島津製作所、米プロビデンスがん研究センターとの第一相臨床試験結果を発表

2021.05.26

島津製作所は、米国プロビデンスがん研究センター(Providence Cancer Institute、オレゴン州ポートランド、以下Providence)のウィリアム・レドモンドおよびブレンダン・カルティ両博士が中心となって進める新しいがん免疫療法の第一相臨床試験(フェーズI、2016年5月~2021年10月)1) の一部に参画した。

質量分析および抗体医薬分析キット「nSMOL Antibody BA Kit」2) などの技術を用いて、免疫チェックポイント阻害剤の血中濃度分析を担当した。この第一相試験において、ガレクチン3阻害剤3)と免疫チェックポイント阻害剤抗体医薬の併用療法は、メラノーマや頭頸部扁平上皮がんに対して、大きな臨床的奏功(治療効果)が認められた。また、「免疫療法の応答性指標と免疫チェックポイント阻害剤濃度には正の相関があり、抗体医薬の血中濃度が、治療のバイオマーカーになること」も明らかになった。

Providenceアソシエートメンバー、免疫モニタリングラボ・ディレクターのレドモンド博士は、「この試験結果は、免疫チェックポイント阻害剤によるがん免疫療法の恩恵を受ける可能性が最も高い患者を特定するうえで質量分析技術が役立つことを示している」と話した。

3年前から免疫療法における個々人のがんの目印(抗原)や治療薬の体内動態を識別する技術開発にProvidenceと共同で取り組んできた。このたびの成果は、頭頸部、肺、皮膚などのがんを標的とする新しいがん免疫療法における、質量分析技術の貢献に向けた大きな前進となった。

関連情報
https://www.shimadzu.co.jp/news/press/7pbyeadoef_1h1yk.html

¹⁾ 第一相試験は「ガレクチン3阻害剤と免疫チェックポイント阻害剤の併用療法試験」(NCT02575404)。

²⁾ 液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)とともに用いると、簡便に高精度な抗体医薬の動態解析が可能。

³⁾ 多くのがんで高発現する糖結合タンパク質であるガレクチン3は、がんの進行や転移などを促進する機能があります。ガレクチン3を阻害する医薬品候補物質(ベラペクチン)と免疫チェックポイント阻害剤の併用投与は、免疫細胞の活性を回復させ、がん免疫療法の向上につながる可能性がある。

 

詳細は、米国癌免疫治療学会誌に掲載された以下の原著論文を参照。

Enhancing clinical and immunological effects of anti-PD-1 with belapectin, a galectin-3 inhibitor.
Curti BD, Koguchi Y, Leidner RS, Rolig AS, Sturgill ER, Sun Z, Wu Y, Rajamanickam V, Bernard B, Hilgart-Martiszus I, Fountain CB, Morris G, Iwamoto N, Shimada T, Chang S, Traber PG, Zomer E, Horton JR, Shlevin H, Redmond WL.
Journal for Immunotherapy of Cancer. 2021, 9(4):e002371.
https://jitc.bmj.com/content/9/4/e002371.long

 

 

このページの先頭へ戻る