フィリップス、「Philips Imaging2.0~CT/MR新製品発表と最新テクノロジーの臨床応用~」を開催

2011.07.16
大阪会場の様子
大阪会場ロビーでの製品展示
東京会場の様子
(株)フィリップスエレクトロニクスジャパンは、7月9日(土)、毎日新聞社オーバルホール(大阪府大阪市)にて、「Philips Imaging2.0~CT/MR新製品発表と最新テクノロジーの臨床応用~」を開催した。
笠原哲治氏(同社マーケティング本部本部長)の開会の挨拶では、放射線医学分野での新コンセプト「Imaging2.0」について紹介。これは”Web2.0“という双方向のWeb概念に由来し、「臨床面での強調・融合」「患者中心」「経済的価値の向上」という3つの柱で、患者を中心に据えた技術開発に注力し、放射線科医と主治医の連携を目指すもの。「本会はその成果の1つとして、CTとMRの新製品、および臨床での応用事例をご紹介したい」と開催趣旨を述べた。

第1部では、新製品の「Ingenuity CT」についてJacob Durgan氏(Philips Healthcare, Cleveland)より、「Ingenia 3.0T/1.5T」について高原太郎氏(東海大学)より技術解説が行われた。

第2部では脳神経領域における3T MRIの臨床応用について、三木幸雄氏(大阪市立大学)座長のもと、2題の講演が行われた。平井俊範氏(熊本大学)は「最近の3T MRIの臨床経験」として、非造影でMR-DSAのような血行動態が観察可能な“CINEMA-FAIR”の臨床応用への検討と、位相差を強調する画像処理“PADRE“による大脳皮質描出の経験を紹介。また、吉浦 敬氏(九州大学)より、「3T MRI:脳微小病変診断への試み」として、MSDE法を用いた3D TSEシーケンスの脳転移検出における有用性の評価、および、3T MRIのSmall FOVによる高分解能DTIを用いた海馬体内部構造の定量的評価について解説が行われた。

第3部では被ばく低減と画質向上を可能にするCTの画像再構成法「iDose4」について、粟井和夫氏(広島大学)座長のもと、2題の講演が行われた。小山靖史氏(桜橋渡辺病院)からは「iDose4がもたらす心臓CT検査の新時代~被ばく低減とクリニカルインフォメーションの増加」として、同院でのiDose4使用経験とその有用性について解説。「iDose4により時間分解能向上、被ばく量・造影剤量低減の実現はもとより、迅速な情報処理が可能でアキシャルスキャンの成功率上昇に寄与し、1検査の被ばく量あたりの情報量を増加させる。現在はiDose4はオプション搭載の形式だが、早く標準実装されることを望む」と語った。また、片平和博氏(熊本中央病院)は「iDose4を用いた躯幹部CTの進歩」として、症例とともに多くの臨床経験を紹介。「iDose4のノイズ低減技術により低電圧撮影が可能となり、被ばく低減・画質向上・造影剤減量といった様々な検査ニーズにあわせ活用できる」と可能性の広がりを語った。

第4部では3T MRI最新の臨床応用とMultiTransmit技術について、中村仁信氏(彩都友紘会病院)座長のもと、3題の講演が行われた。川光秀昭氏(神戸大学)は「3.0T MR 装置による短時間撮影の問題点 -MultiTransmitを導入して」 と題し、従来の3T MRIの課題をMultiTransmit技術が大きく改善し、体幹部のSAR制限を緩和し画質を向上させたことを解説。西江昭弘氏(九州大学)は「MultiTransmitを用いた3T MRI~上腹部領域での臨床応用」と題した講演で、「MultiTransmitを用いた3T MRIに高分解能DWIとMSDE-balanced MRCPを加えることで、効率よく診断能の高いMRI検査が実現できるのではないか」と語った。また、植松孝悦氏(静岡がんセンター)は「16ch乳房専用コイルを使用したPHILIPS 3.0T 乳房MRIの臨床的意義」として、「MultiTransmitによる薄層スライス高分解能画像は、マンモグラフィや病理ミクロ像に迫る、臨床的意義の高い検査となる」と語った。

なお同イベントは、東京、福岡、沖縄のサテライト会場でも同時中継が行われ、全国で500名以上が参加する盛大な会となった。