ボストン・サイエンティフィック、両室ペーシング機能付き植込み型除細動器RESONATETM X4 CRT-D、新発売

2018.01.22

 ボストン・サイエンティフィック ジャパン(株)は1月22日、両室ペーシング機能付き植込み型除細動器RESONATETM X4 CRT-Dにマルチサイトペーシング機能を追加し、新発売した。CRT治療においては、効果が認められない患者さん(ノンレスポンダー)の存在が課題となっている。RESONATEは、マルチサイトペーシング機能を追加したことより、「Where(どこを)」「When(いつ)」「How(どのように)」の観点から患者さんごとに設定を適切に行うことができ、CRT効果を改善できる可能性が高まる。

・ペーシングを行う「部位」に関してRESONATETM X4 CRT-Dは、最遅延部位(RVS-LVS間隔)の測定値を提供し、より適切なペーシング設定に寄与することが期待される。また、リードの位置については、「心尖部への留置は好ましくない」という解析結果*1が得られているが、RESONATETM X4 CRT-Dと併用可能なACUITYTM X4リードは心尖部ではなくベーサル部位でのペーシングが可能なリードデザインであることが示されている*2.3

マルチポイントペーシングで最適化することにより、最大90%までレスポンダー率を改善することが示唆された*4

・ペーシングを行う「タイミング」に関しては、心収縮力を最大化できる最適なアルゴリズムによりポンプ機能を適正化することができる*5。最遅延部位の測定値の間隔(RV-LV間隔)の長い患者ではレスポンダー率は82%だった*6

・「どのようにペーシングするか」に関しては、マルチサイトペーシング機能により、左室の2点からペーシングを行うCRTの新たなペーシングパターンが可能になり、これまでCRT効果を得られなかった症例に対しても血行動態を改善することが可能となった。

 RESONATETM X4 CRT-Dは、英国国立医療技術評価機構(NICE)により、長寿命であることから使用を推奨された*7ボストン・サイエンティフィック社製ENDURALIFETMバッテリーを搭載したCRT-Dである。RESONATETM X4 CRT-Dはマルチサイトペーシング設定時にもENDURALIFETMバッテリーにより、業界をリードする予測寿命12.1年*8を達成した。2002年より自社で開発したENDURALIFETMバッテリーは9つの独立した試験で長寿命デバイスであることが示されている*9

 心不全とは、2017年10月に日本循環器学会と日本心不全学会が発表した定義によると、「心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気」で、心筋梗塞や心筋症など何らかの原因により、身体が必要とする十分な量の血液を送りだせない状態になることを指す。日本循環器学会がまとめた循環器疾患診療実態調査によると2016年の心不全による入院患者数は約23.3万人であり*10、高齢化の進展を背景に患者数の増加が予想されている心疾患の1つである。

 CRT-Dは、心臓内の収縮のタイミングのズレをペースメーカ等で補正することで、正常に近いポンプ機能をとり戻す治療法であるCRT機能と、除細動器機能を併せ持った植込み型の治療機器である。CRT-Dは、心臓の働きを常時監視し、不整脈が起こった場合、電気ショックなどの電気刺激治療を行う。CRT-Dは、胸部に植込まれるパルスジェネレータ(本体、デバイスとも言う)と、心臓に植込まれ、本体に接続される3本の導線(リード)から構成される。

 RESONATETM X4 CRT-Dについて、東京女子医科大学循環器内科先進電気的心臓制御研究部門特任教授/信州大学循環器内科特任教授 庄田守男医師は、「心不全患者にCRTを用いた治療を行っても反応しないことが30~40%程度あります。これは治療効果という観点以外に医療経済的にも大きな損失です。より多くの患者さんにCRT効果を発揮させるために様々な試みが行われていますが、マルチサイトペーシング機能によりCRTに反応する可能性が高くなることが期待できます。この機能を使用するにあたり心室の3カ所でペーシングを行うのでデバイス電池寿命が気になりますが、RESONATETM X4 CRT-D は元来長寿命であり、その長所を十分に発揮できると思います。」と述べている。

 ボストン・サイエンティフィック ジャパン バイスプレジデント/カーディオバスキュラ部門ジェネラルマネージャー スティーブン・モースは、「私たちは、日本の患者さんにとって負担が少なく、かつ治療効果の高いテクノロジーを提供することで日本の医療に貢献することを目指しています。RESONATETM X4 CRT-Dに搭載されているENDURALIFETMバッテリーは、長寿命を誇るもので、ボストン・サイエンティフィック社の“意義のあるイノベーション”を代表するものです。植込み型デバイス患者さん共通の不安として、バッテリー消耗による交換手術があり、バッテリー寿命は大きな関心ごとです。ENDURALIFETMバッテリーは、CRTレスポンスを改善するために個々の患者さんが必要とするデバイス設定を妥協することなく提供することを可能にします。」とコメントしている。

1. Singh JP, et al. Left Ventricular Lead Position and Clinical Outcome in the Multicenter Automatic Defibrillator Implantation MADIT-CRT Trial. Circulation 2011; 123: 1159-1166
2. Clinical Summary: NAVIGATE X4 Study 358487-022 EN US 2016-012.
3. Philippon F, et al. Left ventricular three-dimensional quadripolar lead acute clinical study: The LILAC study. PACE. 2015; 38:438?447.
4. Zanon, et. All. JACC April 5, 2016. Volume 16, Issue 13.
5. SMART-AV Study. Ellenbogen et al. Circulation. 2010;122:2660-2668.
6. Gold.M.,et al.The Effect of interventricular Delay on AV Optimization for cardiac Resynchronization Therapy.AHA 2017
7. 本推奨は、英国で実施された医療技術の費用対効果評価に基づいたものであり、日本の環境下で推奨されたものではありません。
8. Assumes: 2.0V RA, LV-only, 2.0V LVa, 2.0V LVb, 700Ω, LATITUDE, Respiratory Rate Sensor ON, 心不全センサースイートON
9. Longevity 関連文献
Haarbo J, Hjortshoj S,et al. Device Longevity in Cardiac Resynchronization Therapy Implantable Cardioverter Defibrillators Differs Between Manufacturers: Data from the Danish ICD Registry. Presented at HRS 2014. http://ondemand.hrsonline.org/common/presentation-detail.aspx/15/35/1241/9000.
– J. Williams, R. Stevenson. Contemporary cardiac resynchronization implantable cardioverter defibrillator battery longevity in a community hospital heart failure cohort. Presented at HFSA 2014. http://www.onlinejcf.com/article/. S1071-9164(14)00389-3/fulltext.
– Ellis CR, Dickerman DI, Orton JM, ,et al. Ampere Hour as a Predictor of Cardiac Resynchronization Defibrillator Pulse Generator Battery Longevity: A Multicenter Study. PACE 2016 doi: 10.1111/pace.12831 first published online 11-MAR-2016. The five major institutions performing the study include, at Vanderbilt University, Henry Ford Hospital, University of Michigan, Thomas Jefferson University, Cooper Health System, North Ohio Heart Center.
– Landolina M, Curnis A, ,et al. Longevity of implant Cardioverter-defibrillators for cardiac resynchronization therapy in current clinical practice: an analysis according to influencing factors, device generation, and manufacturer. Europace2015;17:1251-58. doi:10.1093/eurospace/euv109. First published online: May 14, 2015.
– Zanon F, Martignani C, ,et al.. Device Longevity in a Contemporary Cohort of ICD/CRT-D Patients Undergoing Device Replacement. Doi:10.1111/jce.12990, First published online 20-APR-2016. Comparison of device longevity by Kaplan-Meier curves of CRT-D systems extracted between March 2013 and May 2015.
– Provided by Dr. Ernest Lau on 04/29/15 in support of Lau E, Wilson C, Ashfield K, McNair W, McEneany D, Roberts M, Large Capacity LiMnO2 Batteries Extended CRTD Longevity in Clinical Use Compared to Smaller Capacity LiSVO Batteries Over 6 Years. Presented at HRS 2015.
– von Gunten S, Schaer BA, ,et al.. Longevity of implantable cardioverter defibrillators: a comparison among manufacturers and over time. Europace. 2015 Nov 25; . Epub 2015 Nov 25.
– Alam MB, Munir MB, ,et al.. Battery longevity from cardiac resynchronization therapy defibrillators: differences between manufacturers and discrepancies with published product performance reports. Europace 016;doi:10.1093/europace/euw044. First published online: 22-MAR-2016. Kaplan Meier curves depicting survival of CRT devices free from battery depletion by device manufacturer. Battery Longevity in Cardiac 2014; Europace (2014) 16,246-51.
– Shabanna Din, Shabanna, Mcgee, ,et al.. Longevity of implantable cardioverter defibrillators: The impact of device manufacturer and device type on device longevity were assessed. Europace. 2015 Nov 25; . Epub 2015 Nov 25.
10. 日本循環器学会循環器疾患診療実態調査(2016) http://www.j-circ.or.jp/jittai_chosa/jittai_chosa2015web.pdf

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