立命館大学、ビッグデータ活用による高精細立体透視化に関するプレスセミナーを開催

2017.12.11
田中 覚氏
 立命館大学は、11月7日(木)、立命館東京キャンパス(東京都千代田区)にて、田中覚氏(立命館大学情報理工学部)による「ビッグデータ活用による高精細立体透視化」についてのプレスセミナーを開催した。
 今回のセミナーでは、田中氏が研究する「立体の透視化」に関し、独自手法の研究発表が行われた。
 近年、画像技術発展に伴い、医療分野でも、3D画像を用いた診断やVRを用いた手術シミュレーションの導入等が話題となっている。しかし、人間の臓器は組織同士が接しているため、PCで3D画像を透視化する際には別組織としての認識が難しい。順序反転を防ぐために組織同士の間に空間を作成し、処理を行っているのが現状である。この処理過程によるバグ発生等の問題から、医療現場に必要不可欠な精密性に欠けるという課題があった。
 この課題を解決する手法として田中氏が唱えるのが「高精細半透明可視化」だ。通常、3Dでものを表す際には、四角形や三角形といった図形であるポリゴンを用いる事が多いが、この手法ではより細かなデータを反映させるため、ポイント(点)を用いての画像描写を行う。CTやMRIでスキャニングしたデータを3D可視化する際に、各ポイントに対し、組織への光の反射角や透過率等から、平均的な透過率と奥行きを輝度値として設定する事により、組織全体の正確な位置をPCに認識、可視化させる事を可能とした。
 同手法はデータの空間把握に精密性を持たせる事で、全体としての緻密さも向上させるというものであり、これまでは難しかった、3D画像と平面画像の同一データとしての融合も容易となる。立体画像と平面画像を組み合わせる事による、表現技法の多様化が期待される。
 現段階では同手法は研修のシミュレーション等に活用されており、現場での実用化には時間を要するとの事であったが、実用化されれば3D画像診断に革新的な影響を与えると推測される。
 現在田中氏は、この「高精細半透明可視化」技術を医療用VRに応用する事をねらいとし、「ステレオ立体視」との連動について研究を進めている。今後の動向に期待したい。
従来手法との比較