東芝メディカルシステムズ、次世代3テスラMRIの省スペース化技術および静音化、撮像時間短縮アプリケーションを開発

2016.04.13

東芝メディカルシステムズ(株) は、次世代高性能3テスラMRIを省スペースで実現する技術および静音化、撮像時間の短縮を可能とする新アプリケーションを開発した。新技術は日々高まる臨床現場からの要求を高度に満たすだけでなく、設置面積を徹底的にコンパクトにし、臨床検査の質の向上を支援するとともに病院経営に貢献する。
今年度中に本新技術を搭載した製品の販売を目指し、高度な検査を達成しつつ、医療従事者にも患者さんにも優しいMRIの技術開発を推進する(注1)
なお、本技術は2016年4月14日から横浜にて行われる第75回日本医学放射線学会総会(JRS)で学会発表する。

開発の背景
今日、更なる高画質化を求めて1.5テスラMRI装置から3テスラMRI装置への更新需要が高まっている。また従来MRI検査として当たり前とされていた、検査空間が狭い・うるさい・検査が長いといった患者さんの検査環境の問題も、日々新しい技術開発が進むことで改善されつつあり、臨床現場への早期普及が期待されている。そのような背景の中、傾斜磁場コイルシステムを一新したSaturn Technologyは、大口径3テスラMRI装置での飛躍的な高画質化および静音化を実現し、多くのお客様から高い評価をうけてきた。この度、本Saturn Technologyを1.5テスラ装置の部屋の改修を行わずに設置可能にする省スペース化技術や、更なる静音化と撮像時間の短縮化を可能とする新しいアプリケーションを開発した。

■Saturn Technologyを省スペースで実現
これまで、撮影時間の短縮化や、高分解能化へ対応するためには傾斜磁場コイルシステムの出力を増加させる必要があり、消費電力の増大や、システムの大型化に繋がっていた。単に電気容量を減らして小型化した場合、高出力の傾斜磁場性能を得られないだけでなく、内部電圧の変動により目的の出力を達成できず画像の劣化を引き起こす。
この度同社が開発した新技術では、シーケンスプログラムと内部電圧の変動を高度に管理するシステムを新たに構築。最適化された電源システムにより、高出力を変動なく安定して発生させる環境を実現した。この技術により、従来1.5テスラMRI装置を導入しているほとんどの施設において(注2)、そのままのスペースでSaturn Technology 搭載の大口径3テスラMRI装置の設置が可能となる。

■更なる静音化と検査時間の短縮化
同社のMRI装置は、1999年からハードウェアの工夫によって検査時騒音を低減するPianissimo™を搭載。これにより全ての検査の騒音を最大で約90%低減し、納入施設だけでなく、検査を受ける患者さんからも高い評価をうけている。
新技術ではさらに静音性を高めるべく、新しい撮像手法を開発した。MRI装置では傾斜磁場コイルに電流を流して撮像を行う。大きな騒音は、その電流波形によって傾斜磁場コイルが振動することで発生する。今回撮像方法を工夫することで、電流波形の変動を限りなく小さくすることにより、検査時の騒音を最大99%まで低減し(注3)、患者さんの検査空間の更なる改善を実現。さらに、当社の強みである非造影撮像法を掛け合わせることで、血流の観察も静かな環境で達成。患者さんに優しい検査を提供するとともに、臨床価値提供の両立を可能としている。
また、MRIの課題の1つとして、撮像時間の長さがある。同社グループ会社であり画像解析メーカーとして著名なオレアメディカル社と共にComputed MRI技術を開発した。2つの画像を収集した後に計算処理を行うことで7種類の画像を表示でき、検査時間の大幅な短縮を可能とする。このComputed MRI の演算は当社の医療画像処理ワークステーションVitrea™(ヴィトリア)のプラットフォーム上で実施できる。ネットワークで繋がれた複数の端末上で、リアルタイムなパラメータ変更が可能となり、より臨床に直結した結果を即座に得られる。

今後の展望
これまで同社MRI事業部は、MRI検査を受ける患者さんに寄り添い、狭い空間や騒音による不安を軽減するための技術や非造影撮像の技術開発を行ってきた。今後はさらに革新的な技術を融合させ、早期の製品化を目指す。

(注1):本技術は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)の認証を取得しておりません。現時点では販売・供与できません。
(注2):同社1.5テスラ装置既存納入施設での調査結果。
(注3):同社測定値。静音化技術ON/OFFの比較。

●お問い合わせ
東芝メディカルシステムズ(株)
URL:http://www.toshiba-medical.co.jp/