シーメンスヘルスケア、社会医療法人博愛会 相良病院、女性専門医療で国内初シーメンス製全身統合型MR-PETシステム「Biograph mMR」を乳がん検診・診療用に導入

2016.04.08

新しい女性専門医療と病院経営モデルの構築を目指し、2016年9月に納入、10月稼働開始予定
MRIとPET、2種の検査を一度に行うことができ、患者の負担軽減と検査の精度向上に大きく貢献
2015年4月に締結した先進的な女性医療センターの設立・運営に関するパートナーシップの一環

 (医)博愛会相良病院(以下、相良病院)とシーメンスヘルスケア(株)(以下、シーメンス)は、相良病院向けに全身統合型MR-PETシステム「Biograph mMR(バイオグラフ エムエムアール)」を本年9月に納入することで合意した。「Biograph mMR」は、MR画像とPET画像の同時撮影を世界で初めて実現した最先端機器として2012年2月にシーメンスが国内販売を開始したものである。相良病院への納入は、女性専門の医療機関としては国内初となり、これにより最先端の女性医療システムの確立を目指す。相良病院では、本装置による乳がん検診・診療などを本年10月から開始予定で、検診の予約受付は本日より開始する。

 相良病院は、患者一人ひとりに最良で質の高い医療の提供と安定的な病院経営基盤の確保のため、本年4月より真栄会新村病院(鹿児島県)と業務提携した。今後、「地域医療連携推進法人(仮称)」*1設立を見すえながら、患者の相互受け入れや共同での研究教育活動の推進など、地域における病診連携強化を進める。これには、相良病院の「Biograph mMR」や新村病院の手術支援ロボットといった高度な医療機器の共同利用も含まれており、がん診療における新たな病院経営モデルの構築を目指していく。

 近年、米国では乳がんに罹患するリスクが高い人に対して、年に1回マンモグラフィ検診と併用してMRI検診を受けることが推奨されるようになった*2。その後、日本においても乳がん診断におけるMRIの有用性が議論されるようになり、2013年に乳がん罹患リスクの高い人を対象とした乳房MRIスクリーニングに関するガイドラインが発表された*3。また、本年4月からの診療報酬の改定により、乳房MRIの撮影に対しても点数が加算されることになった。

 一般的に、MRI検査は、病巣の「かたち」や「大きさ」を見つけるのが強みである。数種類の画像を組み合わせて体内の臓器や病変部を描出するもので、数ミリメートルのがんも見分けられると言われている。放射線の被ばくがないのも特徴である。一方、PET検査は、ブドウ糖に似たFDGと呼ばれる検査薬を体内に取り込み、体内のどの部位にがんがあるか、もし病巣がある場合は、どの程度ブドウ糖代謝が見られるかという「機能」(活動状態)を画像化するために用いられている。成長が初期段階の比較的小さながんを発見することができ、また、1回の検査で全身を撮影するため、転移の有無を調べることも可能である。

 「Biograph mMR」は、これらMRIとPETのそれぞれの特徴を組み合わせ、一度で全身を撮像し、「かたち」と「機能」を同時に撮影した画像を重ね合わせることができる統合型装置である。これまでMRIとPETの2種類の検査を別々に行ったり、片方の検査しか行わなかった場合と比較すると、より詳細かつ精度の高い検査が可能になり、がんの早期発見や早期治療に貢献するとともに、患者にとっても時間や精神的な負担の軽減につながる。

 「Biograph mMR」は相良病院において、乳がん検診(任意)をはじめ、治療前の診断、術後の経過観察などに使用される予定。すでに同院で稼働しているマンモグラフィや超音波画像診断装置に加え、今回新たに本装置が導入されることで、日本有数と言える高い精度の診断画像ならびに診断情報が得られるほか、受検者それぞれに最適な装置による検診を提供できるというメリットがある。また、世界的に見ても乳がん領域をメインとした本装置の活用がまだ少ないこともあり、同院での今後の臨床実績をはじめ、両者による共同研究の成果などに世界からの期待が寄せられている。

 (医)博愛会相良病院理事長の相良吉昭氏は、「Biograph mMR」の導入について次のように述べている。「『Biograph mMR』の導入は、すべての女性に最良・最適な医療を提供するという私たちの目的を力強く支えてくれると確信しています。たとえば、患者の負担を軽減させるのはもちろん、乳がん医療における診療の効率を飛躍的に向上させることが期待されます。その優れた性能は、地域におけるがん専門病院同士の病診連携を推進させ、相良病院の経営のみならずブランドの確立に寄与するものと考えます。導入後はがん診療における使用実績を積み重ね、国内外で学会発表を行うなど、鹿児島から世界に向けて、この統合型装置による検査の有用性を発信したいと考えています」と、述べている。

 シーメンスヘルスケア(株)代表取締役社長兼CEOの森秀顕氏は、「『Biograph mMR』は、シーメンスが世界に先駆けて販売を開始した統合型MR-PETシステムです。2011年のドイツでの販売開始以来、約30カ国で稼働していますが、その7割近くが研究目的で使用されています。相良病院が今後、この最先端かつ高機能な装置を検診に用いるということは、いかに日々の検診を重要と捉えているかを示すことであり、同時に、高品質な医療をお届けしたいという思いの表れといえます。女性専門の医療施設に本装置が導入されるのは世界でも珍しく、国内外からの注目度も高まることでしょう。乳がん領域で国内初の特定領域がん検診連携拠点病院に指定されている相良病院のパイオニア精神と使命感に、本装置は十分にお応えすることができると自負しています。シーメンスは国内外のあらゆるノウハウを結集させ、本格稼働以降も全面的にサポートしてまいります」と、述べている。

 「Biograph mMR」は、世界で80台以上の受注実績があり、主に先端医療施設や大学病院、研究機関などに納入されている(2015年12月現在)。

【注釈】
*1:厚生労働省が推進する「非営利新型法人(地域医療連携推進法人(仮称))」とは、平成29年9月に施行予定の地域医療構想を達成する認定制度で、医療機関相互の機能の分担と業務の連携推進を目的としている。これにより、競争よりも協調を進め、地域において質が高く効率的な医療提供体制の確保を目指すものである。
参考資料(PDF): 「地域医療連携推進法人制度の創設について」(厚生労働省、平成27年12月)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/jjkaigou/dai28/siryou13.pdf
 相良病院では病診連携に関して、乳がん領域に限らず他のがん領域も視野に入れて地域医療の充実を図っていく予定

*2:American Cancer Society Guidelines for Breast Screening with MRI as an Adjunct to Mammography (Volume 57, Issue2, pp75-89, March/April 2007)

*3:乳がん発症ハイリスクグループに対する乳房MRIスクリーニングに関するガイドライン ver.1.2 (日本乳癌検診学会、2013年3月)

シーメンス

左:Biograph mMR
右:MR-PET検診についての冊子
(さがらブレストピアヘルスケアグループ 乳腺科部長 戸﨑光弘先生 監修)

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