富士フイルム、低線量で高鮮鋭・高コントラストなX線動画を実現する新処理エンジンを搭載した外科用Cアーム型デジタル透視システム「COREVISION 3D」新開発

2018.04.10

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低線量で高鮮鋭・高コントラストなX線動画を実現する新処理エンジンを搭載
外科用Cアーム型デジタル透視システム「COREVISION 3D」
手術中に3D画像を確認でき、より正確な手技をサポート

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 富士フイルム株式会社は、新X線動画処理エンジン「Dynamic Core Engine」により、低線量で高鮮鋭かつ高コントラストなX線動画像を実現する、外科用Cアーム型デジタル透視システム「COREVISION 3D」を荒阿多に開発した。「COREVISION 3D」は、2D動画だけでなく、術中に対象部位を180°相当スキャンして3D画像を描出することで、医師の正確な手技をサポートする。
 なお、「COREVISION 3D」を4月13日から15日にパシフィコ横浜で開催される「2018国際医用画像総合展」に出展する。

 整形外科手術や血管内カテーテル治療1)は、外科用Cアームを用いて、幹部の状態をX線透視しながら行われる。そのため、外科用Cアームで得られるX線画像は、体内に挿入した処置具の位置や患部の状況が把握できるよう、高鮮鋭であることが求められる。また、近年被ばくへの関心が高まっており、長時間のX線透視を行う治療や手術においては、X線動画撮影時のさらなる低線量化が求められている。
 富士フイルムは、2017年4月に長年X線静止画像で培ってきた画像技術を応用し、ノイズを抑えた高鮮鋭なX線動画像を表示することができるX線動画技術を開発した。本技術は、動画を構成する「一枚一枚の静止画2)にノイズ低減処理を施し、さらに患者の体が動いた領域に合わせて前後のフレームを重ねることで鮮鋭度の低下を抑制する。この画像処理は高速に行われるため、1秒あたりのフレーム数が多い場合であっても、実際の動きのタイムラグを抑ええて、処置具や患部などの対象物を鮮明に描出する高鮮鋭なX線動画を得ることができる。

 今回開発した外科用Cアーム型デジタル透視システム「COREVISION 3D」は、富士フイルムのX線動画技術と、X線動画全体のコントラストを最適化する画像処理技術「Dynamic Visualization2」で構成されるX線動画処理エンジン「ダイナミックコアエンジン」を搭載している。これにより、対象部位のX線吸収量の違いにより発生する白つぶれや黒つぶれの抑制などの画像処理を高速に行い、高鮮鋭かつ高コントラストなX線動画像を提供する。さらに、対象部位を180°相当スキャンして、3D画像を描出できるため、脊椎の圧迫骨折による椎体3)間固定術やひざなどの人工関節置換術において、体内に挿入したインプラントやスクリュー、固定プレートの位置など、2D動画では見えにくいものをさまざまな角度から確認することができる。
 「COREVISION 3D」はFPD(X線画像平面検出器)4)に、X線エネルギーの変換効率を高める富士フイルム独自のISS方式5)を採用しており、「ダイナミックコアエンジン」と組み合わせることで、同エンジンを使わない場合と比べて、約半分のX占領6)でも、同等の画像を実現する。

 なお、今回、「COREVISION 3D」の他に、「ダイナミックコアエンジン」を搭載した外科用Cアームとして、スタンダードモデルの「COREVISION LD」、モニター一体型で省スペースを実現した「COREVISION SD」も開発した。

 富士フイルムは、医療現場で急速に高まるX線画像の高画質化や低被ばく化のニーズに、先進の技術をもって取り組んできた。今後は、X線動画の分野においても、自社技術を活かし、さらなる医療の質の向上に貢献してゆく。



 

一般的な間接変換型 FPD(左)と、ISS 方式の FPD(右)の比較

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1.品名
COREVISION 3D
 (販売名:X 線透視診断装置 CoreVision 3D/認証番号:第 230ABBZX00033000 号)
2.発売時期
2018年6月頃を予定
3. 主な特長
(1)新 X 線動画処理エンジン「ダイナミックコアエンジン」により、高鮮鋭かつ高コントラストなX線動画像を提供
・動画像を構成する一枚一枚のフレームにノイズ低減処理を施し、さらに患者の体の動きを高精度に検出して前後のフレームを重ね合わせることで、
  ノイズを低減しながらも処置具や患部の対象物を鮮明に描出する。
・対象部位の X 線吸収量の違いにより発生する白つぶれや黒つぶれを抑制し、バランスの良いコントラストを実現する。
・画像処理が高速に行われるため、最大25フレーム/秒の高フレームレートでも、
  実際の動きと動画上の動きのタイムラグを抑えて、X線動画を鮮明に描出します。
・対象部位を 180°相当スキャンして、術中に 3D 画像を描出し、体内に挿入したインプラントやスクリュー、
 固定プレートの位置など 2D 動画では見えにくいものをさまざまな角度から確認することができます。
(2) ISS方式を採用した、X 線エネルギーの検出効率が高いFPDを搭載
・デジタル X 線画像診断で多くの実績と高い評価を得ている、富士フイルム独自のISS方式を採用した FPDを搭載。
 「ダイナミックコアエンジン」と組み合わせることで、同エンジンを使わない場合と比べて、約半分のX線量でも同等の画像を提供。
  ISS方式では、光信号がセンサーに到達するまでの距離が短いため、より減衰が少ない段階のX線エネルギーを検出できる。
  また、低線量の撮影でも、より多くの X 線エネルギーを受け止められるように、従来方式よりも蛍光体層を厚くしている。
・本FPDは、外科用Cアームでは最大級の 31cmx31cmで、椎体など観察対象が広範囲の治療にも最適だ。
  また、高精細な 150μm 画素サイズを採用することで、細いカテーテルなどの視認性を向上させている。

【COREVISION LD と COREVISION SD について】
1.品名

・COREVISION LD
 (販売名:X 線透視診断装置 CoreVision LD/認証番号:第 230ABBZX00037000 号)
・COREVISION SD
 (販売名:X 線透視診断装置 CoreVision SD/認証番号:第 230ABBZX00038000 号)
2 .発売時期
2018 年 6 月頃を予定
3.主な特長
  <両機種共通(COREVISION 3D にも搭載)>

新 X 線動画処理エンジン「ダイナミックコアエンジン」により、高鮮鋭かつ高コントラストな X線動画像を提供
・動画像を構成する一枚一枚のフレームにノイズ低減処理を施し、
  さらに患者の体の動きを高精度に検出して前後のフレームを重ね合わせることで、
  ノイズを低減しながらも処置具や患部の対象物を鮮明に描出する。
・対象部位の X 線吸収量の違いにより発生する白つぶれや黒つぶれを抑制し、
  バランスの良いコントラストを実現する。
・画像処理が高速に行われるため、最大25フレーム/秒の高フレームレートでも、
  実際の動きと動画上の動きのタイムラグを抑えて、X線動画を鮮明に描出する。

 <COREVISION LD のみ(COREVISION 3D にも搭載)>
(1)富士フイルム独自の ISS 方式を採用した、X 線エネルギーの検出効率が高い FPD を搭載。
「ダイナミックコアエンジン」と組み合わせることで、同エンジンを使わない場合と比べて、約半分の X 線量でも同等の画像を提供。
 本 FPD は、外科用 C アームでは最大級の 31cmx31cm で、椎体など観察対象が広範囲の治療にも最適だ。
(2)25kW の大容量出力が可能。長時間撮影を可能にする、X 線発生器の冷却機構「Advanced Active Cooling」7)を搭載し、
 様々な手術に対応できるスタンダードモデル。

 <COREVISION SD のみ>
(1)モニター一体型のオールインワンデザインで、省スペース化を実現。
(2) 20.5cm×20.5 cmのCMOSフラットパネルディテクター搭載。ノイズや歪みが少ない高解像画像を描出。

 ※1 狭心症や心筋梗塞等、心臓の冠動脈が詰まったり狭くなったりした疾患に対する治療法の一つ。
  足の付け根、手首、ひじなどにある動脈から、カテーテルと呼ばれる細い管を挿入し、狭くなった血管を広げる。
 ※2 動画像を構成する静止画像の 1 コマを指す。
 ※3 脊椎(背骨)は、椎骨と呼ばれる複数の骨が連結して構成される。
  椎体は、椎骨のうち腹部側にある楕円形に近い形をした部分。
 ※4 Flat Panel Detector の略。被写体を通過して照射されるX線エネルギーを検出し、
  電気信号に変換する、画像平面検出器のこと。
 ※5 Irradiation Side Samplingの略。TFT パネルを、X線照射面側に配置する方式(上図参照)。
  従来方式の FPD に比べ、より減衰が少ない段階のX線エネルギーを光信号に変換でき、
  X線エネルギーの変換効率を高めることができる。
 ※6 体幹(胸部・腹部・骨盤の部位)の術式において。
 ※7 X 線発生器の放熱のために、装置内部に搭載された水冷方式による冷却機構。



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富士フイルムメディカル株式会社
営業本部 マーケティング部
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