日本放射線腫瘍学会(JASTRO)、プレスカンファレンスを開催

2017.10.24
茂松直之氏
手島昭樹氏
永田 靖氏
櫻井英幸氏
塩山善之氏
 10月20日(金)、東京都の「フクラシア八重洲」にて、日本放射線腫瘍学会(JASTRO)がプレスカンファレンスを開催した。
 まず、同学会理事長の茂松直之氏が挨拶にて「日本人ではがん患者が増えている。しかし放射線治療にてその2/3は生存し、その後も着実に治療成績は伸びている」と述べた。JASTROは各国から信頼を多く集め、今後はアジアをまとめる重要な拠点となるとのことであり、さらに活動が広がることが期待される。
 その後、手島昭樹氏(日本放射線腫瘍学会第30回学術大会長)が11月17日(金)より開催される、学術大会に向けて発表を行った。メインテーマは「放射線腫瘍学の役割拡大:ビックデータ時代における挑戦」。日米欧の中で広がる放射線治療適用率格差を改善し、より質の高い治療を多くの患者に届けるため議論していくこととしている。
 各プログラムは以下の通り。
1)放射線治療の適応拡大
2)がん情報系の整備
3)新しい放射線治療の紹介
4)対がん啓発プログラム
 永田 靖氏(日本放射線腫瘍学会がん放射線治療推進委員会委員長)は「本邦での放射線治療は、スタッフの面でまだ不十分である。学術面ばかりでなく、多面的に放射線治療の普及に努力していきたい」と述べる。学生や研修医へのセミナー、若い医師のリクルート推進、一般市民向けにコンテンツを公開するなどの活動を行っていると語った。
 次に櫻井英幸氏(日本放射線腫瘍学会粒子線治療委員会委員長)が演壇に立ち、最新放射線技術である粒子線治療について解説をした。粒子線治療は欧米を中心とした先進国で保険収載されるなど注目を集めているが、日本では保険適応が遅れていると述べた。また、陽子線治療については小児の治療に最適であり、今後普及を進めるためにガイドラインを作成しているとのことである。
 最後に施設認定委員会委員長である塩山善之氏は、JASTRO認定施設について述べた。認定の基準として「安全かつ高精度の放射線治療を行える体制であり、学術発表などで新しい知識を取り入れる専従職員がいる」という条件があると説明。平成28年度の施設認定状況として、142施設あり、そのうちの83%は国指定の「がん診療連携拠点病院」であるという。今後は粒子線治療の専門病院、小児がん専門病院の施設基準を策定、施設認定を行えるようにしていく予定。

会場風景