JIRA会長加藤久豊氏、2012年年頭所感発表会を開催

2012.01.12
加藤久豊氏
会場の様子
 (社)日本画像医療システム工業会(JIRA)は、1月11日、KKRホテル東京(東京都千代田区)にて会長による年頭所感発表会を実施した。

 JIRA会長、加藤久豊氏(富士フイルムメディカル株式会社取締役会長)はまず昨年を振り返り、「東日本大震災や南紀台風被害、タイの洪水等の自然現象の被害、世界的な金融危機など様々な困難が日本を襲い、混乱のまま年を越した」と述べた。またそれらにより「色々な問題をあぶりだした」とし、「明らかに潮目が変わってきたと認識しており、今年は新しい発想で新しいシステムを創造し、震災後の新たな日本の繁栄が生まれるだろう」と語った。医療機器の分野においても新しい「萌芽」が出始めているとして、それらを「4つの萌芽」として以下のように説明した。

 まず1つ目の「萌芽」は、新産業の創出。「経済産業省によるヘルスケア産業プラットフォーム構想に非常に注目している」と語った。当構想は、「診療報酬の外に新事業を産業化し、適切にリターンを求めながら医療の範囲を広げていくものである」と説明した。また、革新的医薬品・医療機器創出に向けた5か年戦略や新医療機器・医療技術産業ビジョンについても触れ、画像医療システム産業全体の方向性の明確化、画像医療システムを取り巻く新しい産業の振興施策提言のためJIRA産業ビジョンを策定すると述べた。

 2つ目は医療機器産業のグローバル化。「医療機器の国際化には規制の国際整合、規格・標準の国際化が欠かせない」と述べ、医療機器規制の国際整合化を進める国際会議であるGHTF(Global Harmonization Task Force)における日本の議長国としての任務が2012年末で終了するのを受け、日本(JIRA)・アメリカ(NEMA-MITA)・ヨーロッパ(COCIR)を中心に新生DITTA(Global Diagnostic Imaging,Healthcare IT & Radiation Therapy Trade Association)という国際的団体を組織する計画を発表。「毎年定例会議を開催し、企画の国際整合、通商問題、規制緩和などに関して国際的に活動していく」と説明した。

 3つ目は医療機器の規制改革動向を挙げ、現在の薬事法において医療機器を取り扱う問題点を挙げ、「医療機器専用の法律の策定要望を提出している」と説明。「医療ITがようやく市民権を得てきたため、医療ITも含め医療機器に適した規制や安心・安全対策や、低リスク機器に対するヨーロッパ流の自己立証・自己責任型の品質システム等、思い切った規制緩和を望む」と述べた。

 4つ目は東北震災復興で医療の重要性を再認識された点。震災復興から新成長に繋げる東北モデルを事例として挙げ、高度医療を広域な地域連携により実現する「医療機器と医療ITによる医療の社会イノベーション-震災復興の課題解決を起点とした戦略展開の提案-」をJEITAと共同で進めていると述べた。同イノベーションでは、クラウド型電子カルテサービスの導入と国による共通電子カルテ情報の保管・管理を提案。将来的に、ITを活用した臨床知の構築と一般化による医療イノベーションを実現するため、国立臨床知分析・解析センター(仮称)の設置を提言していると説明した。

 また加藤氏は、2012年のJIRA活動の重点活動方針として下記6項目を挙げた。
(1)新産業の創出
(2)産業拡大のための積極的な施策提言と推進
(3)国際化する事業への対応強化
(4)企業振興の強化
(5)JIRA活動の基盤強化
(6)コンプライアンスのさらなる徹底

 最後に同氏は「今年の干支である辰にあやかって、我々も成長できる年にしたい、幸多き年になることを心より祈念いたします」と締めくくった。