日立アロカメディカル、超音波診断装置の新機能 Shear Wave Measurement (SWM) 発売 組織の硬さ情報を表示する Elastography に新機能追加

2015.09.01

 日立アロカメディカル(株)は、超音波診断装置の新機能Shear Wave Measurement(以下、SWM)を、HI VISION Ascendusに搭載し、9月から国内で販売を開始する。SWMは、肝臓向けに開発したElastographyの新機能であり、組織の硬さ情報であるせん断弾性波の伝搬速度Vs 、および、信頼性指標VsN 等を計測することができ、肝疾患の診断に期待されている。

 Elastographyは、組織の硬さの違いを画像化する技術で、2003年に、Real-time TissueElastography(以下、RTE)として日立グループが世界に先駆けて製品化した。RTEはこれまで同社製品に搭載されていた機能であり、主に乳がんの検査時に組織の硬さを表示することで医師の診断に役立ってきた。

1.今回発売のShear Wave Measurement(SWM)について
SWMは、世界超音波医学学術連合大会(World Federation for Ultrasound in Medicine and Biology:WFUMB)のガイドラインでは、Point Shear Wave Speed Measurementに分類される機能であり、せん断弾性波の伝搬速度Vsを計測する。
従来のせん断弾性波の伝搬速度計測は、計測結果のバラツキを軽減する為に、複数回の計測を行いその平均値などで評価が行われていた。
 今回発売のSWMは、せん断弾性波の伝搬速度Vsの信頼性指標VsNを表示することを特徴としている。1回のボタン操作で自動的に複数回のVs計測を行い、せん断弾性波の伝搬速度を正しく検出できたかどうかを判定し、その割合をVsN(Vs有効率)として定量的に数値で表示する。計測回数を減らすと共に、より正確な計測結果が得られると期待されている。
 肝臓領域においては、B型やC型の肝炎により線維化が進行すると、発癌のリスクが高まることが知られており、予後や治療方針決定のために線維化の評価が必要となる。この線維化の診断には、肝生検がゴールドスタンダードとされているが、疼痛や出血のリスク、サンプリングエラーなどによる評価バラツキの課題が挙げられている。SWMは、体表からプローブを当てるだけの痛みの伴わない非侵襲的検査であり、頻回の検査や経過観察が可能となり、肝疾患の診断に期待されている。

2. Real-time Tissue Elastography (RTE)について
 RTEは、組織の硬さの違いをひずみ分布として画像化する技術であり、WFUMB のガイドラインではStrain Elastographyに分類されています。Strain Elastographyは、超音波プローブを軽く振動させることにより発生する組織の変位を超音波で検出し、画像化します。特に、肝臓領域では、心拍動による組織のひずみを利用して画像化し、肝炎などに伴う線維化の進行度を推定するLF Index(Liver Fibrosis Index)が得られ、その研究が盛んに行われている。
 今回、HI VISION Ascendusにより、RTE(LF Index)とSWM両者のElastographyがプローブを持ち替えることなく計測可能になった。せん断弾性波の伝搬速度は、線維化だけでなく、肝臓の炎症・うっ血・黄疸の影響を受けることが知られている。また、LF Indexは炎症・うっ血・黄疸の影響を受けないことが知られている。今回発売のSWMとLF Indexの両者の計測を行うことにより、炎症・うっ血・黄疸のある急性期の診断に期待されているという。
 同社は、今後もRTEとSWMの両者を発展させることで、多くの診断情報を提供することをめざすという。

●お問い合わせ
日立アロカメディカル(株)
URL:http://www.hitachi-aloka.co.jp/