「Non Invasive Imaging Seminar 2012」と 「第3回北海道心血管外科イメージング研究会」参加レポート 〜血流を診る・標準化をめざして〜

2012.12.17

2012年11月9日と16日に札幌にて開催された「Non Invasive Imaging Seminar 2012」と 「第3回北海道心血管外科イメージング研究会」の参加報告を、横山博一先生にご執筆いただきました!
 

参加者へ熱く語る八木先生
コンセプトを説明する七戸氏
「Non Invasive Imaging Seminar 2012」と 「第3回北海道心血管外科イメージング研究会」参加レポート 〜血流を診る・標準化をめざして〜
心臓血管センター北海道大野病院画像診断部
横山博一

はじめに
 2012年11月9日と16日の2週連続の金曜の夜に、会場も札幌の中心部(大通り公園の西側)に位置する札幌教育文化会館で上記の研究会が開催された。
 この2つの会は全く別の主催者(エーザイ(株)、コニカミノルタヘルスケア(株))で運営されているが、企画等を担当(横山)している関係上、奇しくも同じ会館になってしまった。昨年は“アダムキュービッツ祭り”というサブタイトルで2時間たっぷりこの血管について議論がなされ、参加した人々を魅了した。早いものであれから1年が経過した。改めてこの「ヘアピン状血管」が日本人に好まれる対象のひとつだと感じ、機会があったらまた議論したいと考えている。
 
Non Invasive ImagingSeminar 2012について
 さて今年の「Non Invasive ImagingSeminar 2012」のテーマは“血流を診る”というサブタイトルで数値流体力学の世界へ3名の演者が誘った。脳動脈瘤や胸・腹部動脈瘤等は破裂するまで気づかない、若しくはたまたま別の検査等で偶然発見されたというのが一般的である。放射線装置の目覚ましい進歩のおかげで、特にMRI等の作り出す鮮明な画像により「脳ドック」はじめ健診等が手軽に受けられる現在、5mm以下の脳動脈瘤が未破裂な状態で発見され、安全な手術が可能になっている。ただ依然としてこれらの動脈瘤に対するリスクファクターは、先ず「大きさと形状」である。くも膜下出血の8割以上は脳動脈瘤破裂が原因といわれ、破れる前の発見・治療が一番重要である。
 数値流体力学(Computational FluidDynamics/CFD)はもともと医療とは全く関係のない機械工学分野の一学問である。身近なところでは上下水道管等の「水」を流す管の形を決める際、この学問が応用されている。また古くは飛行機の翼や自動車の形状等を決める場合に、空気の流れ(流線)を調べて魅力的で効率の良い乗り物をデザインするためにこの理論が利用されている。このCFDが初めて医療へ応用されたのは10年以上も前に遡るであろうか。その理由はMDCTが登場して、頭・胸・腹部等の血管がより鮮明に描出され、再現性の高い血管の構築が可能になってからである。また同時にその数値計算を行うPCが飛躍的に進歩したためと思われる。関連の論文検索を行うと、意外にその数の多さに驚くばかりである。その中で日本はじめ海外で多くの研究者が最重要ターゲットとして取り上げているのが脳動脈瘤破裂の「予測」または「破裂箇所・破裂機序の特定」である。
 最初に発表を行った演者は梅村誠治氏(アンシスジャパン(株)・東日本営業本部フィールドセールス シニアアカウントマネージャー)で、「医療に応用されるCFD画像の事例について」の講演である。数々の実験・数値データを計算、構築、画像作成等ハード、ソフトの両方の立場から作成手順や製品紹介を含め、その応用される分野を詳細にまとめ、それぞれの画像を示した。

※続きは「Rad Fan2013年1月号」(2012年12月末発売)にてご覧下さい。