昭和大学、フィリップス・ジャパン、遠隔集中治療患者管理プログラム(eICU)構築・稼働について記者発表

2018.06.05
堤 浩幸氏
大嶽浩司氏
小谷 透氏

 昭和大学(東京都品川区)は株式会社フィリップス・ジャパン(東京都港区、以下 フィリップス)と共に、5月28日(月)に昭和大学病院(東京都品川区)で「遠隔集中治療患者管理プログラム(eICU)構築・稼働についての発表」を行った。

 小口勝司氏(昭和大学理事長)、小出良平氏(同大学学長)、板橋家頭夫氏(昭和大学病院病院長)の挨拶の後、堤 浩幸氏(株式会社フィリップス・ジャパン代表取締役社長)によって事業概要が説明された。フィリップスはヘルステック・カンパニーとして病院内からホームケアまで質の高いケアと生産性をもたらすシステムをもって、包括的なソリューションとしていると氏は語る。そのプラットフォームとなるのはデジタル化による新しい価値創造だ。堤氏は専門医不足や医療関係者のワークフロー改善、地域医療連携の促進といった日本社会における医療の課題の解消として、eICUへの期待を述べ挨拶とした。

 続いて大嶽浩司氏(昭和大学病院副院長)によってeICUの共同研究の目的、概要が語られた。医療技術の向上と高齢化社会の到来によって集中治療病棟では患者が増加するのに反比例するように対応できる医師の数は減っている。eICUを活用しベッドサイドケアスタッフと全体を俯瞰するセンターとを連携することは、医療の質を上げていき現状打破の一助となる。また、専門医が不足している地方の病院とも連携を行うことで負担を減らすことが可能であるとも氏は述べた。氏はeICUを日本で導入した際の効果を検証すると共に、現場や地域にまで還元していく研究こそがフィリップスとの共同研究に相応しいものではないかと語って結びとした。

 eICUを活用した具体的取り組み内容については小谷 透氏(昭和大学病院集中治療科科長)に詳しい。
 昭和病院に導入されているeICUは「Showa eConnect」で、現在は同院31床(ICU14床、CCU10床、ER7床)と昭和大学江東豊洲病院18床(ICU/CCU13床、ER5床)でモニタリングを行い運用している。両院からのバイタル情報といった患者データはサーバに送られ、eCareManager(以下eCM)によって管理されているが、どのように活用されているのか。小谷氏は次のように語る。「電子カルテにまとめたデータに対し、eCMが様々な解析を行います。それを看護師が読み取り、現場へとフィードバックしていくベストプラクティスという過程を経て、必要に応じてベッドサイドスタッフが臨床の際に相談に乗り、臨床効率と医療の質の向上を図っていきます。」
 eCMは収集した情報をもとに患者の優先度を示し、プロアクティブに現場が動けるよう支援してくれるという。氏も敗血症性ショックにおいて補助的手段によって早期発見・介入を可能とするのではないかと期待を語った。
 「eICUの利用で専門医不足解消になるわけではありませんが、サポートするエリアが増えることで改善していくことは出来るのではないでしょうか。今後は利用効率を向上させることが患者の早期の社会復帰につながるのではないかと考えています」と氏はeICUの今後を述べ、更なる社会研究の実行を表明した。