関節リウマチの治療効果判定に質量分析を用いたモニタリング技術が貢献   京都大学病院薬剤部、同リウマチセンターとの共同研究成果を発表

2021.11.04

京都大学病院薬剤部および同リウマチセンター(以下、京都大学)の米澤淳および橋本求両博士らと島津製作所の研究グループによる関節リウマチの治療効果判定基準の開発研究に関する論文が、10月13日発刊の米学術誌「PLOS ONE」に掲載された。

当社は2017年から自己免疫性疾患治療における最適な抗体治療法の開発に京都大学と共同で取り組んできた。このたびの成果は、関節リウマチや炎症性腸疾患など多くの慢性的な免疫性疾患治療における、質量分析モニタリング技術を応用したものとなる。島津製作所は、質量分析および抗体医薬分析キット「nSMOL Antibody BA Kit」などの技術を用いて、炎症性シグナル阻害剤インフリキシマブ※1の血中濃度分析を担当した。

インフリキシマブは腫瘍壊死因子と呼ばれる物質を阻害し、全身性の関節炎などを緩和する抗体医薬である。インフリキシマブの開発により関節リウマチ治療は進歩した一方で、一部の患者には十分な効果を示さないことがあった。さらに、関節リウマチを含む自己免疫性疾患は、長期の薬物治療管理を必要とするため、適正な使用法の基準を明確にすることは、患者負担および医療費の軽減の面で社会貢献につながる。

本研究では、日本人関節リウマチ患者様のデータベース(KURAMAコホート※2)を用い、実治療でのインフリキシマブ効果基準値を開発した。血中インフリキシマブ濃度をモニタリングすることで、治療中の効果低下患者群を特定し、その後の適切な治療法の判断基準を提供する可能性を示した。本研究は、京都大学大学院医学研究科・医学部および医学部附属病院 医の倫理委員会倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号:R0357)。

京都大学の米澤博士 コメント

「インフリキシマブを含めた抗体医薬の血中濃度測定の有用性は世界でも注目されています。本技術の活用による抗体医薬の個別化医療の実現は、より効果的な薬物治療の実現や医療費の抑制に貢献するものと期待しています」

※1 腫瘍壊死因子TNF-aに対するモノクローナル抗体で、多くの自己免疫性疾患に対する治療薬として使用されている。
※2 京都大学病院が進める、統合的リウマチ疾患解析のための患者コホート試験。
https://www.racenter.kuhp.kyoto-u.ac.jp/activity/running-study/kurama-study 

詳細は、PLOS ONEに掲載された以下の原著論文をご参照。

Potential application of measuring serum infliximab levels in rheumatoid arthritis management: A retrospective study based on KURAMA cohort data

Nakae K, Masui S, Yonezawa A, Hashimoto M, Watanabe R, Murata K, Murakami K, Tanaka M, Ito H, Yokoyama K, Iwamoto N, Shimada T, Nakamura M, Denda M, Itohara K, Nakagawa S, Ikemi Y, Imai S, Nakagawa T, Hayakari M, Matsubara K

https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0258601 

研究で使用した高速液体クロマトグラフ質量分析計「LCMS-8060」
nSMOL Antibody BA Kitを利用した前処理の模式図

関連ページ
https://www.shimadzu.co.jp/news/press/n00kbc000000apco.html

※掲載されている内容はすべて発表日当時のものである。その後予告なしに変更されることがあるのであらかじめご了承いただきたい。

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