第48回日本医学放射線学会秋季臨床大会参加レポート

熊本中央病院放射線科 梶原博生

2012.10.29

2012年9月28~30日、長崎で開催された第48回日本医学放射線学会秋季臨床大会の参加報告を、梶原博生先生にご執筆いただきました!

図1 長崎ブリックホール正面玄関
図2 メイン会場である長崎ブリックホール第1会場内
第48回日本医学放射線学会秋季臨床大会参加レポート
熊本中央病院放射線科
梶原博生

はじめに
 9月28~30日の3日間、長崎ブリックホール、長崎新聞文化ホール、NCC&スタジオの隣接する3会場で行われた第48回日本医学放射線学会秋季臨床大会に参加した。
台風17号の動向が気になっていた天候も大会中は小雨のみで大きく崩れることはなかった。
 今回の秋季臨床大会は会長である長崎大学大学院医歯薬学総合研究科放射線診断治療学教授の上谷雅孝先生による挨拶で始まった。今大会のテーマは「ワクワクする放射線医学―From Imaging to Imagination―」で、画像という目に見えるものから、その裏側にある疾患や病態という目に見えないものを想像する画像診断の面白さ、魅力を感じてもらう大会にとの期待が込められたものであった。
また、原爆の地である長崎での大会開催ということで、山下俊一先生による福島原発事故後の健康リスク管理についての特別講演も市民公開講座として行われた。
 秋季臨床大会における講演は放射線科専門医更新に必要な必須講演、教育講演、リフレッシャーコース、研修医セミナー、シンポジウムと非常に教育内容の濃い大会である。
午前中は2日間とも必須講演に時間をとられたが、残りの時間を教育講演、リフレッシャーコース、シンポジウムそして機器展示、ポスター展示と駆け回った。

大会参加内容
1.講演

 初日に「日米の放射線科卒後教育」という題のシンポジウムがあった。熊本大学の山下康行教授が日本の卒後教育について、メイヨークリニックの川島 明先生が米国の卒後教育について話をされた。米国の卒後教育は初めて耳にする内容で興味深かった。話を聴いて感じたことは、日本では入局を視野に入れ、放射線科の魅力をアピールしたり、関心を持たせることに力を注いでいる印象で、それに比べて米国は放射線科としてのスキルを向上させることに加え、医師としての評価を指導側がしっかり行っているようであった。日本は卒後医師に合わせ、米国は卒後医師が指導側に合わせているように思えた。このことは日本よりも米国の方が、卒後医師の医師としての自覚や向上心というものが高いためではないかと考えさせられた。また、専門医制度にも違いがあるようで、米国では専門医試験に放射線科以外の一般問題が2割程度含まれているとのことだ。さらには専門医を取得した後にも試験が実施されており、日本よりもスキルの持続が重要視されているようだ。
 次に印象に残った講演はリフレッシャーコースのスポーツ外傷で講演された筑波大学附属病院の岡本嘉一先生の話だ。教育講演の多くは内容に関連した疾患の画像や特徴の羅列で、スライドを読んでいくような単調な話となりがちである。この場合、半分以上は右から左に聴き流してしまっている。だが、岡本先生の話は軟骨損傷のcommonな内容ではあったが、会話調の話し方で有名スポーツ選手の話題を取り入れたり、重要な部分を強調することで、参加者の興味を引く、印象に残るような構成になっていた。ちなみに昼過ぎの講演であったが、それまでの眠気が一気に吹き飛んだ。人の興味を惹くというのは非常に難しいことであり、聴き手側を考えた構成に感心した。
 さて、2日目の特別講演は市民公開講座でもあり、被ばくについてわかりやすい講演になっていた。長崎原爆やチェルノブイリ原発事故における調査データーが元になり福島原発での被ばくを抑えることができたとの話だ。被ばく量は10mSv以下で、飲食での内部被ばくに関しては0.1mSv程度だったそうだ。チェルノブイリ原発事故でみられた小児の甲状腺癌のリスクも抑えることができていると思われる。過去の原爆や原発事故という不幸な出来事がその後にしっかりと活かされていることは、せめてもの救いであると感じられた。また、被ばくに対する精神的心理的不安や風評被害の方が主な問題であり、放射線科として正確な情報をしっかり伝えていかなければならないと感じた。

※続きは「Rad Fan2012年12月号」(2012年11月末発売)にてご覧下さい。

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