第1回日本オートプシー・イメージング(Ai)技術研究会開催 ―Aiによる社会貢献を目指してー

2019.08.09
阿部一之氏
五月女康作氏
山本正二氏
 日本オートプシー・イメージング(Ai)技術研究会(以下、Ai技術研究会)が2019年8月4日、第1回研究会を国立がん研究センター研究棟(東京都中央区)で開催した。
 第1部「設立総会」では、Ai研究会発起人を代表して阿部一之氏(純真学園大学保健医療学部)が司会で議事を進行した。総会では事業計画が承認され、会長の阿部氏をはじめとしてAi研究会の役員が選出され、Ai研究会の陣容が整った。
 第2部「教育講演」では、山本正二氏(財団法人Ai情報センター代表理事)が「Aiにおける診療放射線技師の役割」と題して講演を行った。山本氏はまずAiを盛り上げていくにはマンパワーが必要であると訴えた。診療放射線技師がそのマンパワーであり、診療放射線技師の具体的な役割は「とにもかくにもAiの撮影」と「画像知識とマンパワーを活かしたAiの撮影補助」であることを述べた。さらに、診療放射線技師が病院内でAiを推進していくために、4つのミッションを提唱した。1つ目は、病院内でAiを実施できる体制を整えること、2つ目は診療放射線技師が病院内の医療安全室でAi撮影の手順の作成などに積極的に関与すること、3つ目は生体の撮影と異なりAiの撮影は証拠保全が目的であり、Aiプロトコルを作成し証拠保全を目的として画像を撮影すること、4つ目は診療放射線技師は多くの画像を見ており、知識も豊富であることを活かした読影を行うこと、である。山本氏は「診療放射線技師がAiで撮影のプロ、読影補助のプロにならなければならない」と強調し、Aiのこれからを担う診療放射線技師への期待を表明した。
 第3部「招待講演」では、五月女康作氏(東京大学大学院文化研究科特任助教)が「ラジエーションハウス誕生まで~16年のキセキ~」と題して講演を行った。五月女氏はドラマ化された漫画「ラジエーションハウス」の監修を担当している。五月女氏は「ラジエーションハウス」が誕生し、ドラマ化されるまでの経緯を、自身の放射線技師としての半生と重ねて語った。五月女氏は高校時代の友人からの一言で、診療放射線技師のイメージが五月女氏自身が感じているやり甲斐と乖離していることを強く自覚した。そのイメージを変えるため、診療放射線技師をテーマにした漫画を構想し、数年にわたって企画を持ち込み続けた末、「ラジエーションハウス」の連載が始まりドラマ化を果たした。さらに五月女氏はドラマの製作裏話も語った。「最後に、世間の診療放射線技師のイメージを変えるため、今後も診療放射線技師を世間に知らせていきたい」と抱負を述べた。
 第4部「共同研究テーマと新たな展開に向けての意見交換会」では、13の研究班がAiの撮影技術、Aiをめぐる制度・法律、Aiの教育など、それぞれの研究の現状を報告し、これからの目標(短期目標と長期目標)と今後の展開を発表した。会場からも意見が出て、活発な議論が行われた。