ISMRM参加見聞記

2012.05.30

2012年5月5~11日に、メルボルンにて開催された第20回ISMRMの
参加報告を、高橋 護先生よりお送りいただきました!

 
 

ホテルからMelbourne Convention & Exhibition Centre
サザンクロス駅
フリンダース・ストリート駅
カルーセル・レストラン・バーから対岸の市街地

聖隷三方原病院放射線科

高橋 護

 第20回ISMRMがオーストラリアのメルボルンで5月5~11日に行われた。私は、ストックホルム(スウェーデン)、モントリオール(カナダ)と続き、3連続で参加することができた。メルボルンは、オーストラリアの南東部のポート・フィリップ湾に面した人口約400万人の港湾都市である。日本からの距離は約8000kmで、現在日本からの直通便はない。シンガポール航空を利用して、中部国際空港からシンガポール経由でタラマリン空港(メルボルン)まで、私の住む静岡県からは待ち時間もあわせて24時間の長旅であった。メルボルンの5月は、日本の11月の季候に相当する。5月4日の朝に到着したが、雨が降っており、気温も10度前後と肌寒かった。空港から、中心地のサザンクロス駅までは、10分ごとに空港バスが出ており、非常に便利であった。サザンクロス駅から会場のMelbourne Convention & Exhibition Centreまでは500mほどで徒歩圏内である。オーストラリアの建築家によって設計され2009年に完成したConvention & Exhibition Centreはショッピングモール、ホテル、カジノなども備える大型複合施設の一角にあり、南半球で最大規模と言われている。川を挟んで会場に隣接するCrowne Plaza Hotel Melbourneに宿泊した。今回も浜松医科大学の竹原先生とご一緒させていただいたが、学会を効率的に楽しむために会場にできるだけ近いところに宿をとることが常となっている。Weekend Educational Courseには申し込んでいなかったので、着いた当日と翌日のある程度の時間は観光に割り当てることができた。オーストラリアというとエアーズロック、グレートバリアリーフやゴールドコーストなど大自然を売りとする観光スポットが浮かぶが、どれもメルボルンからはかなり遠い。ガイドブックを見ると比較的近い所にタンデノンという街があり、そこではマウンテンアッシュという世界一高い木があるとのことだったので、そこに出向くことにした。しかし、実際には車などでさらに移動する必要があり、小雨も降り続いていたので、オージービーフを挟んだサンドイッチの昼食だけとってホテルに戻った。翌日は、メルボルン市街を徒歩にて散策した。荘厳で歴史的な建物と近代的な建物がうまく調和して立ち並ぶ綺麗な街であった。ショッピングモールなどどこも混雑しており賑わいがあった。狭い路地などに入っても危ない雰囲気はまったくなく、治安は非常に良い印象であった。カンガルーのScrotum (小銭入れ)がおみやげで売っていたのは少々衝撃であった。
 日曜日の夕方からは、Exhibit HallでのOpening Receptionに参加した。私にとってはじめての参加であった。参加者や機器の出展者が入り交じって、機器展示のブースやe-Poster用の机でアルコールを片手に、楽しげにあるいは熱く議論をおこなう様子は、日本では考えられない光景であった。
 5月7日(月)からは秋晴れとなり絶好の観光日和となったが、残念ながら(?)、私は会場とホテルを行き来するだけの文字通りの学会漬けとなった。まずは、月曜の朝一番に行われたPlenary Sessionに参加した。Lauterbur Lectureでは、「MRI: From Science to Society」とのタイトルで、Vivian S. Lee先生が、MRIの現状と今後に関して総括して話された。引き続いて、近年注目を浴びている技術の一つであるCompressed Sensingが5名の演者によって口演が行われた。Compressed sensingは、k-space上で信号をランダムに間引いて収集し、その後、何度も何度もNoiseとSignalを分ける繰り返し、Noiseを除去する。SFやスパイ映画などでぼやけたノイジーな画像をボタン一つで鮮明にするシーンをよく見かけるが、(処理時間はかかるが)まさにそれに近いものである。私自身は、Compressed sensingは、2年前のストックホルムでのISMRMではじめて知った。その時は技術的な話が中心で、画像があまり出ておらず、今ひとつ興味が沸かなかった。今回の学会でも技術的な話が中心であったが、臨床画像も多数提示されていた。臨床への導入の問題点のひとつは後処理時間であるが、装置の高性能化やアルゴリズムの改善で大幅に短縮されてきているようであった。Compressed sensing関連は、今回の学会の演題で100題ほど出ていたが、印象的であった演題(#105)を紹介する。息止めの難しい小児の3D T1強調画像にCompressed ensingを利用したもので、7.2xものaccelerationで収集された低SNRの画像をCompressed sensing reconstructionすることにより臨床的にまったく問題ない画像に処理されていた。通常のReconstruction時間も8分程度と以前よりも大幅に短縮されていたが、さらにcoil compression(32ch→6ch)することで1分程度にすることができるとのことであった。最近、CTでは逐次近似法が導入され、大幅な被曝低減や造影剤の減量が可能となり、劇的に変化している。MRIでもCompressed Sensingは、CTでの逐次近似法導入と同等以上のインパクトを持って、近い将来臨床に導入され、必須の技術となると感じた。
 
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