富士フイルム、3D画像解析システム「SYNAPSE VINCENT Ver7.0」提供開始

2024.04.09

 富士フイルム株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長・CEO:後藤 禎一氏)は、CTやMRIなどの断層画像から高精度な3D画像を描出し、解析を行う3D画像解析システム「SYNAPSE VINCENT(シナプス ヴィンセント)」の新バージョンとして「SYNAPSE VINCENT Ver7.0」を、富士フイルムメディカル株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:川原 芳博氏)を通じて4月10日より提供を開始する。
 なお、本製品は4月12日から14日にパシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で開催される2024国際医用画像総合展(ITEM2024)に出展される。

 「SYNAPSE VINCENT」は2008年の発売以来、当社の画像認識技術を生かしてバージョンアップを重ね、多様化する医療現場のニーズに対応した3D画像解析システムとして、診断や治療の場で広く活用されている。
 今回提供を開始する「SYNAPSE VINCENT Ver7.0」では、より立体感のある3D画像を描出する「新レンダリング技術(Order Independent Transparency)」を採用し、3D画像の視認性を向上させた。また、肝臓および周辺臓器を変形させながら血管走行などを観察できる「+肝臓変形機能」を搭載し、術前に肝臓を切除する術式のシミュレーションを行うことが可能だ。さらに、「治療で改善できる認知症」と言われ早期発見が重要なハキム病(特発性正常圧水頭症:iNPH)の診断に寄与することが期待される「脳脊髄液腔解析」も搭載した。加えて、ソニー株式会社が開発した「空間再現ディスプレイ」と連携することで、「SYNAPSE VINCENT」で作成した術前シミュレーション用画像を裸眼で立体的に観察できる。主な機能は以下の通り。

新レンダリング技術(Order Independent Transparency)

 手前から奥側へ順に色を混合する新レンダリング技術を用いることで、従来よりも奥行方向への視認性を向上させた3D画像を描出できる。これにより臓器と血管の位置関係を把握しやすくなる。

新レンダリング技術でより立体感のある3D画像を描出

+肝臓変形機能

 肝臓の術前シミュレーションを支援する「肝臓解析」と組み合わせて使用する「+肝臓変形機能」は、肝臓の3D画像に対して肝臓および周辺臓器を変形させながら観察することができる。術前に肝臓を切除する術式のシミュレーションを直観的な操作で行うことが可能で、手術時に切除する際の各脈管の位置推定をサポートする。

任意の点で変形を行った肝臓の3D画像

脳脊髄液腔解析

 「治療で改善できる認知症」と言われているハキム病(特発性正常圧水頭症:iNPH)は、特徴的な所見であるくも膜下腔の不均衡分布(DESH)が発生することが知られている。「脳脊髄液腔解析」では脳脊髄液腔のDESHに関係する各領域を自動でセグメンテーションし、領域ごとの体積や領域間の体積比を算出することができる。これによって、ハキム病の診断に重要な画像所見であるDESHの判定に寄与することが期待される。

DESHに関係する各領域を自動で抽出
黄色:高位円蓋部・正中のくも膜下腔、水色:脳室、赤紫色:シルビウス裂・脳底槽

Quickモード

 術前シミュレーションを支援する「肝臓解析」や「膵臓解析」など8つの解析機能をシンプルかつ直観的に操作できる「Quickモード」に切り替えて使用できる。従来のユーザーインターフェースでの操作と比較して簡便かつ迅速に解析を行うことができる。

画面右側のリストの説明に従ってボタンを押下していくことで、簡便に肝臓の術前シミュレーションが可能

空間再現ディスプレイとの連携

 ソニー株式会社が開発した空間再現ディスプレイ(SRD)と専用ラップトップクライアントを組み合わせた「SRDクライアント」オプションを提供する。「SYNAPSE VINCENT」で作成した術前シミュレーション用画像のスナップショットを専用ラップトップクライアントにインポートすることで、SRDに表示し、裸眼で立体的に観察できる。また、各領域の表示・非表示の切り替えや透明度の調整、各術式に合わせた観察方向の変更も可能だ。裸眼で立体視できる3D画像は、術前のカンファレンスや患者への手術内容の説明など様々なシーンで活用されることが期待される。

「SYNAPSE VINCENT」で作成した肝臓の3D画像を「空間再現ディスプレイ」で表示したイメージ

お問い合わせ先

富士フイルム株式会社 03-6419-8033