GEヘルスケア・ジャパン、第2回ヘルシーマジネーションカレッジを開催 -医療被曝を減らすには放射線科とメーカの協力が不可欠-

2011.06.29
川上 潤氏
赤羽正章氏
佐藤和彦氏
 GEヘルスケア・ジャパン(株)(以下GE)は6月24日、赤坂パークビル(東京都・赤坂)で第2回ヘルシーマジネーションカレッジを開催した。
 はじめに、川上 潤氏(同社代表取締役兼CEO)は、「GEのビジネス戦略は医療コストの削減、医療アクセスの拡大、医療の質の向上の3つである。例えばVscanは医療の質はもちろん医療アクセスも拡大し、コストも削減できた。今後も新製品やサービスの開発に60億を投資して積極的にやっていきたい」と述べた。
 続いて赤羽正章氏(東京大学医学部附属病院放射線部副部長)は、「医療被曝は減らしすぎると画質が落ち、元も子もない。医療被曝の最適化は“必要最低限”を目指すことである。そして“必要最低限”に近づけるのは最新の技術と我々放射線科の医師と診療放射線技師などの力だ。ただ、メーカの技術もとても重要だ。技術革新がないと被曝の少ない装置が生まれない。例えば、GEの“Auto mA”などはその良い例で、自動で各部位に“必要最小限”の線量を調節してくれる」と語った。
 また同氏はCT再構成方法についての新技術も紹介した。現在の主流はフィルタ逆投影法であり、この方法は計算が迅速だが、低線量だとノイズで診断ができないことがある。しかし、新技術である“逐次近似法”は低線量でも確定診断が可能な画質を表示できる。ただ欠点は時間がかかることであり、より多くの患者さんにこのメリットを使うためにはPCの処理能力の向上が不可欠である。
 最後に佐藤和彦氏(同社グローバルCT事業推進本部長)は、「GEのCT設計理念は、ALARA*原則に基づく放射線防護、法規制・安全規格の遵守、ユーザビリティ・線量管理の4つである。例を上げるなら、画像あたり線量を最適化する“Auto mA”や“Smart mA”、“AsiR(逐次近似法を応用した画像再構成法)”などで、今後もこのCT設計理念に基づいた製品を開発していきたい」とした。 

 

* ALARA(As Low As Reasonably Achieva):国際放射線防護委員を中心に確立された『すべての被ばくは合理的に達成できる限り低く保たなければならない』という原則。