富士フイルム、内視鏡事業戦略記者説明会を開催

2019.06.04
後藤禎一氏
永田敬一氏
鍋田敏之氏
 富士フイルム株式会社(以下、富士フイルム)は2019年5月28日(火)、富士フイルム本社(東京都港区)にて、内視鏡事業戦略記者説明会を開催した。
 初めに後藤禎一氏(富士フイルム株式会社取締役、常務執行役員、メディカルシステム事業部長)が登壇、メディカルシステム事業の沿革と成長戦略を語った。富士フイルムのメディカルシステム事業部は「2010年から2018年にかけ売上を約1.8倍近くに伸ばす好成長を続けており、2019年5月にはドイツのmedwork社を買収した。これを機に同社は内視鏡事業を拡大、新たなスマート工場を設けるほか、硬性内視鏡及び処置具事業にも幅を広げていく」と語った。
 次に永田敬一氏(同メディカルシステム事業部内視鏡システム部長)より、内視鏡事業の成長戦略が紹介された。米国では消化器外科医が軟性内視鏡トレーニングを受けるなど硬性内視鏡と軟性内視鏡の扱いが融合しつつあり、同社は米国において硬性内視鏡事業へ参入する。また、medwork社の買収により、軟性内視鏡処置具事業にも本格参入。富士フイルムの先進的な機能を持った軟性内視鏡システムと、medwork社の豊富かつ高品質な製品ラインナップとを組み合わせ、グローバルな販売網で世界中に提供していく。
 更に効率的な生産体制構築のため、栃木県佐野市にAI、IoT技術を導入した新工場が建設中だ。従来、内視鏡の生産工程においては、組立が顕微鏡下で実施され卓越した技巧を求められる他、判断基準の難しい検査は熟練技術者が目視で判断したりと、多くが経験や技能に依存していた。新工場ではAI・IoT技術の導入、作業情報のデジタル化によって組立の教育・習熟期間を1/3に短縮、目視で行っていた検査項目をAIが自動判定し検査時間を半減する。AIは工場のデータ解析にも用いられ、業務ロスや材料ロスを算出し可視化、工場全体の効率改善に繋がる。このスマート工場では従来と比べ生産能力は2倍、生産性は30%向上する見込みで、2019年9月より稼働開始が予定されている。
 最後に鍋田敏之氏(同メディカルシステム事業部ITソリューション部長)は「『REiLI』が目指す姿として、AIが臓器のセグメンテーションや病変の自動検出を行い読影を支援し、所見をもとに主治医が理解しやすい文章を生成してレポート作成を補助。医師の負担軽減及び正確性と迅速性の向上によって診断にかける時間を創出する」。今後は内視鏡やX線画像診断といった各製品・サービスにも活用される方針で、一段上の品質を提供するために親和性を訴求していくという。