東芝、ヘルスケア事業戦略説明会を開催~広範囲の技術を融合し異次元ヘルスケアを創造~

2014.02.26
田中久雄氏
須藤 亮氏
 (株)東芝は2014年2月20日、東芝スマートコミュニティセンター(神奈川県川崎市)にて、ヘルスケア事業戦略説明会を開催した。
 はじめに、田中久雄氏(同社代表執行役社長)によるヘルスケア事業戦略の概要が説明された。同社は2013年より「エネルギー」「ストレージ」に加え、「ヘルスケア」を第3の柱としたスマートコミュニティの実現を掲げてきた。その中で、ヘルスケア事業について「みんなが健康でいきいきできる社会」を築くためには広範囲の技術の融合が必要であるとして、病気の発症やリスクを軽減する「予防」、早期発見により患者への優しさを忘れない「診断・治療」、安心して生活ができるサービスである「予後・介護」、心と体の健康により快適な生活を過ごすための「健康増進」の4つが肝要であると語った。また、これらの事業ドメインにより、2015年度に6,000億円、2017年度には1兆円の売上を目指すとした。
 続いて須藤 亮氏(同社執行役副社長)による事業戦略の具体案についての説明がなされた。「予防」においては遺伝的因子・生活因子・環境因子の3つを主軸に据え、ゲノム解析「アレイチップ」の開発や日常生活やウェアラブルデバイスによるセンシング、各種センシングデータを活用した健康状態解析、ポジティブヘルスケアルームの設置などについて触れた。「診断・治療」では画像診断機器事業について語り、特にCTの強みを生かし、低線量被ばくで患者に優しい治療をもって、世界においてより重要なポジションを狙う姿勢を示した。また、高機能・コンパクト・高コストパフォーマンスな製品を新興国へ向けた戦略製品として展開していくとした。「予後・介護」では社会とのつながりをクラウド技術などによってサポートし、在宅サービスや音声つぶやきSNSなどによってストレスフリーなコミュニケーションの実現を目指すとした。「健康増進」では、植物工場による安全な野菜の提供、ビタミンの摂取などによる体内美容コンセプトについて語った。また、室内光による抗菌・抗ウイルス・消臭の実現や、ペット向けの医療・健康への取り組みについても言及された。
会場の様子
 同社はグローバルヘルスケア市場の主要ターゲットについて、「予後・介護」に10兆円、「診断・治療」に12兆円、「予防」に1兆円、「健康増進」に10兆円の規模であると語った。今後は、「診断・医療」では東芝メディカルシステムズ(株)のチャネル強化、「予防」「余語・介護」「健康増進」では東芝グループの持つチャネル再構築・活用およびライフサポート事業に特化した拠点の整備をヘルスケア事業の販売網構築に繋げることで、ヘルスケア事業のグローバル展開を図り、2015年度には海外売上比率を「診断・治療」で58%、その他の3分野で48%を目標とした。現在検討している新組織体制ではヘルスケア事業を担当する社内組織の設置やグループ内ヘルスケア関連事業を集結させることによって、総合力で3本目の柱にしていくとした。