「2013 Materialise North East Asia Conference」参加レポート

2013.10.19

9月3~4日にベルギー大使館で開催された「2013 Materialise North East Asia Conference」の参加レポートをつしま記念学園日本福祉看護・診療放射線学院の横山博一先生にご執筆頂きました!

「2013 Materialise North East Asia Conference」参加レポート

つしま記念学園日本福祉看護・診療放射線学院

横山博一

図1 今回会場となったベルギー大使館
図2 今回会場となったベルギー大使館・外観
図3 ベルギー大使館の紋章
図4 マテリアライズCEOのウィルフリード・ヴァンクラン氏
図5 正座が可能な駆動角度のついた人工関節
図6 膝関節に挿入された外観

はじめに

 9月3~4日麹町にあるベルギー大使館(図1~3)で3Dプリンターに関するセミナーが開催された。3Dプリンターはここ数年工業・医療方面に広く利用されていると聞くが、実際のところどのように使われているかということが全く分からず、案内がきて取り敢えず参加してみれば、実情が分かるだろうという程度であり、会場が「大使館内」ということで全くの興味本位であった。宿泊先のホテル周辺は広大な敷地を有する英国大使館をはじめ、ポルトガル、イスラエルなど外国大使館が点在している場所である。

初日(午前)

 初日の開催はリュック・リーバウト駐日ベルギー王国大使の挨拶から始まり、続いてマテリアライズCEOのウィルフリード・ヴァンクラン氏(図4)が主催者側のコンセプト、3Dプリンターとそれに伴った「Mimics」の説明、また現状及び将来の応用・可能性についての講演である。マテリアライズ社はベルギーのルーヴァン市(マテリアライズ本社がある)に1990年設立され、設立当初は3Dプリンターが1台と彼1人であったという。会社の冊子にも書いてあるが、AM(Additive Manufacturing:積層造形)が持つ、とてつもない可能性に対する信念だけで立ち上げたベンチャー企業が、20年を経過した今日では、全世界に社員が900名を超す企業へと発展して、更にこのAM業界のリーダー的な存在になっているという。従来からの工業製品(例えば自動車の車体デザイン・部品)では今日、CADから直接立体構造のプロトタイプを作成して時間的、設備・経費的にも大幅に軽減できると強調している。またマテリアライズのAM設備は単一施設としては世界最大の生産能力を誇り、STL形状修正の効率を上げるソフトウエア等も各企業に提供している。医療関係では、代表的な応用として人工関節の作成(図5、6)、頭蓋骨の欠損部におけるデザインを従来では不可能とされた構造について、CTなどから術前シミュレーションを行っており、ここでも時間の大幅な削減とモデリングの工程が容易になって、個々の患者に合わせた医療技術を開発している。
 2番目の講演者は工業系からの発表であった。演者は豊田中央研究所の川本敦史氏による「トポロジー最適化による軽量・高剛性シート構造の設計とAMによる試作」である。この研究所はトヨタ自動車の研究所の一つで今回、トポロジー(図形、すなわち一般には位相空間の位相的に不変な性質や概念を研究する幾何学で、フランスの数学者・物理学者ポアンカレによって創始された現代数学の一つの分野である)を用い、従来にない軽量で座り心地の良い自動車用シートのデザイン・作成について紹介している。ガソリンが高騰している現在、自動車の燃費は最重要課題の一つである。トポロジーの数式は残念ながら理解できなかったが、試作のシートは正に3Dプリンターでなければ作成できない、軽量で、しかも美しいデザインの実物大のシートであった。撮影が禁止されていたため、このシートの写真撮影はできなかったが、講演終了後、演者の川本氏に座り心地を尋ねたところ「大変良い」という返事が返ってきた。
 3番目の演者は香港、Chinese Universityの整形・外傷部門クンタ先生の「Mimicsを利用しての下肢構築プランについて」である。骨肉腫(下肢)に罹患した患者(実例では小児・学童)について、CT画像データから直接3Dプリントした人体形状に、仮想的にプレートを挿入して従来のCADでは構築が難しいとされた箇所に、結果を正確に予想して、尚且つ合併症のリスク軽減が得られているという。しかも埋め込む材料(チタン、ステンレス等)の種類にも限定されず、術中と同じものが使用される利点がある。これは術前検査から挿入される材料の作成まで、以前と違い時間がかからず挿入時のミスレジも少ない理由が挙げられる。この講演から従来、術者の技量・経験から行われた治療も今後はこの技法導入により、より確実に・より安全に行われ強いては患者への恩恵は計り知れないと感じられる。

続きは「RadFan」11月号(2013年10月末日発売)にてご高覧ください。

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