CookJapan、日本初となる大動脈解離用血管内デバイスの発売を記念した説明会を開催

2015.10.26
矢込和彦氏
加藤雅明氏
廣瀬賢二氏
 CookJapan(株)は、10月21日、丸ビルコンファレンススクエア(東京都千代田区)で、日本初となる大動脈解離用血管内デバイスの発売を記念して、説明会を開催した。
 まず、矢込和彦氏(CookJapan(株)代表取締役)がCookMedicalの紹介、ならびにAI事業部について説明した。同社は1963年に創業し、アメリカのインディアナ州ブルーミントンに本社をもち、今期売上高は約20億ドル(日本円で約2400億円)と予測されている。低侵襲治療に焦点を当て、非上場企業ならではの柔軟性の高さを活かし、医療機器を開発している。同社は10事業部で、日本のCookJapan(株)では8事業部を展開しているが、2004年のCookJapan(株)設立以来、様々な製品で日本初の承認を取得している。AI事業部は、低侵襲性のステントグラフト挿入術とそのデバイスを医療市場に広めることを目的とし、腹部大動脈瘤用や胸部大動脈瘤用ステントグラフトを今までに販売している。「多くの患者を救うこと、生活の改善に貢献したい」と、同氏は語った。
 次に、加藤雅明氏(森之宮病院心臓血管外科部長)が大動脈解離に対するステントグラフト内挿術について講演した。ステントグラフトとはバネ付き人工血管のことでバネの力で血管を広げる。これを使用して瘤への血流を防ぐことで大動脈瘤に対するカテーテル治療を行うと、同氏は説明した。大動脈瘤ができる原因の1つとして大動脈解離があるが、大動脈解離とは大動脈壁(3層構造)の中膜が空砲化することで壁が裂ける現象で、裂けてできた新しい腔を偽腔とよぶ(対して元々血管であった腔を真腔という)。大動脈解離は原因が不明であるが、遺伝的な因子が大きく関連しているとされていて発症から14日以内のものを急性期、それ以降は慢性期でこのときに偽腔が瘤化すると解離性大動脈瘤となる。また偽腔が真腔に広がっていき真腔の流れを障害することを還流障害という。東京では年に1,260人、つまり約10,000人に1人が発症しており、循環器疾患による突然死の原因として急性心筋梗塞に次いであげられるなど誰しもがこのリスクを背負っているといえる。大動脈解離にはA型とB型があり、B型はA型と比較し合併症のリスクが高く外科治療を行うことでの死亡率が19~92%と幅が広いため治療成績を上げることが求められていた。そこで、今回保険適用となった同社の「COOK Zenith 大動脈解離用エンドバスキュラーシステム」は急性B型大動脈解離のステントグラフトとして有用。偽腔に血液が溜まると真腔の血流が悪くなり還流障害となるが、このステントグラフトを使用することで真腔から偽腔への入り口(エントリー)を塞ぎ、かつ真腔の拡大もできるため死亡率は5~28.5%となり治療成績はかなり良好となった。慢性B型大動脈解離に対してもステントグラフト内挿術が保険適用となるよう取り組みもしている、と同氏は結んだ。
 最後に廣瀬賢二氏(CookJapan(株)AI事業部プロダクトマネージャー)により「COOK Zenith 大動脈解離用エンドバスキュラーシステム」の紹介がされた。同製品は、ステントグラフトにベアステントと呼ばれるものが付随しており、このベアステントで腹部大動脈を広げ、そこから分岐する細かい血管までも還流ができ、ステントグラフトだけでは不可能だった大動脈のカバーを実現している。また、両者にはトリガーワイヤーリリース機能が搭載されており、正確な留置が可能。
 会場には同製品の実物が置かれ、大動脈に挿入されたモデルも展示されており、ベアステントのカバー範囲の広さを感じた。

会場風景
COOK Zenith 大動脈解離用エンドバスキュラーシステム