GE ヘルスケア・ジャパン、「Centricity Universal Viewer」を発売

2013.03.08

 GEヘルスケア・ジャパン(株)(本社:東京都日野市、社長:川上 潤)は3月8日、地域医療連携を見据えた医療ITイノベーションプロジェクトの第1弾として、放射線科医のための読影効率の向上や臨床医との連携強化を目指したビューワ(画像表示装置)「Centricity Universal Viewer(セントリシティ・ユニバーサル・ビューワ)」を発売した。
 同社は現在、超高齢社会向けの医療ソリューションの開発・提供を図る「Silver to Gold(シルバー・トゥ・ゴールド)」戦略を進めており、同戦略では今後一段と重要性が増す地域医療連携などに欠かせない「医療IT」を重点分野の1つに定めている。それに伴い現在、世界の先鋭スタッフで構成されるグローバル開発チームが、3ヶ年にわたる「医療 ITイノベーションプロジェクト」を推進しており、日本においても専任チームが国内の顧客ニーズをグローバルの製品開発に反映する取り組みを展開している。具体的には、医療機関のニーズを調査しながら、IT による診療・検査効率の向上、医療従事者間や患者とのコミュニケーションの改善、医療施設間やコミュニティのネットワーク化のサポートなどに向けたソリューション開発を手がけている。
 本日発売された「Centricity Universal Viewer」は、同プロジェクトの第1弾となる製品で、日本の読影医の置かれた現状をもとに、読影効率の向上や読影医と臨床医の情報連携強化を目指して開発された高機能統合ビューワ。完全ウェブベースで、あらゆるユーザーが1つのインターフェースを共有でき、医療従事者間でのシームレスな情報連携をサポートする。

急増する国内読影医の負担
 CT(コンピューター断層撮影装置)や MRI(磁気共鳴断層撮影装置)などの撮影画像から読影レポートを作成する放射線科読影医。その数は国内で約5,700人と米国に比べて約 5分の1、また人口100万人あたりの読影医数も平均約36人(米国に比べて約3割)と極めて少ないのが現状だ*2。しかしながら、画像撮影装置のデジタル化や高機能化に伴い、2008年度の調査当時で読影医1人当たりの平均読影件数は年間約8,200件と、米国の2,700件と比較して約3倍となっている。
 この流れに拍車をかけたのが2008年4月の診療報酬改定で、「CT/MR/RI(核医学)の 8 割以上の読影結果が常勤専門医により、遅くとも撮影日の翌診療日までに主治医に報告されていること」などを満たせば、点数が加算されるようになった。そのため、読影医は数多くの画像をできるだけ素早く読むことが求められるようになり、結果として読影医 1 人当たりの負担は増大し続けている。
 このように多忙を極める日本の読影医の頭を悩ませている 1 つが、過去画像との比較や画像レイアウトなどにおけるマウス操作の煩雑さで、このマウス操作による時間ロスは1日平均で24分にも上る。

読影医の負担を軽減し、読影の効率とワークフローの改善に貢献する「Centricity Universal Viewer」
 このように読影医の負担が増加するなか、読影効率の向上とワークフローの改善を目指して開発されたのが「Centricity Universal Viewer」だ。GEの全世界の研究開発を司るグローバルリサーチセンターと共同開発した、読影医の好みのレイアウトで画像表示させる学習機能や、少ないマウス操作での効率的な画像比較機能などを搭載したほか、これまで別々にビューワを揃える必要のあった読影や配信業務を1つのビューワで可能とした。
 これらの機能向上に伴い、画像レイアウトやマウス操作がシンプル化され、読影の生産性が高まるほか、読影医と臨床医がスムーズなコミュニケーションを図れるようになる。加えて、読影精度の向上や検査から結果報告までの待ち時間短縮など、患者さんのメリットにもつながると期待されている。

【Centricity Universal Viewerの主な特長】
1.読影効率の向上
(1)ユーザーにとって最適化されたハンギングプロトコルを提案する学習機能「スマート・リーディング・プロトコル」

 従来は手作業で画面上に画像を配置する必要があり、思い通りの場所に画像を配置するために時間を費やさなければならないことが読影の生産性低下につながっていた。「Centricity Universal Viewer」では、ユーザーが好む画像の配置(ハンギングプロトコル)を学習する「スマート・リーディング・プロトコル」機能を搭載。GEのグローバルリサーチセンターと共同開発したこの学習機能により、表示レイアウトを繰り返し学習させることで個々のユーザの好みのレイアウトで画像表示できるようになるため、読影時の負担が大幅に軽減される。

(2)少ないマウス操作で直感的かつ効率的な過去検査との比較表示を可能にする「ナビゲータ」
 ナビゲータ内の「シリーズ・セレクター」により直感的でシンプルな過去検査比較の呼び出しや比較検査の絞り込み機能を搭載した。またサムネイル上のバーチャルモニタを搭載することで、画像の並べ替えのためのマウスの移動距離やクリック回数を大幅に低減、日々大量の読影を行う読影医の作業負担を軽減する。

(3)ワークステーションのアプリケーションを統合し、2D 画像と 3D 画像を同じビューワ上に表示

  従来は2D画像と3D画像が別々の画面で表示されていたため、これらの画像を行き来するたびにツールを選び直す必要があったが、「Centricity Universal Viewer」では画像処理用ワークステーション「アドバンテージ・ワークステーション」上のアプリケーションを統合し、同じ画面上に2D画像と3D画像を同時表示できるようにした。2D-3Dでツールやルックアンドフィールを共通化したことでより使いやすく統一感のある操作性を実現しています。本日現在は、抗がん剤治療の効果判定に寄与する「OncoQuant(オンコクアント)」や形態画像と機能画像を重ね合わせて比較参照できる「Integrated Registration(インテグレイティド・レジストレーション)」など、医療施設からのニーズが高いアプリケーションに対応しており、今後順次対応アプリを増やしていく予定。

2. ワークフローの改善
(1)ビューワを1つに統合し、読影医と臨床医のスムーズなコミュニケーションを実現

 これまでは読影専用ビューワや配信ビューワなど、特定機能に特化した専門ビューワを複数組み合わせて使用していたが、「Centricity Universal Viewer」ではこれらのビューワを1つに統合。全てのユーザーが同じインターフェースやツールを共有することで、読影効率が上がるとともに、よりスムーズなコミュニケーションが可能となる。

 同社は現在、高機能 PACS「Centricity PACS」シリーズのほか、読影ワークステーション「Centricity RA1000」、レポーティングシステム「Centricity i3」などの読影ソリューション、統合参照ソリューションである「Centricity CDS」、循環器向けの統合情報管理支援ソリューションの「Centricity Cardio Workflow」など、多彩な医療用 IT ソリューションを大学病院などの大規模病院から中・小規模病院まで幅広い医療機関に導入しており、大規模施設では約15%のシェアを有している(自社調査)。
 加えて昨年3月には、クラウドコンピューティングを活用した医療用画像のデータホスティング・サービス「医知の蔵(いちのくら)」(http://www.ichino-kura.jp)の本格運用を開始、4月には国内で初めて(当社調査)薬事認証を取得したモバイル PACS「CRMA」を導入するなど、診断・治療の質の向上や画像データのセキュリティ強化や病院経営の効率化につながる医療 IT 製品・サービスを相次いで市場投入している。
 同社は今回発売する「Centricity Universal Viewer」を、すでにGE製ビューワを導入している医療機関の買い替え・買い増し、ならびに中小規模病院の新規購入を主対象に販売するとともに、今後も医療ITイノベーションプロジェクトを積極的に進め、多彩な医療 IT ソリューションの導入を通じて、日本が直面する超高齢社会に不可欠な地域医療連携や在宅医療、遠隔医療などをサポートし、「人にやさしい、社会にやさしい」医療の実現に貢献することを目指しているという。

●お問い合わせ
GEヘルスケア・ジャパン(株)
コミュニケーション本部
TEL:0120-202-021
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