テルモ、令和5年度全国発明表彰の「文部科学大臣賞」と「発明実施功績賞」を受賞 ―薬剤溶出型冠動脈ステント「Ultimaster(アルチマスター)」シリーズの薬剤塗布技術を評価―

2023.05.31

 テルモ株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:佐藤 慎次郎氏、以下 テルモ)は、薬剤溶出型冠動脈ステント(DES:Drug Eluting Stent)の薬剤塗布技術に関する特許発明について、公益社団法人発明協会(所在地:東京都港区、会長:内山田 竹志氏、以下、発明協会)が主催する令和5年度全国発明表彰の「文部科学大臣賞」および「発明実施功績賞」を受賞した。 

 本技術は、ステント表面の薬剤コーティングに亀裂が生じたりコーティングが剥離したりするリスクの低減を目指したもので、テルモのDESである「Ultimaster(アルチマスター)」シリーズ*1に採用されている。

Ultimaster(アルチマスター)

 ステントは血管などの人体の管状部分を管腔内部から広げる医療機器で、心臓の周りにある冠動脈が狭窄したり閉塞したりすることによって起きる狭心症や、心筋梗塞などの治療に使用する。DESは、治療後の再狭窄の原因となる細胞増殖を抑制する薬剤をステントの表面にコーティングした製品である。

 DESは、屈曲した血管に追従するようにジグザグ形状の節を多数組み合わせた多関節構造となっている。病変部でステントを拡張する際に、各節の接合部やジグザグの山となっている部分に圧力がかかり、それらの部分のコーティングが剥離して末梢血管を詰まらせるリスクが懸念されていた。

 受賞対象となったテルモ独自の薬剤塗布技術(グラディエントコーティング)は、薬剤コーティングの厚さをステントの位置によって変化させることが可能。圧力がかかりやすい部分に向かって厚さを徐々に薄くすることにより、コーティングの亀裂や剥離の発生を抑える効果が期待できる。

グラディエントコーティング(イメージ)
グラディエントコーティング(拡大イメージ)

 テルモはこれからも、人々の健康と命を支える価値ある製品やサービスの提供を通して、「医療の進化」と「患者さんのQOL向上」に貢献していく。

受賞者※2

文部科学大臣賞

・丸山 和宏(まるやま かずひろ)
テルモ株式会社 カテーテル開発部研究開発課

・齊藤 昇(さいとう のぼる)
テルモ株式会社 心臓血管カンパニーTIS事業R&D部

・後藤 大樹(ごとう ひろき)
テルモ株式会社 CTO Office R&D戦略グループ

発明実施功績賞

・佐藤 慎次郎(さとう しんじろう)
テルモ株式会社 代表取締役社長CEO

テルモの受賞歴

・令和3年度(2021年度)
表彰内容:全国発明表彰 「文部科学大臣賞」、「発明実施功績賞」
発明内容:インスリン用注射針の発明(特許第4025567号)

・令和4年度(2022年度)
表彰内容:全国発明表彰 「発明協会会長賞」、「発明実施功績賞」
発明内容:医療用閉鎖式輸液コネクタの発明(特許第5903046号)

・令和5年度(2023年度)
表彰内容:全国発明表彰 「文部科学大臣賞」、「発明実施功績賞」
発明内容:剥離しないように薬剤塗布された冠動脈ステントの発明(特許第5570515号)

*1 Ultimaster(アルチマスター)、Ultimaster Tansei(アルチマスタータンセイ)、Ultimaster Nagomi(アルチマスターナゴミ)
*2 受賞者の所属は本表彰の申請当時のもの

全国発明表彰について

 全国発明表彰は、公益社団法人発明協会が主催する表彰制度で、大正8年に科学技術の向上と産業の発展に寄与することを目的に始まり、多大な功績を挙げた発明等を表彰する制度である。

 最も優秀と認められる発明等に「恩賜発明賞」(1点)、特に優秀と認められる発明等に「文部科学大臣賞」や「発明協会会長賞」を始めとする特別賞(各1点)、特別賞を受賞した発明を実施した企業に「発明実施功績賞」が贈られる。

※プレスリリースは、テルモの情報をステークホルダーの皆様へ公平かつ適切なタイミングでお知らせするためのものである。文中に含まれる製品情報(開発中のものを含む)は、顧客誘引や医学的アドバイスを目的とするものではない。
また、業績見通し等の将来に関する記述は、テルモが現在入手している情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいており、テルモとしてその実現を約束する趣旨のものではない。さまざまな要因により、実際の業績等が変動する可能性があり、実際の業績に影響を与えうる重要な要素には、テルモの事業領域を取り巻く経済情勢、為替レートの変動、競争状況などがある。