ボストンサイエンティフィック ジャパン、独自の薬剤コーティング技術を搭載した冠動脈用薬剤コーティングバルーン 「AGENT(TM)」の販売開始~幅広い製品ラインナップでインターベンション治療に更なる貢献を~

2023.02.07

 ボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:森川 智之)は、冠動脈疾患の治療法の一つである薬剤コーティングバルーンとして「AGENT(TM)」の薬事承認を2022年11月25日に取得、また、2023年2月1日に保険収載され、当月より段階的に販売を開始する。

 AGENT薬剤コーティングバルーンは、疎水性と親水性のバランスの取れたボストン・サイエンティフィック独自のTransPax(TM)(トランスパックス)テクノロジーにより、バルーン表面にコーティングされた薬剤(パクリタキセル)を病変部へ届ける。血管内デリバリー中の薬剤流出を低減させる設計のため、病変部に適量の薬剤を送達させ血管壁に浸透させることで、再狭窄の抑制効果が期待されている。

 さらに、AGENTはEmerge(TM) バルーンカテーテル(医療機器承認番号:22400BZX00399000/販売名:イマージPTCAバルーンカテーテル)を活用しており、屈曲病変での抵抗感を低減し血管内における高いデリバリー性能を実現する。豊富なサイズバリエーションで術者にとっては扱いやすく、患者様一人ひとりに合わせた低侵襲な治療を提供している。

販売名:Agent パクリタキセルコーティッド バルーンカテーテル
医療機器承認番号:30400BZX00272000

 AGENTは、動脈硬化で狭くなった血管を拡げるステント留置術後に、再狭窄(ステントの内側に新生内膜が増殖することで血管の内腔が狭くなること)が発生した際や、ステント留置が望ましくないと考えられる対照血管径3.0mm未満の新規冠動脈病変に使用する。バルーンを病変部で拡張することで、バルーン表面に塗布された薬剤が病変部へ移行し再狭窄を予防する効果が期待される。 当社代表取締役社長 森川智之は、「AGENTを上市することで、当社はPCI領域における診断、前処置、ファイナルデバイス、といったほぼ全ての製品ラインナップが揃うことになりました。今後は幅広い製品ポートフォリオを活かして、より一層の臨床的価値および経済的価値を先生方にご提案していきたいと思います。」と述べている。

AGENT Japan SV臨床試験のご紹介

 AGENT Japan SV試験は、本邦で実施されたランダム化比較対照(AGENT DCBと本邦で市販されているSeQuent Please DCB のランダム化比率2:1)試験であり、対照血管径2.00 mm以上3.00 mm未満、病変長28 mm以下の新規小口径冠動脈病変を有する患者におけるAGENT DCBの有効性及び安全性を評価することを目的とした。主要評価項目は手技後6か月間の標的病変不全(TLF*)発現率とし、SeQuent Please DCBに対するAGENT DCBの非劣性を検証した。本SV試験には、本邦の14医療機関から150例(AGENT DCB群:101例、SeQuent Please DCB群:49例)が登録され、全登録症例における手技後6か月間のTLF発現率は、AGENT DCB群で3.0%であったのに対し、SeQuent Please DCB群では0.0%であり、SeQuent Please DCBに対するAGENT DCBの非劣性が示された(非劣性p=0.0012)。 また、本臨床試験では、対照血管径2.00 mm以上4.00 mm以下、病変長28 mm以下のステント内再狭窄病変を有する患者を対象としたサブスタディ(単群試験)も実施しており、本邦の9医療機関から30例が登録された。主要評価項目である手技後6か月間のTLF発現率は3.3%であり、あらかじめ設定した成功基準より十分に低い値であることが示された。(p<.0001)。
  本臨床試験の調整医師である東邦大学医療センター大橋病院の循環器内科教授 中村 正人先生は、「DCBによる冠動脈の治療は、従来のステント治療に比べ、ストラットの厚さにより血管内腔を狭めることなく、また、体内に異物が残らないことから、小口径病変やステント内再狭窄病変に対して有用な治療法です。上述のとおり、AGENT DCBは国内治験で良好な成績を示しました。AGENT DCBの国内承認により、これまでのステント治療に代わる選択肢となることを期待しています。」と述べている。

*虚血を伴うすべての標的病変再血行再建術(TLR)、標的血管に関連した心筋梗塞(Q波と非Q波)又は心臓死

冠動脈疾患について

 心臓をとりまく冠動脈の内壁に徐々に沈着したコレステロール(脂肪)などが血管の内腔を狭め、血管に流れる血液量が減少し、十分な酸素や栄養素を心筋に供給できなくなることで、胸痛や胸部圧迫感を招く。これが一般的な狭心症の症状である。また、急に冠動脈が完全に閉塞して血流が途絶えると、急性心筋梗塞に至る。 このような冠動脈疾患の治療には、大きく分けて3つある。薬物治療、冠動脈バイパス術、経皮的冠動脈形成術である。

 経皮的冠動脈形成術は、カテーテルを用いた治療法である。バルーンと呼ばれる特殊な風船やステントと呼ばれる金属の筒を病変部へ進め、血管の中から狭くなった部分を拡げる低侵襲的な治療法である。 ステントを留置する治療法は広く行われるようになっているが、ステント留置後にステント内再狭窄(ISR)が起こることがある。薬剤コーティングバルーンは、このようなISRの治療法として考案され、近年ではステント留置が望ましくないと考えられる比較的血管径の小さい新規冠動脈病変でも使用される機会が増えている。

<ボストン・サイエンティフィックについて>

 ボストン・サイエンティフィックは世界中の患者さんの健康を向上させる革新的なメディカルソリューションにより生活を改善している。40年超、グローバルな医療テクノロジーのリーダーとして、患者さんの満たされていないニーズに対応し、ヘルスケアのコストを削減するパフォーマンスの高い広範なソリューションを提供して、生活のためのテクノロジーを発展させている。日本においては、心血管疾患領域をはじめ、不整脈・心不全疾患領域、末梢血管疾患、消化器疾患、泌尿器疾患、婦人科疾患領域、疼痛管理・パーキンソン病の治療領域で、患者さんの人生を実り多いものにすることに全力で取り組み、日本の医療に意義のあるイノベーションを起こしていく。
企業サイト: https://www.bostonscientific.jp

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