東芝メディカルシステムズ、Global Standard CT Symposium 2015を開催

category:取材速報
2015.09.02

 東芝メディカルシステムズ㈱は2015年8月29日に、ANAインターコンチネンタルホテル東京(東京都港区)において、Global Standard CT Symposium 2015を開催した。同イベントでは、札幌、仙台、名古屋、鹿児島にサテライト会場を設け、同時中継を行った。

瀧口登志夫氏

 「日本初のCT検査が行われたのがちょうど40年前でした」。開会の挨拶で、瀧口登志夫氏(同社代表取締役社長)がこれまでの歩みを振り返った。同社は1975年、国内1号機CTを輸入、1986年にヘリカルスキャン技術の特許を取得、1999年に0.5mmSliceCTのAquilionを発売、2007年に面検出器CTを発表した。
 320列面検出器CT Aquilion ONEの国内稼働台数は318台、そのうちAIDR 3D搭載CTの国内稼働台数は約3,000台で、国内CTの4台に1台(2015年7月末時点)がそれにあたり、低線量撮影技術が確実に広がっていると強調。今後もPUREVISIONとAIDR 3D Enhanced、2つの低被ばく技術の標準搭載機種を拡大し、「CTの医療被ばくを低減していきたい」と抱負を述べた。

中西 知氏

片田和広氏

小野由子氏

富山憲幸氏

井野賢司氏

小林達伺氏

宇都宮大輔氏

山下康行氏

井田義宏氏

野澤久美子氏

粟井和夫氏

会場風景

 中西 知氏(同社CT開発部)は、逐次近似再構成FIRSTについてポイントを挙げて紹介。光学系モデルによる空間分解能向上、統計ノイズモデルによるストリークアーチファクト低減、部位ごとに最適化されたRegularizationの3つだ。FIRSTは、ファントム試験において従来のFBPに比べ、空間分解能や密度分解能が向上、さらに最大で80%の被ばく低減を実現すると述べた。
 記念講演では、座長に片田和広氏(藤田保健衛生大学)を迎え、小野由子氏(海老名総合病院)が演者として登壇。テーマは「神経放射線とCT画像診断-国内CT導入40年の変遷と最新4D-CTA-」。日本で最初のCT画像を提示し、「当時の脳外科医や放射線科医が脳の内部画像を初めて見たときは驚きの瞬間だった」と当時のエピソードを紹介。現在のCTでは3次元解剖や血流測定、4次元の血行動態などの診断ができ、非侵襲性や安全性を確保できるようになったと説明。最後に「CTの出現が神経放射線領域と全ての領域の画像診断を大きく変えた」と締めくくった。
 Session1では、富山憲幸氏(大阪大学大学院)が座長を務め、井野賢司氏(東京大学医学部附属病院)、小林達伺氏(国立がん研究センター東病院)、宇都宮大輔氏(熊本大学大学院)の3人が演者を務めた。
 井野氏は、「CTの金属アーチファクトに対するアプローチ」をテーマに講演。密度の異なる金属に対してDEとSEMARを使用することでそれぞれの金属由来のアーチファクト低減にどのような効果の差異があるか説明。「高吸収体からのアーチファクト低減にはSEMAR、アルミや希釈造影剤など低密度体ではDEを使用するなど、対象に合わせた使い分けが必要だ」とまとめた。
 小林氏は、320列Area Detector CTを用いて膵臓Perfusionを行い膵頭十二指腸切除術後の膵液瘻との関連性について発表した。膵臓全体のPerfusion解析は可能で、POPF症例はAF値は高くMMT値が低かった、CTP data、POPF出現率、病理組織学的所見との間に関連性が認められたと結論づけた。CTP検査研究におけるADCTの有用性について「撮影可能範囲や研究対象が広がった」と述べた。
 宇都宮氏は、「Area Detector CTを用いた心血管画像診断-治療方針につなげるCT診断を目指して-」と題して講演を行った。心臓CTはADCTによる低侵襲化と画質向上により臨床で用いられる場面が増えていることを紹介し、サブトラクションCCTAについては「20秒以下の息止めで施行でき、日常診療に十分利用が可能だ」と語った。
 Session2は、山下康行氏(熊本大学大学院)が座長を務めた。まず始めに井田義宏氏(藤田保健衛生大学病院)が登壇。診断参考レベル(DRL)の目的は「診断治療の目的を担保したうえで低侵襲な検査の組み立てを行う最適化で線量低減ではない」と強調。米国で既に実施されているDICOMの中にある線量情報「RDSRを利用した線量指標登録制度を念頭に調査分析法を開発していく」と今後の展望を語った。
 続いて野澤久美子氏(神奈川県立こども医療センター)が「Area Detector CTを用いた小児画像診断」について講演。小児は放射線への感受性が高いため、検査の必要性の有無、被ばくの無い検査への代替え、必要十分な撮影条件を心がけることが重要だと語った。ADCTは小児領域において被ばく線量の低減や撮影の高速化がメリットだと有用性を述べた。
 最後に、粟井和夫氏(広島大学大学院)が、「逐次近似再構成FIRSTのclinical capability -CTのさらなる高画質化、低線量化へ向けて-」と題した講演を行った。FIRSTはFBPやAIDR 3Dと比較して空間分解能が高く、アーチファクトが少ない画像を生むことができる。特に肺野、心臓およびステント抽出では従来のFBPより圧倒的に高画質であると強調。「低コントラスト分解能や演算時間の面で課題は残るが、同社の今後に期待したい」と締めくくった。

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