日本画像医療システム工業会、JIRA創立50周年記念画像医療システム産業研究会開催

2017.12.14
小松研一氏
伯野春彦氏
瀬々 潤
藤田広志氏
佐藤公悦氏
 一般社団法人日本画像医療システム工業会(以下、JIRA)は、12月13日(水)、全電通労働会館(東京都千代田区)にて、「AIを用いた医用画像診断」と題した、JIRA創立50周年記念画像医療システム産業研究会を開催した。
 まず、小松研一氏(JIRA会長)が開会の挨拶として「AIを医療、特に画像診断にどのように活用できるか、参加者と考えていく機会とし、新たな技術開発が活発になることを祈念している」と述べた。
 続いて、「厚生労働省の保健医療分野におけるAI活用推進について」と題し、伯野春彦氏(厚生労働省大臣官房厚生科学課医療イノベーション企画官)が基調講演を行った。伯野氏ははじめに今後超高齢化社会を迎えるにあたり、地域による医療需要ピークの時期が異なること、診療科・地域による医師の偏在と過重労働といった問題点を指摘した。これらの問題に対し、総理指示を受け人工知能技術戦略会議が設置され、AI技術の研究開発と成果の社会実装を加速化させるという政府全体の取り組みを紹介した。
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「保健医療分野におけるAI活用推進懇談会」に基づく今後の対応


 次に瀬々 潤氏(産業技術総合研究所人工知能研究センター機械学習研究チーム長)が「人工知能研究の最前線(がんセンターとの共同研究の概要も交えて)」と題し、国内におけるAI研究の動向について講演を行った。保健医療分野において、人工知能・機械学習の導入が既に始まっており、特に現在推進されている研究として、国立がん研究センター、産総研人工知能研究センター、Preferred Networks、NECが共同で行っている平成28年度戦略的創造研究推進事業(CREST)プロジェクトを紹介した。これは、種々のがんに関するマルチオミックスデータを機械学習・深層学習を組み込んだ新しいシステムで解析し、がんの診断・治療へ応用しようという試みであり、研究が進められているとのことである。
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機械学習・深層学習技術を用いたがんの統合オミックス解析


 更に、藤田広志氏(岐阜大学大学院医学系研究科教授)は、「放射線医学領域におけるAI研究の動向(RSNA2017の報告)」と題し、RSNAへの参加を通して見聞された海外におけるAI研究の動向について講演した。藤田氏は1983年以後30回以上に渡り参加されてきたRSNAにおいて、過去AIに関するムーブメントが3回あったことを述べ、初期のCADからAIの登場、機械学習、ディープラーニングに続く、これらの技術の医療応用への急速な進捗の状況を紹介した。そして、RSNA2017においても、ディープラーニングに関する講演は全て立ち見が出る状況であったことや、AIに関する企業ブースだけで40社あり、AI-CADベンチャー企業が次々と出現している状況を報告した。
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CADの進化


 最後に佐藤公悦氏(JIRA副会長 中小企業・IT産業振興委員会委員長)が、多くの参加者を迎えて盛会となったことに謝辞を述べられて締めくくった。