三菱重工業、京都大学医学部附属病院での放射線治療装置(Vero 4DRT/MHI-TM2000)によるがんの動体追尾治療開始

2011.10.14
がんの動体追尾治療を開始したVero4DRT
 三菱重工業が京都大学医学部附属病院に納入した追尾照射機能搭載の放射線治療装置(販売名:線形加速器システムMHI-TM2000)が、実際の治療の場に供され、肺がんに対する本格的な追尾治療に用いられ始めた。呼吸などにより揺れ動くがん患者の腫瘍をリアルタイムにモニタリングしながら追尾し、狙った病巣のみをピンポイントで連続照射できる最先端医療マシンで、治療ビームが病巣にあたっていることを確認しながら、実際の治療で追尾照射を行うのは今回が世界で初めて。

  がん放射線治療では、体内のがん病巣へ正確に放射線を当て、周辺の正常細胞への影響をいかに最小化するかが追求されてきた。病巣に正確に照射するためには、位置合わせに多大な時間と労力が必要で、より効率よく照射できる機能の開発が求められていた。
 追尾照射機能を搭載したMHI-TM2000は、このような要請に応える装置。これまで難しいとされてきた揺れ動くがん病巣に対し、正確な放射線照射を簡易に実現して、正常細胞への副作用を極力回避するだけでなく、患者・医療スタッフ双方の負担を大きく軽減する。
 追尾照射機能は、同社が保有する画像処理技術と放射線を高精度に照射する技術を融合して実現した。具体的には、X線透視画像を画像処理することにより、動くがん病巣の位置をリアルタイムに把握、それに連動して、治療ビーム(放射線)の方向を追従させて動くがん病巣を追いかけ、病巣だけに集中的に照射することを可能にした。これまでも立体的(3次元)に腫瘍の位置を把握するなど、進化を続けてきた放射線治療は、追尾照射の実現により、3次元情報に時間要素を加えた4次元治療へと進化した。
  このMHI-TM2000の開発は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の基盤技術研究促進事業、産業技術実用化助成事業の支援を受けて取り組んできたもので、京都大学および先端医療センターより医療面の支援を受けている。

  なお、同社は、今回の追尾照射の開始により、「高精度4次元放射線治療装置」の開発を目指した装置開発時のコンセプトがすべて実現したことから、装置の呼び名を“Vero”(世界統一名称)とし、さらに追尾をイメージする“4D”(時間要素)を加味するかたちで“Vero 4DRT”として、一層の拡販を進めていく。