セント・ジュード・メディカル、冠動脈狭窄評価にワイヤレス技術を上市

2012.07.05

FFR測定における初のワイヤレスシステム*1「SJM プレッシャワイヤアエリス」販売開始

 セント・ジュード・メディカル(株)(本社:東京都港区、代表取締役社長:ウィリアム・フィリップス)は、「SJM プレッシャワイヤ アエリス」(承認番号:22300BZX00469000)の発売を発表した。プレッシャワイヤ アエリスは心筋血流予備量比(FFR)測定における初のワイヤレスシステム*2で、冠動脈疾患治療のサポートに使用される。冠動脈疾患は費用的、身体的、その他様々な面から治療に負担のかかる疾患であり、世界でも数多くの患者様がこの疾患に悩んでいる。
 FFRは、どの冠動脈狭窄が心筋への血流を阻害しているか(心筋虚血)を特定するための生理学的指標である。例えば冠動脈の狭窄が進行すると狭心症発作を招くこともある。プレッシャワイヤを用いて得ることができるFFR値により、医師はステント等の冠動脈インターベンション治療の要否など患者にとって適切な対応を選択することができる。
 FAME試験では、プレッシャワイヤ技術の使用により患者の治療結果が改善され、世界中の医療制度における費用負担を軽減できることが実証された。また、FAME II試験の予備調査結果により、プレッシャワイヤが、安定冠動脈疾患例において、薬物単独療法に比較して緊急血行再建術のリスクを11倍以上減少させる貢献をしたことも示された。
 「プレッシャワイヤを用いたFFR測定は、冠動脈疾患における生理学的機能評価の為の重要な指標であること、さらに医療費を軽減することがFAME試験などにおいて実証されております。また、FFR測定は非常に簡便に実施することが可能で、臨床的にも優れた指標であります。従って、私は患者様に対し、日常臨床においてFFR測定を実施しております。アエリスの上市によりワイヤレス通信が可能となり、さらに簡素な手順によって冠動脈狭窄病変の重症度を評価することができるようになると期待します。」と、和歌山県立医科大学循環器内科の赤阪隆史教授は述べている。
 多枝病変を有する冠動脈疾患の患者において、FFRガイド下治療の費用対効果を評価する研究が、2012年2月に日本およびアジア諸国において始まった。同研究では、FFRを指標とした治療が健康保険や財政に与える潜在的な影響も評価される。
 「当社は、適切な治療を判断する際の一助となるよう、ワイヤレス技術を搭載したプレッシャワイヤアエリス等の先進技術を日本の医師の皆様に提供し、患者様のリスクを減らすことができるよう全力で取り組んでいます。この技術が冠動脈疾患治療のスタンダードとなるべく、臨床的なエビデンスを蓄積できるような研究を引き続き支援していきます。」と同社社長、ウィリアム・フィリップスは述べている。

●プレッシャワイヤアエリスの技術
 プレッシャワイヤ アエリスのワイヤレス技術は、プレッシャワイヤと心臓カテーテル用検査(カテラボ)装置(血行動態記録)間に安定したインターフェイスを保つ。カテラボ装置によりFFRデータは即座に表示、測定、保存されます。FFRデータは既存の検査記録にまとめられ、FFRデータによる冠動脈病変の重症度がその他の測定データや血管造影画像と共に記録される。
 ワイヤレス技術の使用により、追加の装置やケーブル配線が不要となり、業務効率改善が期待できる。また、効率的な技術のため測定時間もかからない。日本光電工業(株)のRMC-4000, RMC-3000、フクダ電子株式会社のMCS-9000、FCL-1000、GE社のCombo-Lab/Mac-Lab Hemodynamic Recording System、Siemens社の AXIOM Sensis XP等の血行動態記録システムとの互換性も有している。

●FAME試験およびFAME II試験について
 FAME試験-Fractional Flow Reserve (FFR) vs. Angiography in Multivessel Evaluation-では、セント・ジュード・メディカルのプレッシャワイヤ技術を用いたFFRガイド下での治療を受けた患者と、血管造影のみで治療を受けた患者の治療結果を比較した。12ヵ月の結果がNew England Journal of Medicine誌に発表され、主要有害心事故(MACE)がFFRガイド下で治療を受けた患者では、標準血管造影のみの場合と比較して28%減少したことが示された。2年間の結果からは、FFRガイド下の治療を受けた患者では、死亡または心臓発作のリスクが34%減少した等、良好な治療結果がその後も経時的にみられることが示された。

 FAME II試験-Fractional Flow Reserve (FFR)-Guided Percutaneous Coronary Intervention Plus Optimal Medical Treatment vs. Optimal Medical Treatment Alone in Patients with Stable Coronary Artery Disease(OMT)-では、1つ以上の血管を対象とした安定冠動脈疾患治療におけるFFRの役割についてさらに検討した。2012年、同試験の効果安全性評価委員会(DSMB)が、最適な薬物療法(OMT)単独群に患者の無作為割り付けを継続することは非倫理的と判断したことを受け、患者の試験登録を終了した。EuroPCRにて提示された予備調査結果から、1つ以上の重要な病変を持つ患者では、OMT単独群の血行再建術のための再入院のリスクが7.6倍、また、予定外の緊急血行再建術のための再入院リスクは11.2倍高いことが明らかになった。

*1、*2:2012年7月5日時点における情報。

●お問い合わせ
セント・ジュード・メディカル(株)
セールス・マーケティング統括室
TEL:03-6255-5707
URL:http://www.sjm.co.jp/