バイエル薬品、開発中のMRI用造影剤(ガドクアトラン水和物)について、日本での製造販売承認を申請

2025.06.05

・成人および小児患者を対象として、脳・脊髄および躯幹部・四肢領域における造影MRIを適応とする製造販売承認申請
・今回申請した投与量は、0.1mmol Gd/kgで投与される既存の環状型ガドリニウム造影剤に比べ、ガドリニウム用量を60%低減
・ガドクアトラン水和物について、世界に先駆けて日本で製造販売承認を申請


 バイエル薬品株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:イン・チェン氏、以下「バイエル薬品」)は、磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI)用に開発中の環状型ガドリニウム造影剤「ガドクアトラン水和物」(以下、ガドクアトラン)について、日本において製造販売承認を申請した。この造影剤は、成人および小児患者において、中枢神経系(CNS)を含むあらゆる身体領域に対する既知または疑われる病変の抽出を目的としている。今回申請した投与量は、0.04 mmolGd/kg のガドリニウム用量であり、これは 0.1 mmol Gd/kg で投与される既存の環状型ガドリニウム造影剤に比べ、ガドリニウム用量を 60%の低減に相当する。
 ドイツ・バイエル社ラジオロジー研究開発責任者であるコンスタンツ・ディーフェンバッハは次のように述べている。「画像診断領域のリーダーとして、私たちは患者さんにベネフィットをもたらすために、ガドリニウムの用量を低減する可能性を含め、イノベーションを推進することにコミットメントしています。ガドクアトランが承認されれば、日本の放射線科医に患者さんの診断を支援する低用量ガドリニウムという新たな選択肢を提供することができます。低用量ガドリニウム造影剤という選択肢は、生涯にわたって複数回の MRI 検査を受ける患者さんや小児患者さんにとって特に有益となるでしょう」
 現在、日本で低用量ガドリニウムの MRI 造影剤は承認されていない。人口の高齢化が進み、がんや心疾患などの慢性疾患が増加している日本では、国民一人当たりの MRI 検査台数が世界最多で年間約2,000 万件の MRI 検査が行われている。

 今回のガドクアトランの厚生労働省への製造販売承認申請は、成人および小児患者を対象とした有効性と安全性を評価するための第 III 相ピボタル試験(QUANTI 試験)の肯定的なデータに基づいている。第 III 相ピボタル試験における QUANTI CNS 試験の初めての結果は、本年 2 月の欧州放射線学会議(ECR)で発表され、今後の関連学会でもさらなる結果が発表される予定。日本での申請は、ガドクアトランに対する最初の製造販売承認申請であり、今後数ヶ月の間に世界各国の保健当局への承認申請が予定されている。


第 III 相 QUANTI 試験について

 第 III 相ピボタル試験(QUANTI 試験)では、ガドクアトランを 0.04 mmol Gd/kg の用量で検討した。これは、0.1 mmol Gd/kg で投与される既存の環状型ガドリニウム造影剤に比べ、60%のガドリニウム用量の低減につながる。QUANTI 試験は、2 つの大規模多施設共同、無作為化、前向き二重盲検、クロスオーバー第 III 相試験(QUANTI CNS 試験および QUANTI OBR 試験)と QUANTI Pediatric 試験から構成されている。本試験は、合計で 15 の国または地域において、808 名の患者が参加した。日本からは 27 施設が参加した。
 2025 年 1 月、バイエル社は、臨床開発プログラム QUANTI 試験のトップラインデータについて、ガドクアトランの描出パラメータと病変検出を評価する試験において、主要評価項目および主な副次評価項目を達成し、対照薬に対して非劣性であると示されたことを発表した。ガドクアトランは、対照薬である既承認の環状型ガドリニウム造影剤と同様の忍容性を示し、治験薬と関連のある有害事象の発現率は低く、ガドクアトランおよび他の環状型ガドリニウム造影剤におけるこれまでの安全性プロファイルと概ね一貫している。


ガドクアトランについて

 ガドクアトランは、バイエルが開発中の MRI 用の環状型細胞外液性ガドリニウム造影剤である。このガドリニ
ウム造影剤は、高い緩和能および安定性を有する四量体構造が特徴とされている。


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