富士フイルム、超高感度イムノクロマト法インフルエンザ診断システム発売

2011.10.06
 富士フイルム(株)は、写真の現像プロセスで用いる銀塩増幅技術を応用することで、一般的な診断薬*1と比較して約100倍の高感度でインフルエンザウイルスを検出できる「超高感度イムノクロマト法*3 インフルエンザ診断システム」を開発した。同システムは、ウイルスの有無を自動判定するデンシトメトリー分析装置「富士ドライケム IMMUNO AG1(イムノエージーワン)」と専用の体外診断薬「富士ドライケム IMMUNO AG カートリッジ FluAB」を組み合わせて提供するもので、平成23年10月24日から富士フイルムメディカル(株)を通じて発売される。

 医療の現場では、インフルエンザの重症化や二次感染を防ぐために、発症初期での迅速で正確な診断が求められている。現在、外来診療の現場で広く使用されている「イムノクロマト法による診断薬*1」は、患者の鼻や喉から採取した検体と試薬の抗原抗体反応によって試薬上に現れる判定ラインを目視で確認し、陽性/陰性を判定する。短時間で判定結果が得られる一方で、発熱などの症状が現れてから半日前後を経過し、ウイルスが一定量に増えないと陽性判定が困難なことや、目視による判定が求められるため判定誤差が生じやすいという問題点があった。

 今回発売される「超高感度イムノクロマト法インフルエンザ診断システム」は、 写真の現像プロセスで用いる銀塩増幅技術の応用により、試薬中の金コロイド標識*4 の周りで銀を増幅させて標識のサイズを拡大することで、試薬上に検体と試薬の抗原抗体反応によってできる判定ラインをよりはっきりと示すことができる。一般的なイムノクロマト法の診断薬*1 と比較して約100倍の高感度*5 でインフルエンザウイルスを検出することが可能となった。さらに、同社が生化学自動分析装置やデジタルカメラなどで培った画像認識技術を応用した読み取り機能搭載の、デンシトメトリー分析装置「富士ドライケム IMMUNO AG1」で測定結果を自動判定することで、判定誤差を格段に低減させた。これにより、発症初期などのウイルスが少ない状態における診断精度が大幅に向上した。分析装置はコンパクトな外形で設置場所を選ばず、3分半~15分で判定結果を得ることができる。

■製品概要
1. 発売日:
平成23年10月24日
2. 製品名:
・デンシトメトリー分析装置
富士ドライケム IMMUNO AG1 (薬事届出番号:14B2X10002000104)
・インフルエンザウイルスキット
富士ドライケム IMMUNO AG カートリッジ FluAB (薬事承認番号:22300AMX00569000)
3. 標準ユーザー渡し価格(税別):
・デンシトメトリー分析装置
富士ドライケム IMMUNO AG1 : 380,000円
・インフルエンザウイルスキット
富士ドライケム IMMUNO AG カートリッジ FluAB :10個入り 13,000円

4. 主な特長
(1) 一般的な診断薬*1 の約 100倍の超高感度でインフルエンザウイルスを検出することが可能
 写真の現像プロセスで用いる銀塩増幅技術の応用により、検体中のインフルエンザウイルスに反応する金コロイド標識の周りで銀を増幅させ、標識のサイズを拡大し、判定ラインを飛躍的にはっきり表示させる事に成功。これにより、発症初期などウイルスが少ない状態における検出精度を大幅に向上さた。
 
(2) 独自の画像認識技術を応用した、簡単操作の分析装置で測定結果を自動判定
 患者から採取した検体を滴下した「富士ドライケム IMMUNO AG カートリッジ FluAB」を「富士ドライケムIMMUNO AG1」に挿入するだけで、3分半~15分で判定ができる。目視判定により発生する判定の誤差を無くし、同一基準による客観データが得られる。また、陽性判定時と終了時(15分)に光と音で知らせるので、反応時間をタイマーで管理する必要がない。今後インフルエンザウイルス以外の検査項目も、専用カートリッジの種類を換えるだけで同様の操作で測定できるよう、対応される予定。
 
(3)コンパクトな外形でどこにでも設置が可能。
 分析装置「富士ドライケム IMMUNO AG1」は幅 180ミリ、奥行き 200ミリのコンパクトな外形に設計。場所を選ばず設置できる。
 

5. 主な仕様
 

製品名  デンシトメトリー分析装置
富士ドライケム IMMUNO AG1
測定原理  イムノクロマト反射光測定法
外形寸法  180(幅) x 200(奥行) x 116(高さ)mm
重量 約 1.8kg
電源電圧  100V 専用ACアダプタ

 
 

製品名 インフルエンザウイルスキット
富士ドライケム IMMUNO AG カートリッジ FluAB
測定項目  インフルエンザウイルス A型/B型
検出検体  鼻腔ぬぐい液・鼻腔吸引液
測定時間 測定開始から 15分(約 3半分から陽性判定可能)
販売単位 10回分/箱
構成物 カートリッジ、綿棒、抽出液、キャップ 各 10個

 
 
*1:体外診断薬の中で、採取した検体を用いてウイルス抗原を検出し、肉眼にて結果判定できる「迅速診断薬」を指している。イムノクロマト法によって季節性インフルエンザの抗原を検出する商品を中心に、病院やクリニックで広く用いられている。
*2:同社の行った一般的な診断薬*1 との比較(発症後 6時間以内の臨床検体での比較)において、同社システムは最短で発症4時間後に陽性判定例が確認されるなど、一般的な診断薬*1 に対して統計的に有意な差で陽性判定が出ることが確認さた。
*3:試薬に滴下した検体(鼻腔ぬぐい液など)中に被検物質(ウイルス等)が存在すると、試薬中の標識抗体と結合して抗原抗体複合体が生成され、この複合体があらかじめ検出ライン上に線状に塗布された抗体に捕捉されると、陽性(抗原あり)を示す色付きのラインが表示される診断方式。簡便迅速に結果を得られることから、処置を急ぐ必要がある感染症の診断に多用されている。
*4:インフルエンザウイルス(抗原)と結びついた抗体の目視能を高めるために、抗体をマーキングする赤色の標識。
*5:標識の増幅処理を行わない、金コロイド標識や、着色ラテックス標識を用いた一般的な診断薬*1 と比較して、検体中のインフルエンザウイルス量が約 1/100の場合でも、ウイルスを検出。他の増幅法を用いた高感度診断薬*1 と比較した場合は A型 16倍、B型 8倍の感度。
 
 
●お問い合わせ
富士フイルムメディカル(株)
営業本部マーケティング部
TEL:03-6419-8033
URL:http://fujifilm.jp/business/healthcare/