国立国際医療研究センターと日立製作所が次世代医療の実現に向けた連携協定を締結

2018.11.05

国立研究開発法人国立国際医療研究センター(以下、NCGM)と㈱日立製作所(以下、日立)は、次世代医療の実現に向けた連携協定を締結した。協定に基づき、NCGMと日立は、NCGM内に連携拠点を設置し、国際的に模範となる安心・安全な医療の実現をめざし、手術室の高度化や医療従事者の働き方改革を中心として、幅広い分野で連携していく。

NCGMは、日本の医療分野における国際貢献の中核的機関として、感染症その他の疾患についての調査、研究、医療技術の開発、医療の提供および医療従事者の育成等を行うことを目的として設立されたナショナル・センターである。高度総合医療の提供および研究開発を担い、日本を含むアジアの総合病院の模範として医療をけん引することをミッションとして掲げている。
日立は、ヘルスケア分野を社会イノベーション事業における注力4事業分野の一つと位置づけ、画像診断装置、粒子線がん治療システムなどの診断・臨床分野からITを活用したサービスなどのインフォマティクス分野まで、医療の質の向上と効率化を実現するソリューションを提供している。
幅広い分野で先端を行く両者が連携し、将来の世界展開も見据え、安心・安全な医療を支えるパッケージを開発する。
具体的な連携の分野は次の通りである。

1.次世代型外科手術室の開発
これまで外科手術において、特定の診療科に特化した手術室の高機能化が進められてきた。一方、臨床の現場では、診療科横断的な手術に対応でき、人手不足を補い、より安全な手術が行われる手術室を実現することが求められている。NCGMは、研究開発をミッションとするナショナル・センターの中でも総合病院を持ち、診療科間の垣根が低いのが特徴である。また、外科手術室はさまざまな診療科が利用するユニットであり、NCGMの総合力を生かしやすい分野だ。
NCGMと日立は連携して、手術室内の医療機器を連動させ、ナビゲーションなど手術時に医師をサポートする技術の強化に取り組むとともに、看護師の業務や物・人の流れまで全体をパッケージとして、より安心・安全かつ医療従事者が働きやすい手術室の実現をめざす。また、これらのパッケージを新興国等の医療の質の向上に役立てることを検討する。

2.働き方改革の推進
一人一人が活躍でき、多様な働き方を可能とする一億総活躍社会の実現に向け、医療の現場でも働き方改革の推進が必要不可欠である。NCGM と日立は、デジタル技術を活用した働き方改革を推進し、医療従事者がワークとライフを両立するとともに、患者志向型の病院づくりを進める。具体的には、ロボットが医療従事者の業務を代行することの可能性を検証するため、日立のコミュニケーションロボット「EMIEW3(エミュー・スリー)」の臨床現場での導入に係る実証研究を行う予定だ。

3.先端技術を活用した医療現場の改善
日立が持つ画像診断技術や音声認識技術、指静脈認証技術などを活用し、病院のさまざまな課題解決に向けた応用可能性を探る。
このような連携活動を円滑にし、両者がより近い場所で同じものを見て考え、創造できる協創の場として、NCGM内に日立との連携拠点を設置する。
NCGMと日立は、こうした活動を通じ、患者や医療従事者に安心・安全な医療を提供できるパッケージの開発を進めていくことで、医療現場の課題を解決するとともに医療産業の国際力強化をめざす。

■お問い合わせ先
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 企画研究部研究医療課
電話:03-5273-6825(直通)

株式会社日立製作所 ヘルスケアビジネスユニット 経営戦略室
TEL:03-6284-3724(直通)