線医学教室
生駒 顕

はじめに
 2015年6月27日大阪堂島にあるホテルエルセラーン大阪(5階エルセラーンホール)で開催された、第59回関西Interventional Radiology研究会に参加した。6月の梅雨の時期ということもあり、雨傘を持参したが、晴天であった。5月28日から30日まで、第44回日本IVR学会総会が開催され、その翌月ということもあり、演題数は少ないのではと思っていたが、そこはさすが、関西IVR。35題の演題が集まり、質疑応答ではそれぞれ活発な討論が行われていた。会は大きく7つのsessionに分かれ、各session5題ずつの演題があった。また、「ダブルプラチナB-TACE」、「B-TACE施行時の血流動態についての検討」についての教育セミナーが行われた。また、機器メーカ4社による「コーンビーム、IVR支援技術:最新の話題」というテーマでランチョンセミナーが行われた。
 私は毎回この会に参加しているが、ベテラン医師の白熱する議論を聞くたびに、先輩医師のIVRに対する真摯さ、謙虚さ、そして知識を吸収しようとする姿勢に圧倒され、そうした姿勢を見習わなければならないと反省し、刺激を受ける。しかし、この刺激があればこそ、自らを奮い立たせ、日々の臨床に向き合えるのだと思う。
 さて、今回、興味深かったsession・演題についての私の感想を記していきたい(sessionⅡからの出席であったため、ご了承願いたい)。私は、経験・知識ともに不足しており、読み手の方々が望まれるような期待にそえないことをお許しいただきたい。

SessionⅡ 門脈、門脈圧亢進症
  私自身、日常臨床にて、門亢症のIVRに携わることは少ないのだが、いずれの症例も興味深い報告であった。
 関西医科大学のCTガイド下大坐骨孔経由で経皮的硬化療法を施行した下直腸静脈瘤の報告では、順行性アプローチで、5%EOとNBCAで見事に塞栓されており、新たな治療戦術となりうるのではないかと思われた。しかしながら、左右の上直腸静脈の関与がある場合などはこのような手技は難しく思われ、また、CTでの評価も難しいと思われる。事前に入念な治療戦術を練る必要性を痛感させられた。
 大阪市立大学のVascular PlugⅡを用いて胃腎シャントを塞栓した演題では、プラグは左鎖骨下動脈や内腸骨動脈など動脈以外の血管に用いたことがない私にとっては、とても興味深い症例であった。シャントの最大径は18mmであり、22mmのplug(一番大きなサイズ)を用いて塞栓していた。血管破綻より逸脱が心配であり、もう少し大きなサイズがあればいいのにと思った。静脈系での使用経験がない私にとっては、大変勉強になる症例であった。しかしながら、個人的に、無症状であるが、高総胆汁酸血症があるだけで治療適応になるのか(私なら経過観察するかもしれない)、また、EOなど使用せず、plugのみで塞栓していたが、下横隔静脈などの血管が関与し、不十分な塞栓にはならないのかと疑問に思った。

(続きはRadFan8月号にてご覧ください!)