富士フイルム、高い挿入性・処置性能と、高画質を兼ね備えた細径内視鏡下部消化管用処置用スコープ「EC-580RD/M」発売

2014.05.01
下部消化管用処置用スコープ「EC-580RD/M」
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 富士フイルム(株)は、挿入性と処置性能を高め、同社独自の画像センサー「スーパーCCD ハニカムTM*1による高画質を実現した下部消化管用処置用スコープ「EC-580RD/M」を、5月1日より富士フイルムメディカル(株)を通じて発売する。
 同社は、5月15日から17日まで福岡国際会議場をメイン会場として開催される「第87回日本消化器内視鏡学会総会」に同製品を出展。
 近年、早期がんの処置には、内視鏡と処置具を用いて粘膜下層を切開・剥離する「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD*2)」など患者の負担が少ない治療が注目されており、その症例数は年々増加傾向にある。同社は、これまでにディスポーザブル高周波ナイフ「FlushKnife」などのESD処置具を発売し、患者の負担が少ない治療の普及に貢献してきた。
 今回発売する下部消化管用処置用スコープ「EC-580RD/M」は、高い挿入性・処置性能と高画質を兼ね備えている*3。従来機では12.8mmであった軟性部外径を10.5mmに細径化した。また、全長が長く、屈曲部が多い大腸に挿入する内視鏡には、患者の苦痛を抑えるための細さと軟らかさが求められる一方、医師による操作の微妙な力加減を伝えるために、ある程度の硬さも必要とされている。同製品は、手元から先端に向かって連続的に軟らかさを変化させることで、手元側の力が先端部に伝わりやすくなり、挿入性が向上している。
 処置中は、処置する部位を明瞭にするためにウォータージェットノズルから出した水や消化管内の粘液などの吸引、処置具の出し入れを鉗子口から何度も繰り返す。同製品は、細径化しながらも鉗子口径3.2mmを確保し、処置具の出し入れを容易にするとともに、高い吸引性能を両立した。また、ウォータージェットノズルと鉗子口の配置を工夫し、目的部位への送水と処置具での処置を必要最小限の動作で切り替えることがでる。さらに、内視鏡先端部の湾曲角210°を実現。小回り・旋廻性能に優れているため、大腸内にある輪状ひだの裏側など観察しにくい部位の観察が容易になる。これにより、増加傾向にある内視鏡下手術において検査時間を短縮し、医師のストレス軽減や患者への負担軽減に寄与する。
 同製品は、同社独自の画像センサー「スーパーCCD ハニカムTM」と、同社がカメラレンズの設計で培った歪みの少ない独自開発レンズを搭載している。さらにノイズ低減技術を活かすことで、解像度が高く歪みが少ない画像を提供。分光画像処理機能「FICE」*4との併用により、病変部と正常部の境界の視認性が向上することも期待できるため、処置用途としてだけでなく、さまざまな内視鏡検査にも活用できる。
 同社は、下部消化管用処置用スコープ「EC-580RD/M」をラインアップに加え、ESD処置具とあわせて、患者負担をやわらげる低侵襲な内視鏡下手術の普及をサポート。今後も独自の技術でがんなどの疾患の早期発見・早期治療と、患者負担の低減を目指した製品開発、ラインアップ拡充を進めていく。

*1 フォトダイオード配列を従来型CCDの正方格子配列から45度回転させ、フォトダイオードの形状を受光面積の大きな八角形にしたもの。これにより、解像度・感度・ダイナミックレンジ・S/N・色再現性などの要素をバランス良く向上させ高画質を実現。
*2 Endoscopic Submucosal Dissectionの略。
*3 同社従来機種「EC-450RD5/M」との比較。
*4 通常画像から分光画像(特定の波長で得られる画像)をリアルタイムに生成できる画像処理機能。自由に波長パターンを選択でき、よりコントラストの高い画像を得ることができる。Flexible spectral Imaging Color Enhancementの略。
 
 
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