第7回 3D PACS研究会が開催 ~医用3Dを究める!

category:取材速報
2015.01.06
会場の様子
 第7回 3D PACS研究会が2014年12月21日、エーザイ(株)共催のもと、名古屋大学大幸キャンパス(愛知県名古屋市)で開催された。今回のテーマは「医用3Dを究める!」。日常診療で活用されるCT・MRIの3D画像の基礎から、3Dプリンターの現状と展望、情報セキュリティなど、幅広い話題が取り上げられた。
 当番世話人である富田博信氏(済生会川口総合病院)からの開会挨拶ののち、モーニングセミナーが開催。立石敏樹氏(国立病院機構仙台医療センター)座長のもと、村上 聡氏(エーザイ)による「3D-CTAにおける造影剤注入に関する留意点」が講演された。良好な3D-CTA作成のために推奨されるヨード量や注入速度、血管外漏出を防ぐ為の取り組みについて紹介された。
 セッションⅠは「3Dワークステーションの基礎」をテーマに小林隆幸氏(北里大学北里研究所病院)、牛尾哲敏氏(滋賀医科大学附属病院)座長のもと、3Dワークステーションの基礎と臨床活用について発表が行われた。まず富田博信氏からは「誰にも聞けない3D表示の基礎」として、3Dワークステーションで一般的に行うことが可能な画像解析の種類と技術について解説。「技術の臨床応用には診療放射線技師のアイデアが鍵となる」として、装置の特性を理解して描出目的を明確にする重要性を説いた。行方正紀氏(テラリコン・インコーポレイテッド)は「最新テラリコンワークステーション概説」として、GPGPUなど現在の医用画像ワークステーションの処理技術の基礎と進歩の歴史、および同社ワークステーションの最新アプリケーションの紹介、クラウドコンピューティングへの期待について述べた。立石敏樹氏からは「CTにおける臨床活用」として、大腸CT検査、頭部3D-CTAにおけるDual Energy SubtractionとVolume Subtractionの比較、CTにおける逐次近似法の活用法など同院でのCT検査における実例を示しながら、その臨床有用性について紹介した。また金沢 勉氏(新潟大学医歯学総合病院)からも同様に、「MRIにおける臨床活用」として、「ちょっとした工夫で元画像に付加価値をつけることができる」と述べ、同院のMRI検査におけるワークステーションの臨床利用の基礎と具体例が提示された。また、血管や神経の連続性を追いかける場合は、SNRありきではなくThin Sliceの収集を第一に考えたほうがよい、との見解を示した。
 セッションⅡは「3Dプリンタの基礎」がテーマ。津坂昌利氏(名古屋大学)座長のもと、満島岳寿氏(名古屋市総合リハビリテーションセンター)は、現在普及している3Dプリンタの種類や成形法、素材の違いなどについて解説を行った。汎用の低価格3Dプリンタを用いた自施設での運用経験、成形時の失敗を防ぐコツなどについても紹介された。3Dプリンタでの造形までの流れは、①対象物のスキャン、②画像処理、③STLデータ書き出し、④プリントデータ作成、⑤出力(プリント)となる。「データ準備段階での確認、印刷パラメータの設定、プラットフォーム(造形物を作る土台)への接着の強化、フィラメント(素材)の吐出の改善など、全ての工程において細かいチェックを行うことが失敗を防ぐコツ」と語る同氏。3Dプリンタの医療利用には放射線技術は欠かせないため、「3Dプリンタによって診療放射線技師の『もの作り』の復権が期待される」と述べた。
 セッションⅢはランチョンセミナーとして、武田聡司氏(国立病院機構災害医療センター)座長のもと、後藤秀基氏(キヤノンライフケアソリューションズ)による「医療分野での3Dプリンタの活用」、高柳亮太郎氏(インフォコム)による「インフォコムが提案する整形外科領域画像ソリューション―2D、3D画像処理と 3Dプリンタの運用例について」の2題が行われた。現在、頭蓋顔面骨(の実物大臓器立体モデルによる手術計画)が「画像等手術支援加算」として保険適用されている。後藤氏からは同社で販売する3Dプリンタ「Projetシリーズ」を用いた実物大骨モデル作成の流れと臨床利用の可能性・コストメリットなどについて紹介された。高柳氏からは、整形外科領域の画像ソリューションとして、iRad-OTとJointVisionを用いた2D/3D画像処理と3Dプリンタ運用例について紹介が行われた。
 セッションⅣでは「3D画像処理と3Dプリントによる診断治療支援」について、津坂昌利氏座長のもと、森 健索氏(名古屋大学)による講演「3D画像処理と3Dプリントによる診断治療支援」が行われた。同氏はRSNA2014の教育展示にてMagna CumLaudeを受賞したことが記憶に新しい。講演でもこれまでの研究の歩みが紹介され、肝臓領域を対象としてCT画像からどのように3Dプリンタから臓器モデルが作成され、いかに臨床で活用されたか、という具体的な経験や技術、TIPSが紹介された。また、医用画像処理と高次画像認識技術の最前線についても解説が行われた。医用画像処理における診断・治療支援技術においてはセグメンテーションのアルゴリズムがすべての基礎となり、これを応用することで消化管がん診断支援などのCAD(コンピュータ診断支援)の実現につながる、と解説する同氏。3Dプリンタの可能性については「普及するか否かは未知数」としながらも、適用可能な応用分野の開拓が必須と述べた。
 セッションⅤは情報セキュリテイーをテーマに、池田龍二氏(熊本大学医学部附属病院)座長のもと、松山征嗣氏(トレンドマイクロ)より「WindowsXP終了による危険性」について講演。OSサポート終了にともなう各種問題とセキュリティ対策の方法について解説された。

富田博信氏 立石敏樹氏 村上 聡氏 小林隆幸氏
牛尾哲敏氏 行方正紀氏 金沢 勉氏 津坂昌利氏
満島岳寿氏 武田聡司氏 後藤秀基氏 高柳亮太郎氏
森 健索氏 池田龍二氏 松山征嗣氏

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