富士フイルム、AI技術を用いて医師の読影業務を支援する「SYNAPSE SAI Report 構造化機能」提供開始
富士フイルム株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長・CEO:後藤禎一氏)は、医師の読影業務を支援するビューワ一体型読影レポートシステム「SYNAPSE SAI Report(シナプス サイ レポート)」のオプションとして、CT読影レポートに記載された所見文と画像解析結果の矛盾をチェックする機能、過去所見や症例の検索スピード向上など、医師の読影業務を支援する「SYNAPSE SAI Report構造化機能」を、富士フイルムメディカル株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:川原芳博氏)を通じて2025年4月1日より提供開始した。本機能は、同社独自の医学文章に最適化した自然言語処理技術「読影レポート構造化AI」を使用して開発された。
読影レポート作成の効率化を追求
読影レポートとは、放射線科医がCTやMRIの画像診断結果を記載する報告書のこと。日本の放射線科医1人当たりの読影件数は非常に多く、過重労働の状態にあることが指摘されている。さらに、臨床医(依頼医)の読影レポートの未確認や記載内容の確認不足が問題視されており、厚生労働省は、2017年から3年連続で、この問題に対する注意喚起や取り組みに関する通知を発行している。
また、読影レポートは臨床情報を含む重要なデータとして臨床研究や論文発表などで二次利用することが求められているが、医師特有の言い回しや医学専門用語を含んだ非定型の自由文で記載されており、レポートの記載内容をそのまま統計情報の作成やAI学習データ、プログラム開発などに利用することが困難であった。こうした事情から、AI技術を活用した放射線科業務支援については、病変検出の画像診断が多かったため、読影レポート作成の業務効率化を支援するソリューションへの期待が高まっていた。
「SYNAPSE SAI Report」は読影レポート作成の効率化を追求すべく、レポートとビューワが一体となるワークフロー支援機能を備えたシステムとして2023年7月に発売。今回提供を開始した「SYNAPSE SAI Report構造化機能」は、医学文章に最適化した独自の自然言語処理技術「読影レポート構造化AI」により、医師が記載したCT検査の所見文を構造化し、作成されたレポートをデータベースに保存する「レポート構造化エンジン」を搭載している。
また、「SYNAPSE SAI viewer(シナプス サイ ビューワ)」の画像処理結果と所見文の矛盾をチェックしてアラートを表示する「所見アラート機能」、さらに、所見ごとのレポート構造化データを内容に応じて、折れ線グラフやレーダーチャートなどのマルチメディアで直感的に表現する「マルチメディアレポート」、構造化したデータから、過去所見、研究や症例の検索を可能とする「構造化データベース(DB)検索機能」も搭載された。
レポート構造化エンジン
レポートに記載した所見文に含まれる所見(結節など)、解剖(左肺S6など)、性状(境界明瞭など)、診断(転移性肺癌など)、測定値(径2㎝など)に関する用語を「読影レポート構造化AI」により抽出し、所見ごとに整理した上で、肝細胞癌をHCCと記載するなど表現の違いを吸収した構造化単語(構造化データベースに蓄積される単語)としてテーブル形式のデータベースに蓄積することが可能になった。蓄積されたデータは、二次利用機能に利用されることを想定している。

システム構成
レポート構造化機能は追加のハードウェアを必要とせず、基盤システム「SYNAPSE SAI Report」サーバのみで利用できる。

富士フイルムは、AI技術ブランド「REiLI」のもと、AI技術の医療における活用の幅を広げることで、医療画像診断支援、術前シミュレーションの支援、医療現場のワークフロー支援などに取り組んでいく。
なお富士フイルムは本機能を4月11日~13日にパシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で開催される「2025国際医用画像総合展(ITEM2025)」に出展する。
お問い合わせ先
富士フイルムメディカル株式会社 マーケティング部
E-mail:shm-fms-hansoku@fujifilm.com